念願の食事をキメる悪将軍
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霞の里。
今まで見て来た町と違って更地にして施設を建てただけだから妙に殺風景だ。
もっと里っぽくなるように、色々と手を加え乍ら見て周ろう。
その辺に木などを適当に設置して、小川を作ったりして里の中を徘徊する。
大きな目玉となるのは大毒沼!
毒士達の為に作った沼で、毒をもった生物がわんさか湧くし、毒士や毒術士が狩った獲物が増えれば増える程毒性を増すと言う性質を持たせてある。
総大将の隠神刑部は屋敷の中にいるみたいだな。
中へ入り奥の襖を開けると、隠神刑部の姿があった。
うわ怖え……
目があった瞬間に理解した。
こいついきなり俺の事を殺す算段をしているな。
殺気なんて感じないが、空虚な瞳で俺の全身を隈なく調べているみたいな気持ち悪い感じがする。
見た目は髭の生えた細マッチョのイケオジって感じだが、触ると危険そうな独特の雰囲気を持っている。
知的な雰囲気もあるので、何をするのか分からないような危機感は感じない。
「その視線は不敬だぞ?」
「これは失礼。
某は生まれたばかりゆえに好奇心が故の不遜、許して貰いたい」
「構わん。
お前達の目的は伝えてある通りだが、この里は出来たばかりで何かと物がいるだろう。
遠慮はいらんから必要な物があれば城に居る儂へと使者を送れ」
「分かった。
追って沙汰を伝えよう」
こいつもひょん太郎系だな。
必要の無い事はあまりしゃべらなさそうだ。
これ以上ここに居る必要も無いので、引き返し今度は霧雨の里へと飛ぶ。
こっちの里の目玉は精霊術士の為に作った泉だな。
霊的な力を宿して、精霊やら妖精の住処になっているって感じだが俺には良く分からん。
なんとなく大毒沼と対になるように設置しただけだ。
霞の里と同じように木やら小川やらを配置して、玉藻前に会いに行く。
屋敷の作りは同じなので、襖をあけて入ると玉藻前が現れる。
和服だがボディーラインを強調するような薄い布で拵えた着物を来てとてもエロい。
露出したツヤツヤの肌と、モデルみたいな美しい体に思わず見惚れてしまった。
大きな九尾に避けたフッサフサの尻尾が着物の下から後ろに出ている。
俺に興味を持ったのか、好奇心の強そうな大きな瞳を輝かせて覗いて来る。
こいつも俺の事をどうにかしたいようだな。
「その様に人は見立てるものでは無いぞ」
「妾をお前様の妃にしては貰えんじゃろうか?
堕落してしまう程に尽くし、国が欲しければいくらでも妾が手中に収めてみせるぞ」
「事を成してからものを言え。
まずは隣国、ワダツミノクニを落としてみせよ。
急がなくては隠神刑部に遅れを取るぞ?」
「刑部狸なんぞに遅れは取らぬ。
報酬は土地であったか……
土地を返上して他の褒美を強請る事は出来るか?」
「妃にでもしろと言うのなら出来んと答えておこう。
それ以外に欲しい物があると言うのなら聞いてやらん事も無い」
「守りが硬いのう。
妾は良いものじゃぞ?
人間の女では味わえない様な快楽も与えられるのじゃからな」
「戯言をほざくな。
里の事で必要なものがあれば城へと使者を送れ。
儂が伝える事はそれだけだ」
「帰るのか?
妾は寂しく思うぞ?
もう少しゆっくりしていったらどうじゃ?」
そんな事をしたら惚れてまうやろ!
こいつめちゃくちゃ色っぽいし、ここに居ては危険だ!
なんか瞳の奥にハートまで見えるし、さては誘惑の術まで使っているな。
フレンドリーファイアが有効で無くて良かった。
こんな美女に誘惑されたら術なんかなくてもコロっといっちまうわ!
俺は「沙汰を待つ」とだけ言ってさっさと城へと戻って来た。
正直興味あるんだが、遊女と違って一線超えたら何もかもが終わりそうなので絶対にあいつとは致さん!
二人共思った以上に理想的な性格だし、これからドロッドロの潰し合いと国盗り合戦が始まるんだと考えるとワクワクしてくる。
潰し合いが激化してどちらかの里が無くなっても面白く無い。
総大将同士は絶対に殺してはいけないと伝えて置くか?
いや、止めて置こう。
そんな事を伝えたらあの二人の事だ。
俺の事を小者と馬鹿にするかもしれない。
別に勝手にどう思おうが構わないが、あいつ等を捩じ伏せる様に手懐けてみたい。
まあ、史実的にあいつ等の方が頭も良さそうだから出来るかわかんねえけどな。
それにしても運営め。
プリセットにあいつ等がいた訳じゃねえからオリジナルで作ったのに、見た目も性格も史実に寄せて来たな。
俺の気のせいって可能性もあるだろうけど、そうだとしたら運営もこのゲームを楽しんでるんだな。
そりゃ良いゲームになるわ。
さて、念願の飯にするか!
日葵を呼びつけ、御馳走を作って貰う。
ガッツリいきたいと伝えて持って来たのは……
ステーキ!
ソースとなるのは塩と山葵それに、大蒜をカリカリにしたチップか。
肉の塊は沢山あって、一つひとつは赤身でそれ程大きくは無い。
付け合わせに人参のグラッセと揚げたポテトもあって、ご飯も山盛りにしてくれている。
スープはシンプルにワカメスープか。
早速日葵がいい感じに焼いてくれた肉を頬張る。
ん?
これ本当に肉か?
めちゃくちゃ旨いしものすごく柔らかい。
すごく細い筋があるのか、歯が肉に食い込むとプチプチと極わずかな感覚がある……
味は肉だが、肉の持つ独特な酷の深いの味わい深さとは違って、上品で後に残らない味わい深さがある。
味の決め手となっているのは塩と山葵と大蒜のチップの方だな。
これが無くても十分肉の旨味があって旨いんだが、あるとそれがアクセントになって更に美味しい!
本当に何の肉だこれ?
一番近い所で言うとフォアグラかな?
まあ、全然違うと言えばそうなんだが、俺の知っている中では一番フォアグラが近いと思う。
日葵に聞いてみると、シャトーブリアンらしい。
初めて食ったけど最高だな!
希少部位だから手に入らないのも頷けるし、それでいて値段に見合うだけの旨さもあるからリアルの方じゃ食った事が無かったけど、素晴らしい肉だな!
薄味のスープの中には若布の他に胡麻とタカノツメと粗挽きの胡椒が入っていてピリリとした辛みがして、食欲を引き立ててくれる。
それに口の中に残った油も荒い流し、スープの風味を残して胃袋へと流れていく。
付け合わせのポテトは外側がカリっとしていて、中はホクホクだし、塩の味がとても良く合う。
人参のグラッセはリアルの世界だと嫌いな食べ物だったが、んん?
これはいけるな!
甘くて気持ちの悪い人参だとばかり思っていたが、仄かにバターの香りが鼻孔をつつき、味も甘すぎず悪く無い。
むしろ上品な甘さと主張しすぎない程度のバターの香りでスープの時に残っていた風味をリフレッシュされているのか。
それに、甘味になれた舌で再び肉を食べると、肉の味が増した!?
塩も際立ち、山葵の風味も再び味わえる。
なるほど、グラッセとはこういうものだったのか。
日葵に感激と感謝の気持ちを込めて「ご馳走様」と伝え、また一仕事するか!
最近あまり見ていないし、掲示板の方もチェックしておくか。




