花より団子、団子より仕事、仕事と言えばキッラボッシ♪
はぁ、昨日は遊女を抱き免れてしまった。
それに、この感触……
雪之丞の奴め、俺の布団に潜り込んでやがるな。
せめて夢の中で遊女を抱いていた事にでもしてやろう。
俺は布団を両手で押し上げ、一気に腰を持ち上げて起き上がる。
そして、「遊女さん! 俺にはそんなプレイまだ早いです!」っと息を切らしながら……ファアアア!
「御屋形様、うっさいっすよ」
「お前服を着ろ!
あと俺の服どこやった!」
「うへへぇ。
自分からあんなに乱れたのに、ボクのせいにするんですかぁ?」
「いいや乱れてないね!
既成事実を作ろうとするな!」
「童貞のくせに冷静っすね。
ここはもっと焦る場面っすよ?」
「そんな事より忍者ってすげえな。
隠密効果ってやつか、起きるまで気が付かなかった。
って事で、ほれ」
「ん?
なんかいっぱい湧いたっすね。
譲渡?
ボク御屋形様以外はいらないっすよ?」
「お前忍者マスターだろ。
部下をくれてやる。
そいつらは町民に見えるが全員忍者だ。
後でちゃんと住む所も作っといてやる、でかい奴な」
「絡繰屋敷っすかぁ?」
「阿呆。
お前そんな所に住みたいのか?
だが悪くねえか……札付きかチンピラを忍者に出来るNPCを……ヨシ!」
「何がヨシっすか?」
「絡繰屋敷を立ててやった。
そこがお前と忍者達の家だ。
それと、忍者師範と忍者師範代を作って配置してある。
札付きを三人消費して忍者を作ってくれるぞ」
「へぇ、そんな事出来るんすね!
それに、役職が着いて頭領になったっす!
忍者達の能力を向上させられるみたいっすね」
「役職なんてのもあるのか、それじゃあNPCにも名前とか付けて役職持ちを作ればいいかもしれねえ……
ピンゴだ!
名前つけて役職も与える事が出来るぞ!
めちゃくちゃ金がかかるけどな!」
「そうっすか!
名前付きのNPC誰にしたんすか?」
「まあ、一発目はお試しって奴だからな。
気にすんな」
「はぁ?
仲間じゃないっすか!
教えて下さいよ!」
「しゃーねーな!
遊女から花魁にクラスアップした乙女太夫さんだ」
「御屋形様……あんた変わっちまったなぁ!
昔は下心なんて言葉に縁のない朴念仁だったのに!」
「うっせー唐変木!
朴念仁の使い方間違ってるぞ!
まあ試して分ったが、かなり金がかかるからNPCに名前を付けるのはボチボチって感じだな」
「そうなんすか?
そんじゃとりあえず、ボクは服着てレベリング行ってくるっす!」
「おう、俺も腹ごしらえしてから本格的に働くかな!」
雪之丞が出ていったので、パンパンといつもの様に手を叩き、女中に朝ごはんを持ってきて貰う。
うほー!
今日の朝食は洋風ですか!
和食しか出てこないと思ったけど、これも旨そう!
食パン一斤使ったハニートーストにたっぷりチーズと蟹の入ったグラタン!
芳醇な香漂うブラックコーヒーが甘くなった口の中をさっぱり流してくれて、リセットされた舌でグラタンをしっかりと味わえる。
ハニートーストとは違った自然な蟹の甘味をグラタンがクリーミーに包み込み、チーズの深い味わいは口の中でトロけつつも、しっかりと存在感を残し、焦げた部分が舌根で絶妙な苦みを残しつつ、マカロニと共に、のど越しを楽しませてくれながら胃袋へと流れ込んで行く。
「感謝感激雨霰、御馳走様!」
腹ごしらえもすんだし、さっそく仕事に取り掛かろうか。
悪事を働くにも役人に目を付けられたら適わないからな。
奉行所を買収して、忍者を役人として忍ばせる。
これで悪行による誅罰メーターの上昇は抑えられ、忍者を忍ばせる事で将軍対策も出来ている。
プレイヤー達がこの町で遊びまくっているのか、じゃんじゃん稼げている。
経験値もガンガン溜まっていくし、悪代官って結構チート性能だな!
