腹いせ
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金はすぐに貯まるので発掘隊を増員し、クラスアップもさせた。
他にも将軍達の要望に答えつつ、必要なNPCなども配置して手を尽くせるだけ手を回したのだが……
IDか……
設置してグレードアップも出来るが、扱いに困るな。
掲示板を見る限り、このゲームのIDはいかに即死ギミックを回避してボスを攻略するのかが鍵となっている。
それにデスペナルティ―が中々重い。
これがあるからプレイヤーのレベルが上がりにくいし、ID産の素材は高く売れる。
死んでしまうと復活できそうにない俺や、将軍達は攻略に行く事は出来ないし、デスペナルティ―でレベルも下がってしまうので、西治一派での攻略はあまり乗り気では無い。
欲を言えばグレードの高いIDを独占して、安定した素材の供給が欲しいんだがどうすっかな。
とりあえず作るだけ作って、NPCに攻略させるか。
土地の余ってる一西の国にグレードの低いIDを設置する。
そして、ID攻略隊を4パーティー作る。
このゲームのパーティーは最大で5人。
4パーティーまでならレイドを組む事が出来るので、それを見越して4パーティーにした。
全員プレイヤーに紛れさせる事も出来る様に、プレイヤーっぽい見た目と名前を付けてプリセットから職と種族を選んで完成。
最初のIDはどうせ大した物もドロップしないので、プレイヤー達にも開放して攻略させる。
このIDを安定して攻略出来るなら、別の場所にグレードアップさせたIDを設置して同じように攻略させる。
プレイヤーに開放するのはここまでで、次の段階からは独占していく予定だ。
すぐに攻略出来るだろうし、次の奴も作っておくか。
場所は同じく一西の国で、西治の国よりに作っておこう。
今できるのはこんなもんか。
後はあれだな……
最近掲示板でも話題に上がっているが、隠神刑部と玉藻前の争いが激化して、二つの国周辺がかなりやばい事になっている。
湧いたNPCは狩りつくされ、税金が常にMAX状態。
それぞれの町の代官は全て討伐されていて、将軍である総大将の二人の討伐依頼が発生してしまっている。
しかも、この二人の名前がまずかった。
掲示板では有名な九尾の狐と八百八狸の討伐で結構盛り上がってしまっている。
このままだとあいつ等がプレイヤーに討伐されちまうな。
今の所はプレイヤーがこの地域に踏み入ると速攻で狩られるから近づく事も出来ないだろうけど、レベルを上げて攻略したいって思う奴は必ず出て来る。
こいつらのお陰で俺の経験値はかなり美味しいんだが、そろそろ落ち着いて貰うとするか。
俺から会いに行った方が早いが、急いでるわけでも無いし、皇帝らしく呼びつけるか。
明日の朝俺に会いに来るように忍者の遣いを出した。
さてと、腹ごしらえといくか。
パンパンと手を叩いていつのも様に日葵を呼んで食事の用意をさせる。
ん?
今日は赤飯かそれに、焼いた鯛の尾頭付きに付け合わせに鰤大根。
鮑の網焼きまであるな。
船盛には大きな海老の造りもあるし……
「日葵よ……
何かめでたい事でもあったか?」
「はい、毎日上様がご活躍されておりますので、毎日がめでたい事尽くしに御座います」
「それもそうかぁ……
にしても、最近よく笑うようになったな。
年端もゆかぬ町娘の様だ」
「実は……
一色重盛様より御子を授かりました」
「ほう、一色重盛に子供がいたのか。
立派な武士になるだろうな」
「有難うございます」
「何故……日葵が礼を言うのだ?」
「我が子の誉れは親の誉れでもありますから」
日葵は、お腹を摩って幸せそうな表情を浮かべて居る……
ふむ……
「そうかそうか。
仕事は他の者にやらせても構わんから、お前は休んでいなさい」
日葵を見送った後、忍者を呼ぶ。
「御屋形様、お呼びでしょうか?」
「一色重盛をすぐに呼んで参れ!」
「御意!」
しばらく待っているとドタドタと足音が聞こえたので、襖を先に開けて外に居た一色重盛を部屋の中へと通す。
「日葵の腹の中に居る子はお前の子なのだな?」
「拙者の子に御座います!」
「成程な……」
日葵には感謝しているし、色々巡り廻って大切な家族として受け入れている。
俺は今、複雑な心境だ。
未亡人の母親に旦那が出来た様な、娘に出来ちゃった結婚を告げられちゃった様な、何とも言い表し難い複雑な心境だ。
しかも、一色重盛は俺が作ったNPCじゃねえんだよな……
「殿が日葵を大切にされている事は存じております!
ご挨拶が遅れて申し訳なく思っております!
拙者に日葵を下さい!」
気が付くと俺は拳を振り上げ、一色重盛の顔を殴っていた。
NPCどころか、リアルの人間に対してもこんな感情を抱く日が来るなんて思ってもいなかったな。
「お許しを! どうか!
お許しを!」
くそっ!
俺に許しを請うな!
黙って連れ去っちまえば諦めがつくってのに……
「これより貴様はショコラの護衛から外れ、一西政宗の下に着き、町の開拓を命じる。
日葵も連れてゆけ。
子が育ったら……会いに来い」
くそう……今は一色重盛の顔も見たくねえ。
けど日葵には幸せになって貰いたい。
一西の国なら争い事も無いし平和な土地だ。
ゆっくり子育ても出来るだろう。
一色重盛は礼を言って出て行った。
ショコラにも報告しておくか。
忍者に一色重盛が護衛からはずれ、一西の国へ日葵と共に移したと報告させる。
あいつを生かしておいたばかりに、こんな事になっちまうとは……
あいつ等にはあいつらの人生ってのがあるわけだし、構わねえんだけどな。
それでも……
なんかムシャクシャすんな!
ヨシ!
暴れよう!
西治の町へと飛んで越後屋を連れ、南場の国へと飛ぶ。
鉱山付近に陣取ってプレイヤーに向けてクエストを発生させる。
突如現れた鬼から町を防衛しろと言うクエストだ。
勿論俺と越後屋が鬼役。
一時間の制限時間を設けたし、それまで耐えきればプレイヤー達は報酬を貰える。
このあたりのプレイヤーはそこそこレベルも高い。
それでも俺達の相手にはならんだろうが、高いレベルのプレイヤーももしかしたら集まってくるかもしれねえな。
今回数に制限掛けてないから、あんまり集まられると困るが、一時間くらいなら問題ない。
早速俺達を狩にプレイヤー達がぞろぞろと集まって来る。
一応俺は全身鎧を着ているし、越後屋は普通に見た目が化物なので正体がばれる心配もない。
俺達をみるなりプレイヤー達はどんどん攻撃をしかけてくるので、片っ端から反撃して止めを刺していく!
見た目通り、越後屋も相当強い。
ははは、ちょっとこれ面白いな!
何度殺されてもゾンビアタックしてくるプレイヤー達の中に、闘技大会の時に見た奴等も交じってきやがったな。
トップクラスの実力者なだけあってそこそこ手強いが、レベル差がありすぎて俺達にはダメージはそれ程無い。
そのまま一方的に一時間、プレイヤー達との戦闘をした事で俺の気分もかなりスッキリした!
クエストが完了してプレイヤー達も散っていく。
残された俺達の事をじっと眺めているプレイヤーも居るが、空無河童の小屋へはプレイヤーは通行できない様にしているので問題なく越後屋を西治の国へと送り、俺も自分の城へと帰った。




