3/9
Memory
二階へ通されると襖の奥から複数の声が聞こえてきた。
「おっ、早速集まってるな。もう飲んでるのか?」
笹倉薫平が襖に手をかけると一斉に皆がこちらを向いた。
「おぉ、元気にしてたかー。」
「三宅に笹倉ー。久しぶりじゃんか。」
次々と声をかけられ、数年ぶりに懐かしい面々と会い俺は再び高校生になった気分だった。
「懐かしいなぁ~。今何してるんだよ。」
そんな世間話をして席に着きしばらく談話していたら、
幹事が挨拶をし乾杯の音頭をとろうとした。
「ごめんなさい、遅れちゃって。」
襖を開け入ってきた女性がいた。
遠藤文乃は花柄のワンピースに薄手の白いカーディガンを着ていた。
彼女とこうやって対面するのは何年振りだろう・・・。
あの頃よりまた一段と美しくなった気がする、いやなっていた。
まるでそこだけ大輪の花が咲いたかのようだった。