【要約】(第31章から第33章)
【要約】二重の絶望:核の脅威と未来からの敵
沖縄本島上空でのB-29壊滅から数日、奇妙な静寂が戦線を包む。しかし、それは束の間の安堵だった。東京、大本営作戦会議室に届いた報告は、軍令部を凍り付かせる。沖縄東方海域に、エセックス級空母を凌駕する「未知の巨大空母」が高速接近中。軍令部総長は「米軍にそのような艦は存在しないはずだ!」と激しく動揺する。
大本営からの緊急報は、沖縄の第32軍司令官・牛島満大将の元へ。山名三尉は報告書を見て顔色を変える。「原子力空母、ドナルド・レーガン……!」――彼らと共に2025年の合同演習に参加した、米海軍最新鋭空母の出現だった。
同時刻、「いずも」艦内では、三条律が米軍の極秘通信を解析。「原子爆弾4発製造、目標は広島、長崎に加え、東京と北九州への投下を決定。時期は2ヶ月後」という戦慄の事実が判明する。海自の介入が、歴史を歪め、より甚大な悲劇を招いている可能性が彼らを絶望させる。
牛島大将の地下司令部では、未来と過去の将校たちが緊急会合。片倉大佐は、原爆の脅威と「ドナルド・レーガン」が沖縄攻略に投入されるという二重の衝撃を提示する。加えて、海自の抵抗が、本土上陸作戦「ダウンフォール」を加速させている現実も突きつけられる。
未来を変えようとした介入が、予期せぬ形で「核の悪夢」と「未来の敵」を呼び寄せた。絶望的な状況下で、彼らはこの二重の危機にどう立ち向かうのか――。