骨の絵
月に1回ある保険の授業は、体重測定の日でもある。
体重と身長を計って記録するのだが、それだけではなく、授業の前半部分ではちゃんと保険の授業をする。
突き指した時の応急手当の方法だとか、筋肉痛と肉離れの違いだとか。
そういった教科書があった訳ではなくて、主にビデオ鑑賞。そしてその映像に出演しているのは、保険委員の生徒達だ。
使い回しなどではなく、1回1回ちゃんと撮影する。
そして、
「あぁー痛いよー」
「こら!もっと痛がって!」
演技指導まであったりした。
役が与えられるのはだいたい上級生で、下級生は黙って見ているか、保健室前の掲示板に張り出す作品を書く。
1人1枚画用紙を渡され、保険に関係のある何かを書かなければならなかったのだ。
明確に「これを書け」との指示など一切なく、自由。ただし、あまり保険に関係がない物は掲示板にはり出されなかったりした。
ビデオ撮影が行われている中、俺は画用紙に向かって絵を描いていた。
他の児童が保健室にある本や保健体育の教科書を見ながら表を書いたり、グラフを書いたり、応急処置の方法を書いたりしている中、俺は図書室から借りてきた本を熱心に眺め、結構な時間をかけて真剣に模写していた。
保険と関係があるのかどうか微妙だったそれは、人間と猿の骨格である。




