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彼女の死  作者: 遠藤良二
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彼女が死ななければならなかった死の原因とは!?

 僕は車で数十分走り、ようやく楓の住んでいたアパートに到着した。


何だかここに来るまでずいぶん、いつもより時間がかかったような気がするけどきっと気のせいだろう、と思うことにした。


楓の車が停まっていた所に僕の車を停めた。


そして、合鍵でドアを開け中を覗いてみると、なんとなくではあるが、警察の捜査は既に終わっているかのようにみえた。


僕は、瞬時に彼女が生きて一緒に楽しく過ごした日々に頭の中だけタイムスリップした。


些細なことで一緒に笑ったり、ちょっとしたことでへそを曲げたり。


それから、飼っていたハムスターが死んだと言って一緒に泣いたりとか、そうかと思えば、クロスワードパズルの好きだった楓が難問にさしかかり、それに僕が答えると関心して凄くそれが楽しかったりと、本当に考え出したら切りがない思い出達ばかりだ。


 僕はフッと我にかえり、辺りを見回した。


そして、一つづつ丁寧に楓の大切な家具を探ったり、見たりした。


それから僕は時間を忘れて何かないか、何かいなくならなければならなくなった原因みたいなものがないか懸命に探した。


 


 だが、二時間ぐらい見て回ったが何一つ手掛かりのようなものはでてこない。


既に、警察が持っていった、という可能性もある。


段々、仕方なくなってきて、僕はスマホを見た。


時刻は21:14と表示されていて、ソファに座った。


それと、僕は今まで気付かなかったことがある。


よくよく見てみると画面の一番上にメールのマークがついていたのだ。


僕はすぐにそのメールを開いた。


相手はなんと……、森下楓からのものだった。


本文を読んでみた。


このメールに気付くのは鈍感なあなたのことだからきっと、私がいなくなってしばらく経った頃だと思う。

実は私ね、ガンなの。それも進行が速い胃がん。

そこで私、思ったの。

ガンなんかで苦しんで死ぬくらいなら、ていうか致死率100%なら私のほうからこの命くれてやるわと思ったの。

それと、今はもう許しちゃったけど、慎吾の浮気。

いけないことだぞ!

私は慎吾のことを信じ過ぎてた。

パーセントで言うなら100%信用してた。

でも、残念ながらそれも裏切られたね、信悟に。

けれど、そんなことはもうどうでもいいの。

私は今、練炭を車の中で焚きながらこの長いメールを打ってるの。

でも、どうやったら生きられるんだろ……。ねぇ、慎吾。教えてよ。その方法を。


徐々に煙が充満してきたよ。

わーい。あの世にいける!

なーんてね……。

もうそろそろさよならだよ……。

くやしいよ



メールはそこで終わっていた。


僕はそれを読み、呆然としていた。


「楓が胃がん…?僕はそんな話し聞いてない……」


今に至っては、悔しいやら、悲しいやら、様々な感情が複雑に絡みあって僕を苦しめた。


何の力にもなってやれなかった……。


僕も楓と同じ真似をすべきか迷った。


だがだ。


僕はあることを決意した。


それは、楓の分まで生きること。


生きて生きて、生き抜いてやる!


そう心に決めた。


僕はとりあえず、時間も遅いので自宅に戻ることにした。




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