お嬢様は護衛に迫ります
愚痴をこぼすお嬢様
学園も終わり、家に着く。お爺様に婚約破棄をお伝えすると、不思議と何も言わずに認めてくれた。
部屋に入ると、護衛に愚痴をこぼす。
「ねえ、大地」
「なんだ、薫子」
「雅様は私の何が気に食わなかったのかしら」
彼は杜若大地。私の専属護衛。そして、私が唯一心を許せる幼馴染。代々私の家に仕えているの。
「私の家、冬椿家には私しか子供がいないから、私と結婚する人は婿養子になる。春桜家もとても良い家柄だもの。雅様は長男だし、だからきっと嫌がられたのね」
雅様にも兄弟はいないし、家の存続を望まれたのだわ。私がそういうと、大地はため息をついた。どうしたのかしら。
「そもそも、今は許婚がどうとか、家柄がどうとかそういう時代じゃないんだよなぁ。薫子お嬢様?」
そういうと大地は私の唇に指を当てる。
「今の時代なら、俺が薫子に迫ったって誰に責められるものでもないんだぜ?」
なーんてな、というとウィンクしてくる大地。ちょっと待って。それって…凄く素敵じゃない!
「ねえ、大地?」
「どうした、薫子」
「私達、婚約しましょう?」
「…ん?なんて?」
「私達、婚約しましょう?」
「は〜!?」
意味わからん!と大地が叫ぶ。あら、心外。大地が言い出したことなのに。
「何か不満?」
「逆になんでそうなった!?」
「だって、次の婚約者は誠実な方がいいのだもの」
大地は私には誠実でしょう?そういうと大地は大きくため息をついた。
「お前…それだけの理由で…」
「それに、私が唯一心を許せる幼馴染だもの」
雅様にも見せられないような姿も、大地には見せてきた。みっともなく泣いたり、拗ねたり。そんな姿、大地にしか見せられなかった。うん。益々婚約者にぴったり。
「だから、ね。そうしましょう?」
「ちょ、ちょっと待て!家柄はどうなる!?」
「あら、今は家柄がどうとかそういう時代じゃないのでしょう?」
うぐ、と言葉に詰まる大地。あともうひと押し!
「ねえ、大地は私が嫌い?」
「それはない!」
やや食い気味で否定する大地。なら決まりね。
「じゃあ、早速お爺様に報告してくるわ!」
「はあ!?まじか!おいちょっと待て!」
はしたないとは思うのだけど、私は廊下を走りお爺様の元へと行く。ばん、と勢いよくドアを開けると、お爺様に向かって叫ぶ。
「お爺様!私、大地と婚約するわ!」
「一歩遅かったー!」
「…おやおや、ほっほっほっ」
お爺様は優しい顔でこちらを振り向いた。なんだかまるで、こうなるとわかっていたような…。
「やっぱり、薫子は大地が好きじゃったか」
「え?私が、大地を好き…?」
「おや、まだ自覚しておらなんだか」
「お、大旦那様!」
「ほっほっほっ。すまんのう大地。こんなじゃじゃ馬だがよろしく頼むぞ」
「あー!もう逃げられないー!」
私が、大地を好き…私が、大地を好き?確かに、大地と居ると心が温かくて、ぽかぽかほわほわして、とっても幸せで、かっこつけなくても良くて、安心していられて…あら?もしかして私、大地を好きどころか愛しているのではないかしら。
「大地」
「なんだよもう!」
「愛しているわ」
「………………………。おれも」
ちゅっ、と頬にキスされる。なんだか胸がドキドキするわ。
「ほっほっほっ。収まるところに収まったのぉ」
何はともあれ、これで大地との婚約は決まりました。ああ、結婚出来るのが楽しみ!
大地はお嬢様に片思いしていました




