泥団子
小学校の頃の遊びと言えば、泥団子作成。
より大きくて綺麗な泥団子を作ったモン勝ち、と言う遊びが流行っていた。しかし、ナチュラルにボッチだった俺は外でそんな遊びをするよりも絵を描いたり、図書室で本を読んだりしている方が好きだった。
とは言っても知性がまるでなく、テストの点数は限りなく一桁に近い残念な脳の持ち主だった俺が好んで読んでいたのは普通の本ではなく、だからと言って漫画でもなく、ピラミッドの謎と言ったロマンに溢れた本だ。
この当時、将来の夢は本気で発掘現場で働く人、だった。
そんな俺の所にクラスの女児がやって来てこう言った。
「一緒に遊ぼう」
仕方なく一緒に遊ぶ事にして炎天下の砂場に行くと、クラスの児童が集団で泥団子を作っていた。
お前も作れ。そんな無言の圧力に負けて作っていると、隣にいた女児による、綺麗に団子を作るには、講座が始まった。
水でドロドロにした砂を適当に丸めた後は乾いたサラサラの砂をかけて表面を綺麗にするのだと教わり、その通りにしてしばらく、多分泥団子作りに飽きたのだろう、男児がドッジボールをしようと言い出いだした。すると、周りにいた児童は皆グランドに向かって行くではないか。そして3人の女児は俺にこう言った。
「私の団子も綺麗にしてて」
1人分ならまだ何とかなったのだろうが、3人分。出来る訳がない。それでも頼まれてしまってはやるしかないとサラサラの砂を団子にかけまくった。
サラサラの砂をかき集めていた指先の感覚がなくなり、ちょっと赤い液体が滲み出ても砂をかけ続けた。
こうして昼休みが終わり、ドッジボールを楽しみ終えた3人の女児は砂場に戻ってきて、乾き過ぎたために真っ二つに割れた泥団子を目撃したのだった。
「あ~あ」
と1人は溜息を吐き、もう1人は黙って教室に戻っていき、そして残った1人は俺を睨みつけながら呟いた。
「これやから木場君嫌いやねん」
泥団子1つで人を嫌いになれる心の豊かさを持った女児の姿に、もう二度と女児からの遊びの誘いには乗るまいと心に刻んだ出来事となった。




