クイズ探し
外よりも家の中が好きだったので、読書や勉学に励む秀才、と思われるかも知れないが、決してそうではない。
自由帳を手に訳の分からないモノを描いたり、漫画の1コマを模写したり、決してテストには出ないような「世界の七不思議」的な本を読んだり。
家にゲーム機はあったのだが、順番があったのでほぼ俺まで回って来ないまま就寝時間となる。
雨の日は、外に遊びに行けなくなった弟が酷く暇そうにゲームをする姉や母の後姿を眺めていた。
そうなると家の中で遊ぶ事に特化した俺の出番が来る。
自由帳を1ページ千切り、それを綺麗に4等分に切り分ける。その1枚1枚に簡単なクイズや、なぞなぞを書く。それを4つ折にして部屋の何処かに隠してから、
「レースしよっか」
と持ちかける。
「うん!」
「今日は4箇所に隠したからな、よーいドン!」
全て見つけて答えられるまでの時間を競うと言うルールだが、弟からの出題があった事はない。何故なら弟は俺が隠した問題の全てを見つける事が非常に苦手だったからだ。
「後1個ない~」
泣き言を言いにちょくちょく戻って来ると降参の合図なので、見付け切れなかった問題文の回収に行く。
弟は夕飯後に宿題を始め、そこから風呂、ゲームと言う流れになる。なので回収が終わった時点で夕食時間が近ければこのまま終わりとなるのだが、そうではない場合はもう少しだけ続く。
「こんなんも見付けられへんとは、修行が足らん!」
と、精神統一を目的とした修行時間を始めるのだ。
内容は正座だったり、腕立てだったり、空気椅子だったり。
この遊びは意外と好評だったらしく、弟がミニカーで1人遊びを始める年齢になるまで度々開催されたのだった。




