#51 たとえ、どれだけ変わったなんて言われていても
『リヴ』
不機嫌そうにリヴァストを呼ぶグスタークに、リヴァストは苦笑しながら頭を小突く
そんなリヴァストがずっと考えていた……裸足で歩くグスタークの姿に、魔力に反応しない靴を作るべきか、と考える
どうしても、大樹の王となってからは靴を履いても、使用した素材に少しでも自然由来の物が使われていると使えない
ミレニアノールも裸足だったので、それなら二人分、16柱で一度話し合うことにしようと決めた
『お前なぁ、怪我してねえだろうな』
『してないよ』
『じゃあいいけどよ、お前、見てて怖ぇから無茶すんな、【Holy bless】は無理したろうがお前、本来【Holy bless】はそいつの魔力を必ず半分以下使用して発動するのが条件だろうが……半分も枯渇したら後の地戻しじゃさらに持っていかれるっつの』
リヴァストは本気で心配しているから、ここ最近はどうしても話をしても仕事だったりとか、怒られることもなかったから少しだけ寂しく思っていた
大樹の王になった事に、何故か皆負い目を感じている
自身で選んで決断した事だが、そうなった原因、助けられなかった罪悪感でずっと皆優しかった
でも、求めていたのは優しさじゃなくて今まで通りの関係
怒られるのも、心配されるのも嫌いじゃない
ただ、心配されるだけは嫌だから
『………ふひっ……』
『なに笑ってんだこの阿呆』
首を軽く締めながらリヴァストはグスタークを怒る
死ななくなったとしても、それでも痛みや苦しみが無くなったとは思わない
ないように振る舞ったとしても、それが本当に悲しいだとか怖いだとか、嫌だという感情がなくなるとまでは思わない
それまで捨てることになったら、多分、全員後悔のあまり自殺でもしかねない者もいるのだ
『んー、やっぱり、リヴはリヴだって思ったの』
『あん?どういうことだ』
『んーん、ありがと、リヴ』
くるくると回りながら嬉しそうに笑うグスターク
やはり、笑う顔が皆一番だ
さらさらと、伸びてしまった髪が光に照らされて輝く
髪の色も変異して、少々薄水色にさらに薄っすら緑が入ったその髪は、今にも地面につきそうで困るよ
リヴァストは、そんな長い髪を手に取る
『……はっ!それを言うならお前はお前だろうがよ、なんも変わってねえだろ』
毛先に傷んだ箇所はないかを確認するリヴァストに、グスタークは楽しそうに笑う
『ん!』
『お前、それでもミーナには謝っとけよ?ミーナも心配してたぞ、怪我しないかとか魔力枯渇とか』
『!うん!』
『嬉しそうだなぁ』
『うれしーよー?皆好きだからね』
『カイウスの説教も聞いてやれよ』
『はぁーい』
勿論、カイウスどころかエディ、ルーシス、ヘルミーナに説教されたグスタークだったが、怒られるのが久しぶりだったのか、嬉しそうに笑いながら全員の説教を楽しんでいた
余計怒られたけど
リヴァストはグスタークにひたすら甘いので




