町よ俺色に染まれ!
さて、何から手を付けるか。
Lvも上がってるし、ここいらでスキルを割り振っておくか、どうせスキルの振り直しが出来るアイテムなんてのも出て来るだろうし。
このゲームはLvが上がってもステータスにポイントを振り分けるなんて事は無い。
振り分ける事の出来るのはスキルのみで、そのスキルも必殺技の様なものを取得するのでは無く、常時効果の恩恵を受けられるパッシブ系のスキルのみに割り振る事が出来る。
悪代官で言うと、誅罰ゲージの増減効果を調整出来たり、味方の能力を向上させたり、装備の効果を上げたりとか税金を得る速度が上がったりとかだな。
さっきは俺自身が直接戦ったが、悪代官としての美学に、自分の手を汚さないってのが俺の中にある。
だから極力味方の能力をアップさせる能力に割り振りたい。
それにしても、種類が多いんだよなぁ……
全部で三十程あるんだが、Lv毎に全スキルが1ポイント上がるし、Lv分のポイントも別で割り振れる。
俺のLvは今、36だから36ポイント割り振る事が出来る。
とりあえず、これだな。
自分を含めた味方の能力を向上させる【徒党の恩恵】【徒党の力】【徒党の守り】【装備品熟達】辺りに均等に割り振る。
徒党の恩恵は全ての能力が上昇するらしく、全部これでいいかとも思ったが、対人戦で使えそうなのは力と守りの方なのでそっちにも振っておいた。
効果はそのまま力と技の上昇と防御力アップだが、恩恵の方より効果は大きい。
【装備品熟達】は装備したアイテム全てに効果があり、武器なら攻撃力、防具なら防御力がアップする。
料理はしないが包丁を持てば切れ味だったり、鍋だったらいい感じに食材を煮込んだり出来るみたいだが、ゲームに何か関係があるのかは分からねえ。
職人系の職業だったりすればいい事あるかもしれない。
スキル振りも終わったし、新しい施設とそこへ配置するNPCも金を使って配置する。
施設は教会で、NPCは闇シスターと闇神父。
教会を設置する事で治安が良くなる効果があり、ちょっとした収入もある。
そしてNPCの闇シスターは、プリセットには居なかったので割高となってしまったが、教会に配置する事で、孤児を養いチンピラへと育てる。
これで定期的にチンピラを無限増殖させる事が出来る。
闇神父も同様なんだが、こいつはチンピラを五人消費して札付きを生み出せる。
Lvを上げた方が早いかもしれないが、クラスアップするのにも金がかかるし、チンピラは無限に湧くのだからこれ以上コストも掛からない。
その他には賭博場を大きくして、外観と内装を綺麗に整えた。
プレイヤー達にも賭け事を楽しんで貰おう。
勿論胴元が大儲け出来る様に手は加えてある。
ルーレット、バカラ、スロット、ポーカー、ブラックジャックなどの他に、日本っぽい盤双六、丁半、花札なんかも採用した。
賭博場を管理する為に、大きな屋敷を立ててそこに札付き達を住まわせて管理させる。
一応札付き達以外にも計算の出来る勘定係などのNPCを作ったり、接客の出来る見栄えの良い町民っぽいNPCも作っし、マスコット替わりの獣人系NPCも作った。
ついでに……遊郭と遊女も作った。
夢が広がるな!
一般プレイヤーが何処まで出来るのかは不明だが、俺は悪代官だし?
いくとこまでいくつもりだ!
元々性欲なんてあまり無かったし、興味もないんだが悪代官だしな!
今宵が楽しみだ。
他にも色々と町に手を加えたりと夢中になっているとあいつが帰って来た。
「結構早かったな、野暮用はすんだのか?」
「もちろんっす!
じゃあもっかい誘って下さい!」
再び俺が勧誘すると、すぐに雪之丞は西治一派に加入したと脳内アナウンスが流れた。
プレイヤーが仲間になると西治一派になるのか。
「うっしゃあ!
ボクもログアウト出来なくなったっす!」
「一大事じゃねえか!」
「御屋形様と共に居られればボクはそれで満足ですから」
「御屋形様?」
「このゲームでも伐折羅様って呼ぶのはおかしいので御屋形様と呼ぶ事にしました!
それと、全財産使ってガチャ引いてきたっすよ!」
「はあ!?
