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大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン27

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第7章エピローグ

エピローグ:風の記憶


事故から一年後。

コロラドスプリングスの荒野には、新しい慰霊碑が建てられた。そこには1991年の犠牲者と、2050年の犠牲者の名前が、同じ石碑に刻まれている。


サカモトは、エレーナの墓前に一本の小さな風車を供えた。

「サカモトさん、新しい航空法が施行されましたよ」

後ろからリュウが声をかける。


「ああ。AIの補助は、パイロットの『直感』を否定できないように義務化された。量子アクチュエーターには、物理的な『緊急逆転防止装置』が取り付けられたそうだな」


2050年の空は、以前よりも不便になったかもしれない。AIがすべてを解決してくれる時代は終わり、パイロットは再び、自らの手で風を感じ、山岳波の音を聞く訓練を始めている。


「主任。アリアドネの残骸を調べていたら、最後のログに一言だけ、未送信のメッセージが残っていました」


サカモトがリュウの差し出した端末を覗き込む。そこには、解析不能なコードの羅列の最後に、人間のような筆跡を模したデジタル文字が記されていた。


『次に吹く風を、私は恐れない。共に飛んでくれますか』


サカモトは空を見上げた。

そこには、かつて585便が墜落していったのと同じ、深く、澄み渡ったコロラドの青空が広がっていた。

山から吹き下ろす冷たい風が、彼の頬を撫で、供えられた風車を勢いよく回し始めた。


幽霊は消えた。

だが、その教訓は、量子ビットの海ではなく、空を愛する人々の記憶の中に、永遠に刻み込まれることだろう。

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