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SHORTで、俺。  作者: SIN
小学校 中学年

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87/485

曾祖母

 昔から言われていた事。

 それは、似てない。だ。

 俺達兄弟は、1人として似ていない。

 しかし、姉は親父に似ている。

 キリッとした一重瞼や、少し低めの鼻も、大きく口を開けて豪快に笑う所まで。

 弟は母の弟に似ている。

 涙袋の感じや、薄く開きがちになる口元も、軽い天然パーマな所まで。

 親父に似ている姉と、母の弟に似ている弟なので、2人は全く似ていない。

 だったら俺は?

 少しは共通する部分があるのではないか?

 父と母を綺麗に混ぜたのが俺?

 全く違う。

 俺は父にも、母にも似ていないのだ。だからと言って祖父や祖母にも似ていない。

 突然変異?それとも拾われた子?

 全く違う。

 俺は母の曾祖母の若い頃にそっくりなのだ。

 もう1度言うが曽祖父ではなく、曾祖母。

 かなり気難しい性格の曾祖母は、常に厳しい表情をしていたらしい。しかし、そう聞かされてもピンと来ない程、俺の中での曾祖母はニコニコとした人で、折り紙をしていたり、刺繍をしていたりと手先の器用な人だった。

 田舎に帰る度に色々教えてくれる曾祖母は、ある時こう言った。

 「帰るまでに、一緒にくす玉作ろう」

 一緒にと言いながらも2人で1つのくす玉ではなく、1人1個ずつ。

 どっちが綺麗に早く作れるか。

 こうして1泊2日の間、只管折り紙を折り続けたと言うのに、結果は当然の事ながら曾祖母の圧倒的勝利に終わった。

 家に帰る為荷物の整理をして、曾祖母の部屋に挨拶に行くと、

 「作ったくす玉は置いて行け」

 と、少しきつめの口調で言われた。

 くす玉を作ったのは俺だが、その材料となった折り紙は俺のものじゃない。何も言わずに持って帰ろうとしていたのだから怒られて当然なのかも知れない。

 急いで荷物の中からくす玉を出して曾祖母の部屋に持って行くと、代わりに紙袋を手渡された。

 中には、曾祖母が作った綺麗なくす玉が入っている。

 プレゼント交換をするのなら、もう少しそれらしく言ってくれれば良いのに……。

 こんな不器用な所まで、俺は曾祖母にそっくりなのだ。

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