お前……本物だな!」
「本物っす!」
「いくら使って何が出たんだ?」
「二千万使って忍者マスターですね」
「忍者の上位互換って感じか。
お前にぶっ刺さったいい職業だとは思うが、二千万使った割にって感じだな」
「そんな事ないっすよ?
トレジャーハンターの時は、割り振れるスキルアホ程多かったのに1ポイントしか振れなかったっすからね」
「ん?
Lvに対して数ポイント得られるって事か?」
「いや、割り振れるスキル全部に1ポイント入るっす。
それからLv分のポイント割り振れるっすね」
「ああ、俺と同じか。
それじゃあ一般的な職業との差がかなり出るな」
雪之丞と雑談しながら一緒に掲示板からも情報を得る。
俺達と同様に全スキルにLvごとに1ポイント入るプレイヤーの情報は無い。
ガチャで引いた職業全てがそうってわけじゃないんだな。
それに、掲示板で全く情報が出ていないって事はそもそも数が少ないって事でもある。
もしかしたら一定金額以上って条件があるのかもな。
「忍者ならどんなスキルがあるんだ?
諜報活動も出来るんだろ?」
「余裕で出来るっす!
そうっすね……
攻撃力も多分やばいっす、後方からの攻撃で火力増加、クリティカルダメージ倍加とかあるっすね。
スキル振りは対人特化でいいっすか?」
「最終的に対人戦がメインになるだろうし、それでいいぞ。
諜報活動だが、領地を広げたいし、いずれ国も乗っ取るつもりだ。
まずは周辺の町にいる代官とか適当にプレイヤーの情報あたりから探ってくれ」
「了解っす!
レベリングがてら探り入れときます!」
俺は雪之丞に夜は忙しいから朝まで帰ってくるなと伝えて送り出した。
一仕事終えたし腹ごしらえでもするか。
パンパンと手を叩き、婢女を呼ぶ。
俺がLvアップしたし、クラスアップ出来そうだな。
婢女をクラスアップして女中へと進化すると、目の前で若返ってそこそこ綺麗なおばさんへと変貌する。
声も綺麗になった女中に食事の用意をお願いすると、すぐに用意してくれた。
クラスアップもしたし、元々料理は旨かったし期待が膨らむ。
今日はすき焼きか!
ガッツリ食べたかったし助かる!
それに、大根と塩昆布を和えたサラダとの相性もいいし、日本酒も最高!
最後にうどんも入れてくれて、底に溜まった汁まで啜り完食!
何か分からんがめちゃくちゃ旨かった!
「御馳走様!」
腹も膨れたし、寝るにはちょっと早い……
さて、遊女を連れてくるか。
町の遊郭へ行き、「手慣れた娘を頼む」と言って一人屋敷へと連れて来た。
連れてきちゃった!
女中に酒を持ってこさせ、遊女が舞うのを手を叩いて大燥ぎして楽しんだ。
そして、床の間へと彼女を誘う。
緊張するんだが!
初めてなんだが!?
だが、俺は悪代官だし!
悪い事してないんだが悪い事するのは俺の仕事だし!
いや、悪い事してないんだけど!
俺は布団をかぶり、小さく「宜しく頼む」と声を掛けた。
遊女の手が俺の胸に!
「たはぁ」っと吐息を漏らし、ただじっとして天井を見つめる。
こういう時は天井の染みを数えるのだと言う知識を何処かで聞いた覚えがある……
天井の染みを探しているうちに、目が合ってしまった。
天井に居る奴と。
「天井裏で何をしている雪之丞……」
雪之丞がサッと天井裏から下りて来て「御屋形様、お呼びと在らば」となんか格好つけているが……
「覗かないで欲しいんだが!」
「御屋形様、それはなりません!
ボク以外の女を抱こうとしたら、全員殺す!」
じゃあお前なら抱いていいんだなって思ったが……
外見はクソほど可愛いんだが、中身がなぁ……
何はともあれ、興が醒めたわ!
遊女を帰らせて部屋から雪之丞を追い出した後、布団にダイブして包まる。
あいつ……絶対毎夜覗きに来るな。
遠出でもさせてやろうか。
あいつから俺を守る護衛も付けた方が良さそうだな。
俺は護衛用に用心棒を二人配置した後、布団に包まって不貞寝した。




