最終話
宵口の街角には、雪がちらちらと舞い始めていた。
見上げて吐いた白い息に、改めて寒さを感じ、彼女はマフラーを鼻近くまで引き上げる。
片手に持ったスマホの画面は、先ほどまでラインのやり取りが続いていた。
もうすぐ着くから
→あせんなくていいよ
→あと5分
→こけるよ
→(猛ダッシュするくまのスタンプと転んでけがをして泣いているくまのスタンプ)
馬鹿だなぁ、と思わず笑顔になる。
それから程なくして、目の前に人の立つ気配を感じ、顔を上げた。
「ごめん、先輩に説教くらってた」
「大会近いもんね。無理しなくっていいのに」
「駄目だよ、今夜はミキの誕生日祝うって約束なんだから」
伸ばされた手を取り立ち上がる。
と、そのまま強く抱きしめられた。
「ユウくん?」
「・・・遅くなって、本当にごめん。ずっと待たせたな」
いつになく真剣な様子に、とまどう。
「どうしたの?なんか変だよ」
腕の力がふと弱まり、間近で顔を見合わす。
「・・・なんだろ。自分でもよくわかんないけど、すごく言いたくなった」
「謎なんですけど。ちょっと、なんかやましいことしてるんじゃないでしょうね」
「ないない」
顔を見合わせたまま、互いに吹き出してしまう。
そして歩き出す。明かりの灯りだした街へ。
しっかりと手をつないで。
-いつか、また会えたら、その時はもう二度と、その手を離さない-
見届ける星たちがくすくすと笑いあう。
本当はそんな言葉じゃ全然足りないくらいだよね、と。
眩い街の明かりで星が見えなくても、こんなに多くの星々が、あなたたちの幸せを見守っている。
だから、どうか幸せに。
最後までお読みいただいた方、本当にありがとうございます。
いつか、ユキノとカズサの話を書けたらいいなと思っています。
お気づきの点、ご感想等を頂けるととても嬉しいです。




