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救世主求ム。詳細は村長へ。  作者: にしすけ
第三章 勇者カイト
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ザンブルクのどうくつ②~魔物達とコルビンの阿鼻叫喚

「登場は派手だが、巨人の倒し方は案外やさしい」

カイトがつぶやく。

「そうなのですか?」

「うん」

「はあ……」


「巨人という名前からわかるように奴らもある種の人間だから。基本的に急所は人間と変わらない。そして巨大化しているということは、逆に弱点を広く晒していることになる」

「そんなもんですかね」

「ちょっとがんばればコルビンさんでも狩れますよ」

そう言いながらサヤは純真な目で見つめてくるのだから冗談なのか本気なのかがわからない。コルビンは一瞬真剣に悩まされた。


「行くぞっ!」

たたっ、とカイトがアンデッドの群れを掻き分ける。一瞬誰かに足をつかまれたが蹴って無理やり弾き飛ばした。勢いをつけ、そして高く跳躍。岩壁を蹴り、さらに跳躍。身長が数メートルはあろうかというタイタンの目の前の高さに現れた。

「死んでもらう!」

突然現れた人間に、あのタイタンがびびっていた。勇者を相手にしたのが哀れ運の尽き。顔面を真っ二つに叩き割られ、轟音と共にその場に沈んだ。皆がパチパチと拍手する。


「すごい」

とは言うものの、急所を狙うとかいう話はなんだったんだ?そして簡単に倒せるみたいなことを言っていたがぜんぜんやさしくないぞ?とコルビンは心の中で色々思うがポーカーフェイスに努める。エルマは例によってつまんないを連発していた。


「さあ、続きを狩るぞ!」

「……はーい」


右を向けばアンデッド、左を向いてもアンデッド、前からも、後ろからも、そして時には地中からも奴らはやってくる。かなり絶望的な状況に聞こえるかもしれない。


「やっほーまた来たあー!食らえ火炎魔法!」

「アニーだけずるい!全部独り占めにして!」


「喰らえ回し斬りだ!」

「みんなの攻撃力2倍に上げといたからね」

「散れ散れー!」


そんなこんなで、勇者一行は敵を倒すということを楽しんでさえいたのだ。コルビンは得意の回復魔法があまり効かないので、アンデッドに追われると叫び声を上げて助けを呼んだ。このようにもう震えて待つことしかできないが、ときたま仕事をする機会が出てくる。


「コルビンさん、お願い!」

サヤが懇願するような目でコルビンを見た。そういうときコルビンはもちろんフルパワーで回復魔法を放った。

「ありがとうございました!」


その調子でずんずん奥へ奥へと突進していく。通った後には動かなくなったアンデッドの残骸が残るのみ。


「またモンスター部屋だあ♪」

特にアニーとエルマに見つかってしまえばまず命はない。範囲魔法で一網打尽にされるのだ。

現場は魔物達の阿鼻叫喚につつまれた。


コルビンすら魔物が哀れに見えてきたとき、とうとう最深部に達した。今まで見たことのない、形容しがたい化け物が鎮座していた。

『貴様ら……許さんぞ』

「その声、お前まだ生きていたのか?」

「誰です?」

「最初この洞窟に来たときさくっと倒したボスがいただろ。そいつがアンデッドになってるんだ」

そう言うとイシワタリが全員に防御力上昇の魔法を放った。


「もう一回死にたいらしいな」

『黄泉から抜け出したこのジグデガ、貴様らをまとめて膾切りにしなければ気が済まぬ』

パーティ全員を吹き飛ばすような巨大な張り手が横から襲ってきた。カイトとサヤが2人でそれを受け止める。イシワタリのお陰で受けたダメージは少ない。

『ぬう猪口才な。出でよ、我がしもべ!』

地面から溶け出るように泥人形がそこかしこに現れる。

『もちろんこやつらには回復魔法に対する耐性を付与しておる。というかこのダンジョンにいるアンデッド全員にそれをかけた。我々は無敵だ!』


「あいつがごちゃごちゃ言ってる間にいくよ、エルマ!」

「アニー、準備おっけいだよ♪」

『え、何?』

2人がいつの間にか地面に書き込んだ巨大な魔方陣を空間に展開する。そこから生み出された黒い球体。すぐに火がつき、見る見る間に巨大なマグマの塊となりジグデガに襲い掛かった。


『ぐわーっ!』

『ぐわーっ!』

『ぐわーっ!』


しもべの泥人形たちが熱で溶ける。ジグデガも雑魚同様溶けだそうとしている。阿鼻叫喚の三重奏である。

『くっ耐えろ!耐えろものども!』

「アンデッドって、火にも弱いから可哀想ね」

「じゃあね、おばかさん♪」


ほとんどアメーバのような形になったが、ジグデガは生き残った。

「た、耐え切った?!……ふふーん。面白いわ♪」

「さあ、コルビンさんも!」

「え、僕ですか!?」

「最後は回復魔法で倒してあげてよ。そうしないとアイツいつまでたっても成仏しなさそうだから」


コルビンはつかつかとジグデガに近寄る。手のひらに回復魔法を乗せ、力をため始めた。

『ば、馬鹿が!お前の回復魔法などわしらにはほぼ効かん……』

「残りの20%でお前を打ち倒すのさ!」

「それは僕のセリフです!取らないでください勇者さん!」


『ま、待て。待て待て待て。話し合いをしよう!な?』

「まったく進歩のない奴。コルビンさん、一思いにやっちゃっていいよ♪」


最大出力で回復魔法を押し出す。

『ぐううううううううううううううばかなああああ』

ジグデガは耐えていたが、やがてすぐに力を失いこの世から姿を消した。光の魔法で葬られたモンスターは二度と現世に現れることはできない。アンデッドにすらなることはできない。


その瞬間すべてのアンデッドが動きを止めた。ザンブルクのどうくつに再び前のような静寂が訪れた。

「これでナシフ村近辺の魔王の拠点を潰したぞ」

あまり感慨もないがとにかく成果は成果であった。


「残るは……魔王城!」

コルビンは仰天した。勇者のパーティに派遣されてきたがそこについては想定されていなかったはず。

「もちろん来ますよねっ?!」

とサヤが笑って聞いたので、コルビンも勢い頷かざるを得なかった。村にはなんと報告しようか。

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