【要約】(第10章~第12章)
【要約】陸の要塞:大和と自衛隊、沖縄防衛の新戦術
沖縄沖での激戦後、海自艦隊司令・片倉大佐は、情報幕僚・山名三尉を駆逐艦「雪風」で沖縄本島へ派遣。第32軍司令官・牛島満大将との会見を実現し、連携強化に着手する。夜陰に紛れ上陸した山名が見たのは、戦禍に抉られた故郷の姿だった。
牛島大将は、未来の技術による「敵の正確な配置図」に驚愕。山名は、陸軍が感覚で戦ってきた戦いを、海自の**「未来の目」と「精密な火力」**で補完すると語り、シュガーローフ方面への米軍側面攻撃を予測。対戦車地雷敷設や海自艦砲射撃の集中を提案し、牛島はこれを受け入れた。
さらに山名は、画期的な奇策を提案する。「大和」の随伴艦艇である駆逐艦「朝霜」「霞」、軽巡洋艦「矢矧」を、意図的に沖縄本島沿岸に座礁させ、陸上要塞として活用するというのだ。艦を失う屈辱を乗り越え、旧海軍の将兵は座礁艦から砲撃と陸上戦闘を展開。これは、敵の側面に新たな防御線を築く、前代未聞の戦略だった。
1945年4月14日未明、海自の支援を受け、三隻の艦艇が静かに砂浜に乗り上げた。米軍偵察兵は、海岸に現れた「動かぬ艦艇」の異様な光景に目を疑う。彼らは、それが日本軍の新たな、そして不可解な防衛線となることをまだ知る由もなかった――。
時空を超えた異色の「連合軍」が、沖縄で歴史を書き換えるための、新たな局面へと突入する。