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第1話 ぽっちゃり独身女性、転生す

「・・・嘘やろ、これ。」

 思わず声が漏れた。

 申し遅れた、わたくし、ぽっちゃり(あくまでもぽっちゃり)小柄(150㎝・・・あと10㎝欲しかった)な独身女性、島津楓35歳。アラサーでもなく、アラフォーでもない中途半端なお年頃。人よりも、そう、人よりもちょっぴり食い意地のはったOLである。

 前を歩いていた高校生三人の足元が光って、まぶしくて目をつぶり、10秒くらいして目を開くとそこは自然豊かな、いかにも神々が住んでますという感じの庭園に立っていた。目の前にはとんでもなく美しい、金髪で、瞳がオーロラのような女性が一人、たたずんでいた。突然のことで頭が回らない。すると、女性が口を開いた。

 「突然のことで、驚きましたね。ここはわたくしの聖域、アヴァロン。わたくしは女神テラメーテル。あなたをここに呼び寄せたの。」

 立ったままじゃなんだからと、繊細な彫刻が施された、テーブルと椅子が出てきた。女神様に促され、椅子に腰かける。

 「えと・・・、いったい何がなんだか・・・。とりあえず説明していただけるのでしょうか?」

 問いかけると、

 「ええもちろん。わたくしは、あなたたちで言う、異世界、エディブルリアを管理する女神です。自然をつかさどっているわ。実はエディブルリアで勇者召喚を行ったお馬鹿な国が出てしまったの。あなたの前を歩いていた高校生たちが勇者たちとして召喚されたの。あなたはたまたま近くにいて、その召喚に巻き込まれてしまった。」

 女神テラメーテル様は怒りと悲しみを織り交ぜた表情でそう言った。

 「ふぁっ!?なにそれ、大迷惑・・・」

 「そうでしょう、そうでしょう。わたくし、慌ててあなたの魂を聖域に引き寄せ、ここに来てもらったの。そうしなければ、あなたは次元の境目で消滅するところだったわ。」

 うなづきながら、消える一歩手前だったのだと体が震えた。

 「あの、元の世界には帰ることができるでしょうか?」

 そう質問すると、女神テラメーテル様は悲しい顔をして、

 「ごめんなさい、それはできないわ。一度、この聖域に来てしまったことで、人から外れてしまったの。今のあなたは、魂だけの状態よ。」

 ・・・なんてこった、私の体は消えちゃったのか・・・呆然とするが、怒りも悲しみも湧かなかった。感情がマヒしていたのだろう、女神テラメーテル様は悪く無いのに、悲しい表情を、悲しい思いをさせてしまったと申し訳なくなった。

 「あなたは悪く無いわ。一つ提案があるの。聞いてくれる?」

 はい、私でよければ。

 「お詫びといってはだけど、わたくしの眷属の精霊にならない?この聖域を管理してほしいの。」

 Oh、まさかのヘッドハンティング。なぜなんでしょう?私じゃなくても、ほかにも適任者がいるのでは?と疑問がわく。

 「食いしん坊なあなただから、よ。お詫びの気持ちもこめてね。ここにはわたくしたち神々の食べ物、『ネクタル』が実っているの。」

 と、桃のような、山吹色の果物を取り出して、

 「今まではわたくしが直接管理していたのだけれど、聖域が広がって、管理が大変になってしまって・・・。もしよかったら、お願いできないかしら?」

 もし、お断りした場合、私はどうなるんでしょうか?

 「そうね、そのまま魂は消滅してしまうわ。」

 ・・・ここで助けていただいたのも何かの縁なのかもしれない。それに農業とかに興味があったし。私でよければ、女神テラメーテル様のお手伝いをさせてもらえませんか?女神テラメーテル様は輝かしい笑顔を見せて、

 「ありがとう!そういってもらえるのはうれしいわ。早速、転生しましょう。」

 そう言うと、女神テラメーテル様は立ち上がり、私に向けて手をかざし、光を放ちながら、

 「あなたはわたくしの眷属精霊・アンブロシエル。つかさどるのは、神の果実、または『滋養の根源』よ。」

 私の体が光りながら、形づくられるのがわかった。

 「さあ、立ちなさい、アンブロシエル。・・・堅苦しいのはここまで!」

 にっかり笑って、

 「あなた、料理ができるのよね?ネクタルで美味しい料理、期待しているわよ!」

 と、サムズアップ。

 「さっきとは違いすぎませんか!?」

 「だって、建前だけでも厳かに、真面目にしなくちゃですもの。それにネクタル、そのまま食べるしかなかったから、わたくし、料理とかわからないし。」

 眷属精霊の件、早まったかもしれない。

 そんなこんなで、私の眷属精霊生活が始まった。

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