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神器邂逅《前編》

ここまで読んでくれてありがとうございます!!

もしよろしければ、感想やここ直した方がいいんじゃ?みたいなことを書いてくれたら嬉しいです。

ただ、自分はとても豆腐メンタルな雑魚なもので、できれば辛口レビューは遠慮したいです・・・。


これからもそこそこのペースで頑張っていきたいと思います!!




闇。


今、俺の前を支配するのは永久の闇。深い暗闇が続いていた。何時からそうしていただろうか、思い出せない。


漆黒の闇。一筋の光明さえ見出だせない暗黒の世界。目を閉じた際の暗闇はそう嫌いではない。しかし、この闇は俺の知りうる中でも特別暗かった。


俺はこの暗闇を恐れた。何故だか分からないが、とても恐かった。


早くこの暗闇から目覚めよう。そう思い意識を覚醒させようとする。


だが、闇は俺を逃さなかった。



何かが近付いてくる気配がする。深い闇の中でも分かるほどの強烈な存在感を放つ何か。俺は恐怖でどうにかなってしまいそうだった。




「やっほークロスケくんっ」


「やっぱてめえの仕業かっ!」



俺の視力返せっ!

ビビっただろうわああああああああん!







俺の名を呼ぶのは長い紅髪を靡かせる一人の妙齢の女。名は紅。この前自分で付けてた。


目が見えなくても、奴の紅髪はとても印象的ですぐに思い起こせる。


見た目だけならファッション雑誌のトップを飾れそうなくらいの容姿。おっぱいもデカイし。


だが、如何せん中身の方が……




「目を刈り取ってみたよー。どう?」


「どう? じゃねーよこのスットコドッコイがっ!」


「えー? じゃあ今度はどの五感を奪おうかなー」


おまっ、五感奪うって幸村かよ。



「んで、何の用で呼び出したんだよ。さっさと用件を言え! あと目戻せ!」


「うるさいなー。大体、クロスケくんが邪な考えを持ってたのがいけないんだよ?」


「なんだって?」


「何だかわたしを見ようとする目がエッチだった……」


「……」


確かにおっぱいをガン見しようと決意していたことは否めない。


だがそれはアーシアとの和やかな時を邪魔されたから仕方なく、なんだぞ?


紅は嘆息しながら言葉を継ぐ。


「キミを呼び出したのはね、2つ」


ああ、目戻してくれないんだ。


普通さ、こういうのは「もう、仕方ないなあ。今度から気を付けてね?」っていう感じで許してくれるんじゃないの?


まあいいや。こやつ相手に何を言っても百倍返しにされるだけだし。






「まず1つ目。クロスケくん、わたしとの約束忘れたの? なんであの場面で二人の人間を殺さなかったの?」



アーシアとその弟のことか。あーやっぱりそこは神様だから見てるのね。困った困った。



「理由は簡単だ」


「なに?」


「可愛かったから」


ハーッハッハッハ!! 堂々と言ってやったったぞ!


「えいっ」


「ふごっ!」


顔面に衝撃が走る。こいつ、殴りやがった!


「まーいいや、解析したけどアレは違うみたいだし」


解析できるなら俺の意味なくない? なくなくなくない?


「だったらさっさと全人類の解析でもしてろやこのアバズレ」


ドッゴオオオオオオオン!