一般プレイヤーだと余程の数が相手にならない限りは怖くないか……
となると、俺と同等のプレイヤーは相当手強い事になるな。
レベリングはかなり優遇されているし、そっち方面の対策を整えておくべきだな。
戦闘兵器の開発をしたいが、工場なんて作ればせっかくの町の景観が台無しだ。
三人の鍛冶師に小さな鍛冶場を任せ、街の隅に配置して、とりあえず経験を積んで貰うとしよう。
それとそこで出来た物を売る小さな売店。
小売商人みたいなNPCはあえて雇わずに自分達で商売をさせ、世間の荒波に揉まれて強く生きろ!
外観を損ねない為にも周辺の町を早く侵略したい。
遊郭に女好きの代官を招き入れて、取り入る事なんて出来ないか?
いやいや、取り入る必要など無い!
招き入れた代官を殺して、忍者達がその代官に取って変わる!
荒事にもならんし冴えているじゃない、俺!
さっそくその手筈を整えよう。
まずは他の代官に向けて忍者達を使者に送り、探りさぐり女好きの代官の目星をつける。
所詮はNPCだしいきなり事に移っても問題はなさそうだが、悪代官ロールプレイングも楽しまなければな。
そうとなれば遊郭にも忍者を潜ませて情報を得た方が色々と捗るな。
女忍者を金で生産して遊郭で遊女として忍ばせた。
ん?
ドタドタした足音が近づいて来る。
越後屋か。
いつもの様に声を掛けて来たので、部屋に招いていつものやり取りをする。
箱の見た目は変わらないが、中に入っている山吹色の菓子の量が増えているな。
それに、経験値も。
こいつにも名前を付けて、クラスアップさせるか。
越後屋がクラスアップしたら何になるんだ?
とりあえず、綺羅星惹夏流と名付けて、クラスアップをすると、目の前で若返り、クソカッコイイ好青年へと変貌した。
だが、妙に影がある感じがする。
流石越後屋だな。
そして、越後屋から超越後屋にクラスアップしたが、何が変わったのかは分からん。
「お代官様、この綺羅星惹夏流。
生涯御身に御仕えする事をここに誓います」
うわっ声爽やかー!
俺は「励めよ」と返事して何をしているのかは分からんが、越後屋には仕事に戻ってもらった。
悪ふざけが過ぎて綺羅星惹夏流なんて格好良すぎる名前を付けちまったけど、チャラい見た目に反してめちゃくちゃ真面目っぽい奴になったな。
グッジョブ俺、ビバ、キラボシ!
「越後屋! 戻って来い!」
「失礼致します、如何なされましたか?」
「今閃いたのだが、お主、キメ台詞に儂が今から言うセリフを使え」
「畏まりました」
軽く指導して、実際にキメセリフを振りつけ込みで実演して貰う。
「グッジョブオレ♪ ヴィッバキッラボッシ♪」
俺は拍手をして、自画自賛した後、完璧にキメた越後屋を褒め称える。
うん、格好良い!
微塵も照れる事なくこんな恥ずかしい事をやってのける忠誠心には肝銘を受けた!
満足した俺は再び越後屋を仕事へと戻す。
良い仕事をしたら気分が良いな!
あいつも何かと悪事を働いているし、多忙であろう。
勝手に忍者を数人生産して、越後屋の部下として働く様命じた。
越後屋の喜ぶ顔が目に浮かぶ。
さてと、そろそろ昼時か。
俺はパンパンと手を叩き、女中を呼んだ。




