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SHORTで、俺。  作者: SIN
小学校 低学年

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アレルギー

 まだ自分がなんのアレルギーを持っているのか分からなかった頃、給食で出された物は全て食べ切れ、と言う先生の発言は絶対的な正義だった。

 シイタケが恐ろしく苦手だった男子生徒も半泣きになりながら5時間目の授業が始まるギリギリの時間までかけて食べ切っていたし、牛乳が嫌いだった生徒も他の物で味を誤魔化しながら半泣きで飲みきっていた。だから俺もかなり我慢をして食べていた。

 確実に下痢や吐き気が後から来ると分かっているのに、それを口に入れなければならない恐怖。

 先生に訴えてもただの好き嫌いで済ませられる現状。

 5時間目の途中で気分が悪くなったらどうしようか?と頭で考えながら飲み込む物体は、もはや食料ではなく毒である。

 しかしこの時、明確にコレが駄目だ、アレが駄目だと分かっていた訳ではないので食べる食材1つ1つ、口に運ぶ1口1口がもう恐怖でしかなかった。

 だがそれは学校の給食に限った話ではなく、家に帰ってからも続く戦いでもある。

 食卓に並ぶおかずのどれが無理なのかが分からないのだ。

 まだアレルギーと言う言葉すら知らない子供、好き嫌いは駄目だと怒られれば食べなければならない。それでもそれまでは腹を下し、ちょっと気分が悪くなる程度で済んでいた。麻疹等が出る事もなく、しばらく耐えれば良くなっていた。

 しかし、ある日の給食後、俺は今までに経験した事もないような激しい吐き気に襲われ、授業中だというのに先生に何も告げる間もなくトイレに走った。胃の中の物を全部出せば楽になれると信じて疑わなかったし、今まではそうだった。なのに、いつまで経っても腹痛が治らない。時々思い出したかのように襲ってくる吐き気は家に帰ってからも続き、いつまでも口に残っていたのは給食で食べた鯖の味噌煮の味。

 確実に鯖が駄目だと知った出来事だった。

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