【要約】(第34章から第36章)
【要約】和平への最終戦略:大和とイージスの賭け
沖縄戦線が一時小康状態に入り、米軍の次の手を探る中、海上自衛隊艦隊司令・片倉大佐は、第32軍司令部で新たな危機分析を行う。モニターには、本土へ向かう原子爆弾4発の製造決定、そして東京・北九州への投下計画という戦慄の事実が映し出されていた。
片倉は、その阻止策として、米海軍重巡洋艦「インディアナポリス」による原爆海路輸送を特定。史実で「伊58」が撃沈したこの艦を、「そうりゅう」と旧海軍潜水艦の共同作戦で原爆搭載前に沈めるという大胆な提案を行う。「そうりゅう」が「目」となり、旧海軍潜水艦が「牙」となる、未曾有の連携が策定された。
同時に、片倉は原子力空母「ドナルド・レーガン」による沖縄攻撃という、もう一つの脅威への対応を迫られる。ミサイル枯渇、艦艇の稼働率半減の状況で、片倉は**「いずも」と「むらさめ」を沖縄北部の海岸に座礁させ、陸上飛行場として活用する**奇策を提案。「未来の目」と旧海軍の「砲」を連携させ、レーガンの航空攻撃を迎え撃つ「背水の陣」を敷く。
そして第三の課題、加速する日本本土上陸作戦「ダウンフォール作戦」への対応として、片倉は戦艦大和を沖縄から離脱させ、本土へ北上させるという衝撃の提案を行う。米軍が「未知の超兵器」と恐れる大和を「動く要塞」として動かし、「まや」の護衛のもと、本土へのB-29迎撃戦力を確保しつつ、**早期の条件付き和平交渉を米国に迫る「切り札」**とするのだ。
片倉は、天皇陛下への直接上奏により、広島・長崎への原爆投下前、史実よりも有利な条件で終戦を実現することを目指す。それは、悲劇的な「玉音放送」を回避し、何百万もの国民の命を救う、未来からの最後の使命だった。
絶望的な状況下で、未来の自衛官は、潜水艦による奇襲、空母の座礁、そして戦艦の戦略的移動という、常識を覆す大胆な作戦で歴史を変えようと試みる。彼らの選択は、日本を、そして世界をどう導くのか――。