「この前も言ったけどわたし、もうそんなに力ないんだよねー。単体に対してならそれなりなんだけど、世界全体に対しての干渉は厳しいかな」


俺の腹に風穴を開けながら冷静に話す紅。


「ゴホッ!」



そう、紅の目的は人捜し。この世界に人間として擬態し溶け込んでいる神族の一人を探し出すこと。


殺せば神族かどうかは分かるようで、その為に、俺は人類滅亡作戦を言い渡された。


恐らく捜し出したあとは……紅の性格からいって穏便に済ますとは思えない。


ドキッ☆●●●●だらけの▲▲▲!ポロリもあるよ(生首的な意味で)が始まるに違いない。






「じゃあ2つ目。キミにプレゼントあげる!」


パチンッと音が鳴る。すると、急に視界が戻り、紅の姿が映った。


「まさか、プレゼントってこのこと?」


ヒドイ! 人の視覚を奪っておいてそれをプレゼント感覚で返すとか! 人間のすることじゃねえっ! あ、こいつ人間じゃなかった。


「わたしそんなヒドくないしーちゃんとプレゼントあるしー。ほらっ」


紅がもう一度パチンッと音を鳴らす。すると……



「ハッ!? ここは……どこだ……?」


一人のイケメンの青年が現れた。



「えーっと、これは?」


紅に説明を求める。


「また一人ぶち殺して連れて来たの。この子と協力して任務にあたるといいよ?」


「またぶち殺して……!?」


オイオイまた俺みたいな犠牲者を作り出したのかよ。さすが外道女だわ。


「この子はクロスケくんと同じ世界から連れて来たからキミと馴染み易いはずだよ? どう? わたし優しくなーい?」


「優しくなーい。げどーう」



と、こんな風に紅と言い合っていたらイケメンくんが話し掛けてきた。



「なあ、ここって所謂神の間ってやつか?」


オイオイ随分と物分りのいいイケメンじゃないの。







「そーだよ。わたしが神様でーす。名前は紅ちゃんでーす! 以後よろしくっ」


随分と軽い神様だな。知ってるけども。


「異世界転生の神様は白髪の天使の爺と相場は決まっているんじゃないのか……?」


イケメンが何やら小声でボソボソ言ってる。なんだろう。


「そうか。では神よ、俺は異世界に行くんだな?」



おお、初対面の神にそんな態度とはイケメンくんもやるなー。というか、そんなに早く神って信じれるのか? 只の馬鹿そうな女にしか見えなくないか?


「そうだよー。物分りいいねーキミ」


「ガハッ!」


右手で俺を薙ぎ払いながらイケメンくんに笑いかける紅。ヒドイや俺ばっかり。



「じゃあ想像した物を具現化する能力と世界最強の身体能力をくれ」


え? 図々しくね?


ああ、俺も似たようなこと言ったな。



「……アハハ。キミもクロスケくんと同じようなことを言うんだねー」


アカン。紅はんキレてはる。笑顔だけど怒りマークが見てとれる。


「あと属性は闇、光、炎、氷、水、雷がいい」


「……」


「あと定期的にアニメ送ってくれ」


「……」


「あと」


「アハハ。うるさい」


グチャ。



ここには生身の身体なんてない、魂だけがある場だ。




なのに、こんな生身の身体をぶち撒けたようなグロテスクな音が鳴るなんて。


俺は、畏怖した。


これからは紅さんに対して態度を改めようかと思いました。






「あれー? おかしいなあ。口だけ刈り取ろうと思ったのに、消滅させちゃったよ☆」


てへぺろ☆っと舌を出す紅。


「クロスケくんにもこれくらいの力でお仕置きしてるのになあ。クロスケくんはピンピンしてるのに、なんでだろ?」


と、俺に視線を向け、首をかしげてくる。知るかよそんなこと。


というか、いつもガチで殺しにきてたんですね分かります。さすが外道女。



「クロスケくんって割りと霊力が強かったりして」


「え? 俺死神になれんの?」


俺の問いを無視し、紅は仕切り直した。



「仕方ない、クロスケくんにあげるはずだったプレゼントは無くなっちゃったから、代わりにとっても良い情報教えてあげる」


二度殺されたイケメンくんを物扱いですか。可哀想に……あの世で幸せにな。あれ、魂が消滅しても成仏できるのか? 魂が消滅ってどういうことなの?


でも怖かったので紅には聞けませんでした。



「んで、その良い情報とは?」


「ズバリ、パワーアップの方法!」


「ほう」


これには俺も興味津々。このままでも俺は強いけどパワーアップするに越したことはない。


「クロスケくんって今までに戦ったことあったっけ?」


「勝手に人の心を読むな! 一応一回ある! 惜しくも負けたけど!」


「惜しくも、ねえ。でもクロスケくんって体力は人間の平均並だけど魔力はそこそこあるんだよねー。それで霊力は…………!?」


「ど、どうした……!?」


初めて紅の驚いた顔を見た。そこにはいつものふざけた様子は皆無で――



「霊力がこんなに……まさか」


「へ?」


何だか、物凄い殺気を向けられている気がする。



いや、気のせいではない。何故なら右手に大鎌を召喚させた紅が真剣な顔で俺を睨んでいるからだ。


「ここで殺しておいた方が……」


え? なんで?


「ど、どうしてそうなった……?」





紅が今度は何やら左手にサングラスみたいなものを召喚した。いや、サングラスそのものか? それを紅は着けて一言。


「ふむ」


「?」



「やーっぱりわたしの勘違いだったみたいっ。何でもないや!」


またいつもの陽気そうな笑顔で紅はそう言った。なんだなんだ状況が掴めないぞ。それよりそのサングラスは何だ? スカウター的な物ですか?


だが紅はそのスカウターサングラスをすぐに仕舞ってしまった。


「じゃあさっきの話の続きね。神器って知ってる?」


「神器……どこかで聞いたような……あ! ああああ!?」


忘れてた!! リン! あのおっぱいなくノ一! 尻尾が可愛い女の子忍者!!


