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【観測者の時空】番外編『中継セクター』 ―サボり屋カノジョの監査ログ―  作者: Taku
第2章:中継セクター深層ログ

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【御前会議_01】 会議の前の小さな緊張

中継セクター。御前会議が始まる直前。


雇い主は珍しくスーツを着て立っていた。襟を何度も直す。顔は明らかに青い。


カノジョは壁際に座り、ラムネをポリポリ食べながら首を傾げた。


カノジョ「雇い主、これからなにが始まるの?」


雇い主「……『彼女の時空』の御前会議だ」


カノジョ「それって美味しいの?」


雇い主「…………カレシ君、頼む」


カレシ「簡単に言うと、雇い主が新作の構想を提案し、長老をはじめとする面々が『繋げてもいいかどうか』を審議する、ということです」


(画面に資料が浮かび上がる)



 ――新作『彼女の時空』の創生について――


プレゼンター:雇い主


議決者:

1.計画_長老(彼女の計画)

2.喫茶_女将(彼女の喫茶店)

3.外伝_隊長(彼女の計画外伝)

4.読者_博士(読者地図)

5.観測_青年(観測者の時空)


議事録:

6.インフレ_監査役

(彼女の、不可逆なインフレーション)

7.教室_学生(彼女の教室)


   ――――――――1頁―――――――




雇い主「うっ……腹が……、帰る」


カレシ「いえ、健康です」


カノジョ「うわ、すごっ。長老、重鎮だ。えっ、雇い主が議長じゃないの?」


雇い主「違う」


カノジョ「作者なのに?」


雇い主「それがな。ふー。

『事件は現場で起きてるんだ』とか

『君は読者の何を知っているんだね』とかな。

ふー」


カレシ「隊長と博士ですね。権限が現場へと移りましたね」


雇い主「あいつも生意気になりおって。私が生み出したのに、何が『最近の小説のトレンド、観測しましょうか』だ」


カノジョ「それ分かるー。青年でしょ!いま、私出てるから」


雇い主「この前も通りすがりに『長老の熱量に引っ張られないでくださいよ』とか釘さしおって辛味噌がー」


カノジョ「言いそうー」


雇い主「その点、女将は唯一の安らぎだよ。コーヒーが旨いんだな、これが。ん?うっ、突発性の高熱か?」


カレシ(手帳から顔を上げて)

「平熱です。雇い主、いよいよです。『彼女の時空』の御前会議。二人で応援しています!」


カノジョ「御前会議ってお弁当でるの?なんとか御膳みたいな」


雇い主「……無論。幕の内弁当だ」


カノジョ「やったー!」


雇い主は深く息を吸い、スーツの襟を直す。そして、時空の狭間の扉を見つめた。その先には、円卓が待っている。


雇い主「……行くか。……その前にトイレだ」



(ブツブツ、ブツブツ。小声が漏れる)



カレシ「…………30分経ちました」


カノジョ「まだ出てこないね」


カレシ「雇い主、さすがに出てきてください」


それから更に10分経過。


彼は意を決して歩き出した。

カノジョとカレシはその後ろ姿を見送る。




カノジョ(壁際から)


「ねえ、カレシ。あの空席、誰もいないよね?」


カレシ(手帳を開いて)


「そのはずです」


カノジョ「でもさ——」



(間)



「なんで誰も座ってないって分かるの?」



——会議は、これから始まる。



──会議前の不穏な中継セクターはこちら──

https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/3034788/blogkey/3657849/

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