第三十四話 アジト
「本当に合ってるのか?」
俺は思わずそう聞いた。
街道から外れ、森を抜け、さらに山道を進み、気付けば人の気配すらほとんどない場所まで来ていた。
先を歩くキャリーは振り返る。
「合ってるよ、でもさっきから何回も聞いてるよね?」
「だって怪しいだろ」
「失礼だなぁ」
キャリーは頬を膨らませた。
だが正直そう思う。
討伐団の拠点と聞いて、俺は街の建物や砦のようなものを想像していた。
なのに、目の前にあるのは巨大な崖だった。
「どう見ても行き止まりじゃないか」
「まあ見てて」
キャリーは自信満々だ、俺は半信半疑のまま後をついていく。
すると――。
「ここよ」
キャリーが立ち止まった、俺は辺りを見回す。
何もない、いや、よく見ると、崖の一部に大きな亀裂が入っていた、自然にできた割れ目のようにも見える。
「ここ?」
「ここ」
「本当に?」
「本当に」
怪しすぎる、どう見ても隠れ家だ、俺が警戒していると、キャリーは笑った。
「そんな顔しなくても大丈夫、多分ね」
「最後の一言が怖いんだけど」
キャリーは気にせず亀裂の中へ入っていく、仕方なく俺も続いた。
中は意外と広い、少し進むと自然洞窟になっていた。
ひんやりとした空気。壁には魔法灯らしき光が並び、誰かが整備した跡もある、どうやら本当に人が住んでいるらしい。
さらに奥へ進むと、ざわざわと人の声が聞こえてきた。
「帰ったよ!」
キャリーが大声を出した瞬間、洞窟の奥から何人もの視線が集まった。
剣を持つ者、槍を持つ者、ローブ姿の魔法使い、年齢も様々だがどう見ても歴戦の戦士たちだった。
「キャリーか」
「おかえり」
「討伐は終わったか?」
口々に声が飛ぶ。
キャリーは笑顔で手を振った。
「もちろん!」
そして俺の肩を叩く。
「それと新しい人連れてきた!」
全員の視線が俺へ向く。
「……」
「……」
俺は軽く会釈する。
「アルです」
すると誰かが呟いた。
「また変なの拾ってきたな」
「おい聞こえてるぞ」
すると周囲から笑い声が起こった。
そしてキャリーは満足そうに言った。
「ボスはいる?」
その言葉で、洞窟の奥の空気が少しだけ変わった、どうやら討伐団の団長がいるらしい。
俺は思わず姿勢を正した、これから会う人物のことを知らないまま。