しまった! 奴らに捕まってる間完全に忘れてた! リンは無事なのか? 心配だ……。



「あーあのクロスケくんにデレデレだった女の子? すんごいピンピンしてるよ?」


「ホントか? 良かった……」


神である紅が言うんだから大丈夫だろう。


「クロスケくん……」


ん? 紅が何だか悲しいものを見るような眼差しなんだけど。


「はあ。クロスケくんってお馬鹿さんなんだね」


は? んだとコラ。年中パッパラパーなてめーに言われたくねえよ。


「もうこれ以上殴るとこないから、あんまり怒らせないでほしいかなー?」


「すいませんでした」



仕切り直し。


「それで神器って何なんだ? 名前くらいしか聞いていないから分からんぞ」




「神器っていうのはね、大昔に神族が世界に住む者達に対して授けたすんごい道具のこと」


「ふむふむ」


「この場合、神族っていうのはわたしのことなんだけどね。他の世界だと、その世界の神が用意するの」


「世界ってそんなに何個もあんのか? 俺のいた地球と、このファンタジー世界だけじゃねえの?」


「いやー? 神族の数だけあると思っていいんじゃないかな? 一神一世界っていう法則があって、一人の神族が作れる世界が一つあるの」



おおお、何だかスケールがデカい。



「それで頑張って造った神器を世界に住むみんなに貸し出してるの。わたしってえらーいっ」


「なんで貸してるんだ? 争いの元にならね?」


「だって神族じゃ神器使えないんだもん」


「はい?」



自分で作った神器が使えない? 謎だ……。



「これは神族の誰にも分からないんだよね。知ってるとしても神族の長くらいかな。でも神器を使いこなせる者を選定するために自分の世界に自分の神器を落とすんだ」


「何故そんな真似を? 誰かと戦争するわけでもなしに……」


「自分の持つ世界=戦力っていうのが神の間でのステータスみたいなものだからね。単純に強いのがカッコイイからって理由と、来たるべき日の為に……うーん、いいや。クロスケくんに言っても意味ないし」



思わせぶりは良くないぞ。まあ要するに自分で育てたデジモンを強くしたいとかそんな感じだろ?



紅にとっては俺やセーレ、彩香、アーシアも自分の駒の一つというわけか。


「この世界が紅の作った世界なら、俺の元いた地球は誰の作ったもんなんだ?」



すると、紅は一瞬動揺した素振りを見せたが笑顔で、



「なーいしょっ!」





その後、俺は紅から神器についての説明を受け、無事神の間より帰還した。



意識が戻った時はみんなが慌てていて少し可笑しかったな。笑ったらセーレに怒られたけど。あー恐かった。





俺の体調の無事を確認した後、セーレ、彩香、ロードと共に魔王城へと帰ることになった。


その際、トリノキ町の住民だった魔族達にも一緒に魔王城へ来るかと誘ったのだが、丁重に断られた。トリノキ町に残るのだそうだ。


そういや、俺よりもセーレ達に対して敬意が溢れんばかりに出ていたな。


もしかして、セーレ達って魔族の間では超大物なんだろうか。俺魔王だけど魔族でも姿を知らない奴も多いらしいから一般人扱いだったわ。



だけどそのおかげで住民からアーシアへ、俺が魔王だとはバレずに済んだのでその点は良しとする。



前の魔王さん、クロルの姿を知ってないとやはり俺の姿を見ても魔王とは認識できないらしいってのはちょっと厄介だな。


いや、当たり前と言えば当たり前なのか。存在ごと入れ替えたわけなんだし。


つまり、俺の元いた世界ではクロルドレアが“黒田黒助”として生活しているはず。


魔王城にいる皆が言うからにクロルは人畜無害そうではあるのだが、膨大な力がありそうなのは確か。


一刻も早く元の世界に戻らねば。


俺はそう決意を新たにした。



でもすぐにアーシアの顔が頭に浮かんだ。ウヘへ、可愛かったなあ。





アーシアには最後まで別れを惜しまれた。


うむ、俺も悲しい!


最後にはセーレさんに強制連行されお別れとなった。まあ、また会えるさ。多分。




あ、そうそう。アーシアや俺らのことを拘束してた三人組は魔族を奴隷として売り払う奴隷商人だったらしい。


そんで二十人ちょいはいたド派手な格好の世紀末集団の連中はその奴隷商人に雇われたアウトロー。アーシアは魔族達を庇って戦って捕まってしまったんだと。


アーシアは強かったが弟を人質されてしまって身動きが取れなかったと、アーシアは悔しそうに言っていた。



まあ何にせよ、一件落着ってやつだ。






魔王城へと帰還すると何やら城内は騒がしかった。


どうやら魔族の中でも割かし地位の高い者が殺されたかもしれないとのこと。


死体がないので詳細は不明だが一人の魔族が行方不明らしい。

なんだなんだ魔王城の中で殺しとか……まさか、裏切りか? 同胞殺しとは感心せんな。



俺がそんなことを思いながら自室目指し廊下を歩いていたら、急に誰かに肩を掴まれた。ほっそりとした手の感触だったので女の子かな? と期待して振り向いてみたら、



鬼。


そう、鬼がいました。いや、美人なんです。美人なんですよ? でも鬼でした。



ふふふ、と綺麗に笑うセーレ。しかし、瞳は妖しい何かを放っていた。


あれ? もしかして、この人ドS?



「魔王様、今日のこの出来事の顛末、全てお話してもらいますよ? いいですね?」


「Yes,sir!!」


光の速度でネイティブに言いましたとさ。

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