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第32章　二重の衝撃：未来からの啓示

同時刻、東シナ海の海上、旗艦「いずも」の作戦室は、さらに深い絶望に包まれることとなった。

「艦長！米軍の極秘通信を傍受、解析しました！『マンハッタン計画』に関するものです！信じられない内容です！」

モニターに映し出されたのは、複雑に暗号化された通信記録の断片と、それに付随する三条律の解析結果だった。数字とコードの羅列の中に、明確な言葉が浮かび上がる。

「…製造ラインを増強し、4発の原子爆弾を製造せよ…」

「…目標は、広島と長崎に加え、東京と北九州にも投下することを決定する…」

「…投下時期は、約3ヶ月後と推定されます！」

沖縄での彼らの奮闘が、意図せずして原爆の製造数を倍増させ、投下都市を拡大するという最悪の結果を招いていたのだ。歴史上の2発から4発へと増え、首都・東京までが目標に含まれるとは、想像を絶する事態だった。冷たい汗が背中を伝い、額に滲んだ。

「これでは、我々が守ろうとした未来そのものが……」

我々がこの時代で戦い続けるほど、未来が歪み、彼らの知る「日本」が存在しない未来が形成される可能性が高まる。

希望を抱いて介入したはずが、結果として、より甚大な悲劇を招いているのかもしれないという絶望感が、彼らの心を支配した。

「そして……もう一つ、陸上の山名から緊急報告です！」三条律が、震える声で付け加えた。

「太平洋の遥か東方で、新たな大規模な特異点が発生。レーダー探知の結果、その正体は……原子力空母、ドナルド・レーガン！我々と共に2025年の合同演習に参加していた艦です！米軍は、我々の戦闘能力に驚愕し、このレーガンを沖縄占領に投入するべく、極秘裏に稼働を開始しています！」