再会
苺に付けて食う白いドロドロとした液状の物、練乳。
あの白い物と出会ってからしばらく過ぎた頃に訪れた学校行事、その名も、苺狩り。
苺の採り方や先生の話などが行われている間、周りの子らから聞こえて来るのは、練乳持って来るのを忘れた。だの、練乳置いてへんのかな?とか言うものだった。
あんな苺の味をかき消すような物をべっとりと付けて食おうと言うクラスメートが信じられなかった。
もちろん、あんな不味い物をかけようと思い付く事自体も信じられなかったのだが、それ以上に苺農家の人に失礼だと思ったのだ。
苺の味を楽しんでもらいたい筈、美味しく食べてもらいたい筈だ!と。
苺狩り開始を先生が告げてからスグの事、農家の人が大きなバスケットを持って出て来ると、1人1人になにか小さなカップを手渡し始めた。
こうして手渡された小さなカップには、文字が書かれていた。
練乳、と。
まさか、練乳を付けて食べると言うのが農家推奨の食べ方だったとは。
いや、待てよ。苺農家の人が進めてくるんだから、苺に合う練乳なんだろう。
そう思った俺は、きっと美味しい筈だと信じ、採れたての苺に手渡された練乳を少しだけ付けて食べてみた。
その味が信じられずに少し時間を置いてから2口目。
うん、マズイ。
もう二度と食うものかと誓った練乳との再会だった。




