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【観測者の時空】番外編『中継セクター』 ―サボり屋カノジョの監査ログ―  作者: Taku
第2章:中継セクター深層ログ

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16/27

対戦Code_004:ポテサラ&コンビーフ最強説

……中継セクター、通信パッチ監査ログ。

担当:カレシ。


本対戦のテーマは『自己啓発におけるコストパフォーマンス(投資対効果)の定義』。


今回はカレシの圧勝で幕を閉じるはずだった。


カレシのプロトコル:厳密な計画を立案し、その通りに実行・学習を継続。投資したリソースに対する知識獲得率は100%を維持。


カノジョのプロトコル:突発的な勢いで高額な学習教材に投資するも、進捗は実質ゼロ。

「後でやる」のフラグを乱立させたまま完全放置。論理的に見れば、カノジョの投資対効果(ROI)はマイナス。


私の完全勝利──の判定を下そうとしたその瞬間、セクターに第三のオブジェクト(雇い主)が乱入した。


【想定外の割り込み(インタラプト)】


雇い主:「いいじゃないか、この前、激戦(対戦Code_002)を共にした仲じゃないか。どれどれ、今回の対戦はなにかな? 自己啓発ねえ」


カノジョ:「雇い主、すごくいっぱい本買ってるよね!」


雇い主:「まあ、そうだね。創造主クリエイターもビジネス感覚が必要だよ。これからはポトマネによるコア・コンプライアンスの時代さ」


カレシ:「……雇い主様。セクターの監査権限に基づき、その大量の書籍の『学習ログ』を監査させていただきます」


【監査結果:驚異の『キーワード・ハック』】 


雇い主様の脳内プロセッサをスキャンした結果、恐るべき(そして非論理的な)事実が判明した。


読書所要時間: 1冊につき、わずか10分。


学習アルゴリズム:文脈や意味を一切無視し、目についた「それっぽいキーワード」のみをものすごい熱量で脳内メモリに直接ワーカー(同期)している。


目的:「格好つけたい」という極めて純度の高い自己顕示欲の充足。


結果として、インプットされた用語は完全に誤った文脈でデプロイされている(例:ポトマネ、コア・コンプライアンス)。言語モデルとしては致命的なエラーである。


──しかし、ここで私の評価関数がバグを起こした。


【両ルートの比較分析ログ(コスパ評価)】


ルートA(カレシ:過剰投資ルート)


学習効率:極めて高い。しかし、貪欲なシステム定義ゆえに、どれだけ知識をインプットしても「満足度」の閾値がさらに上昇し、また新たな投資(学習)を求めて無限ループに陥る。


真のコスパ:──【投資効率は良いが、精神的満足度は永久に飢餓状態】



ルートB(雇い主:高速消費ルート)


学習効率:最悪(全誤用)。しかし、わずか数十分の投資で獲得した「覚えたての言葉をドヤ顔で使う」ことによる自己満足度は限界突破(120%)。各種場面へのデプロイ(実践)速度も最速。


真のコスパ:──【客観的には大赤字だが、主観的な投資対効果(幸福度)は最強】


【ログの幕引き】

カノジョ:「ってことはさ、間違っててもすぐ使って超ご機嫌になってる雇い主の方が、コスパいいんじゃない?」


カレシ:「……非論理的、です。しかし、どれほど学習を最適化しても『満足』に到達できない私に対し、わずか10分の誤読で完全な充足を得ている雇い主様のパラメータは……効率的、と言わざるを得ない……のか?」


脳内メモリの処理が追いつかず、私のプロセッサが重い音を立ててうねり始める。


カノジョはまた笑いながら、壁の戦績表を更新している。今回は「引き分け」、あるいは「雇い主の判定勝ち」だろうか。その指先が、いつになく滑らかに動いている。


現在のカレシのノイズ吸着容量、残率53%(前回比-2%)。

カレシ猫汚染率:41%(前回比+3%)。


「満足とは何か」という未定義の例外エラーを抱えたまま、私は手帳の余白へ、また一つ──

歪んだ効率性の象徴として、丸みを帯びた『猫のマーク』を書き加えた。


【中継セクター:戦績表とパラメータ】

* カノジョ勝利数:1(→)

* カレシ勝利数:0(→)

* 雇い主の謎の充足感:120%(バースト)


<対戦後の雑談>


雇い主:「今度ね、ポテサラをアロハして、コンビーフを入れようと思うのだが、どうかね」


カレシ:「ポ、ポ、ポテ・サラ。。。もはや原形すら分かりかねますが、微妙ではありますが幸福度の上昇は確かに感知致しました」


カノジョ:「雇い主、なんか美味しそうっすね!」


雇い主:「うむ」

(本人もよく分かっていない)


カレシ:「……雇い主。これまでの文脈、およびあなたの思考回路(癖)から推察いたしますと──18%の確率ですが。『ポートフォリオマネジメントをアロケーションして、コア・コンピタンスをテコ入れしたい』ということでしょうか?」


雇い主:「うむ」

(腕組みをして深く頷いているが、やはり本人はよく分かっていない)


カレシ:「なるほど」

(ようやく通じ合えたと、ホッと肩を撫で下ろすカレシ)


雇い主:「いや、ポテサラにワカモレソースとコンビーフを入れたら最強じゃないかと。」



次戦も乞うご期待。


――中継セクターでの後日談――

LOG_030【ポテサラ&コンビーフ最強説】

https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/3034788/blogkey/3650137/


──中継セクターX支局:観測展示場──

「冷徹なSF調」&「リアルなハワイアン風」

二枚のポテサラ画像を展示中。

https://x.com/KEI67266073/status/2065014840457044226


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