第1話
一瞬でも興味を持っていただいてありがとうございます。
随分長い間書くことを諦めていて、でも諦めきれずに書き始めました。
これは、復活して一番最初に最後まで書き上げた話です。
今夜も夜空に星が流れる。
地上の人はその軌跡に願いを捧げるという。
だが、降る星そのものが抱く、強く激しい祈りのことは、だれも知らない。
太陽が地平に消えゆく黄昏時、星達は今日もまた眠りから醒めた。
彼女もまた、そのうちの一人だった。
周りの星々と軽く挨拶を交わす。
自分の名前は分からない。
途方もない長い時を、彼女は星として生きてきた。
初めて目が醒めたときには、自分が星になっていることに気づき驚愕した。
「おはよう。いや、いらっしゃい、かな」
目の前でゆったりと笑う、人の形をしたその方は、自らを「神様のお使い」と名乗った。
愛する人と、本当ならば結ばれて幸せに暮らすはずだった。
生まれ変わってもずっと。
だけど、何かのはずみで運命が捻れ、離れ離れになったまま、命が尽きてしまう恋人たちがいる。
それはたとえ神様でも防ぐことはできない。唯一できるのは、2つの魂の時間軸を再び重ね合わせるため、後に残された魂を、死後こうして星に還すこと。
そこで、先に生の時間に戻っていったはずの相手を探し出し、再び巡り合うのだと。
到底信じられる話ではなかった。
そもそも、彼女にはもとから、自分が誰を探しているのかも全く記憶がなかった。
見つけられるわけがない。
それを聞いて、彼の人はより一層笑みを深くした。
「そんなことは問題じゃないんだよ。君は、いや、ここにいるすべての星達は、確かに愛した人のことを覚えている。名前や出来事ではなく、その人の存在を、心の底から、ずっと。そして、彼を見つけられるのは君だけだ。もし、彼の命を探し当てたら」
行きなさい、彼のもとへ。
まっすぐに。
信じられなかったけれど、周りの星々は、次々と現れては、彼女の目の前で流れていった。
「見つけた」
「あの人よ」
「今行くね」
星としての彼らの幸せそうな最後の声が、今も耳に残る。
そして彼女たちは眺めてきた。
地上に流れていった彼らが、大切なその人と微笑みあう姿を。




