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ケンちゃママ
学校から帰って一目散に向かった場所は、喫茶店。
喫茶店でコーヒーを飲みながら宿題をする、と言う訳ではなく、その喫茶店で母がバイトをしていたから遊びに行っていたのだ。
俺達兄弟の養育費に家のローンまであったのだから親父も母がバイトをする事に賛成だった。と言うより、祖母が母に「働きなさい」と言ったらしい。
そんな訳で喫茶店で働き始めた母。
その喫茶店は子供の俺の足でも家から数分の距離にあって、マスターがかなり良い人で、行くとミックスジュースを作ってくれた。
俺はそんなマスターの手元を見るのが好きで、いつも1番隅のカウンターに座った。
「ケンちゃママ、コーヒー頂戴」
少し若い男性が入ってくるなり注文をすると、母は、はいはいと返事をしてコーヒーを淹れる。
ケンちゃママと言うのは母のあだ名のようなもので、ケンちゃんのママ、と言う意味だ。そんな中でマスターは母を「木場さん」と呼んだ。
普段は皆と一緒にケンちゃママと呼んでいるらしいのだが、俺が店にいる間は木場さんと言うようにしていたらしい。理由は、
「ケンちゃんだけのママじゃないものね☆」
だった。




