悪将軍の新たな企み
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体を揺すられながら日葵が俺を「上様」っと何度も声を掛けてくれて目が覚めた。
体がものすごく怠いし、まだ眠い。
「上様、櫛名田雪姫様と許乃波奈佐久夜様がお見えになっております」
「ついに来たか!
すぐに向かうと伝えて置いてくれ」
急いで支度を整えてから、謁見の為の部屋へと足を運ぶ。
そして、女中に三人の姫も連れて来る様指示を出して部屋の中へと入る。
櫛名田雪姫と許乃波奈佐久夜は俺が面を上げよと言う迄は顔を上げる事が出来ない。
しばらくそのまま待っていると三人の姫がやって来たので、そのタイミングで「面を上げよ」と命じた。
姫達を呼んだのは大変な仕事を終えた女代官の二人に、特別に姫達から労いの言葉を掛けてやる為に呼んだ。
女中に、姫達を呼びに行った時にその事を説明しておけと伝えてある。
それと女代官二人に渡す褒美も姫達に渡してある。
「一度は敗走したものの、よくぞ勤めを果たしてくれた。
儂から褒美をその方等の町まで届けさせてある。
大儀であった!
それと、その方等に姫達からも伝える事がある様だ」
三人を代表して、瑪瑙姫が二人の前へと座る。
「戦場は熾烈を極め、想像を遥かに絶する場で在ったと聞いております。
それを乗り越え、よく無事に戻って来てくれました。
感謝と労いの念を籠めて、これをお送りします」
瑪瑙姫が手渡したのは、俺が職人に作らせた櫛と簪と手鏡のセットだ。
二人に似合う様に作らせ、お揃いの物にしてある。
それにしても、最初から二人共、酷く顔が強張っているし、嬉しそうな表情も出さないな。
まあ、二人共まだ若い女の子だし仕方ないだろう。
それだけ戦場が過酷なものだったんだろうしな。
姫達に感謝の言葉を述べた後、許乃波奈佐久夜が「お――お聞きしたい事があります」と口を開いた。
なんか体がガタガタと震え出して、息も上がっているな……
急にどうしたんだ?
俺は「申してみよ」と声を掛けてやった。
「あの者達は……何者で御座いますか?
あれが、同じ人だとは思えません」
あの者達?
雪之丞達の事だとは思うが、あいつ等何をやらかしたのか?
強すぎたのかもしれねえし、派手に暴れ回った可能性もあるな。
「それではなんだと思うのだ?」
「分かりません。
ですが、私の知る言葉で表すとすれば、鬼に御座います」
んー……
容易に想像出来てしまうな。
一色重盛以外の三人が暴れ回ったんだろう。
そんな奴を遣わせたのは俺だし、それで怯えているって感じか。
「あれでも奴等は人間だ。
しかし奴等を鬼とするなら儂をなんだと思っている?」
「申し上げられません。
それに……人を殺す事を楽しんでいた様に見えました……
即発された他の兵達も嬉々として残党狩りを始め、まるで心に鬼を宿したが如く、全ての敵で在った者達を狩りつくしてしまいました」
「それは儂の思惑では無い。
兵の暴走は手綱を上手く扱い切れなかったその方等の力不足だ。
しかし、今後はその経験も役に立つ時が来るだろう、精進して勤めに性をだすのだぞ」
「ほんっ――本当の事を教えて頂きたく存じます!
あれはまさに鬼の所業。
その鬼を飼う殿は一体……何者に――」
「口を慎みなさい!」
うおっビックリした!
急に瑪瑙姫が大きな声を出した。
怒る気持ちは分かるが、こんな大きな声を出すとは思わなかったので驚いてしまった。
「多くの民の血が流れ、父上様がどれ程その胸を痛めたと思っているのですか!
事も在ろうかお優しい父上様を――」
「言うな瑪瑙。
儂が遣わせた者達は確かに鬼と見紛うが如く者達であった。
怯えるのも無理は無い。
そうだ、良い事を思いついた。
櫛名田雪姫と許乃波奈佐久夜。
その方等はゆっくりと休むが良い。
しかし、町へ帰ってしまえば何かと気を重くする事もあるだろう。
そこで今日一日は、優しい姫達の遊び相手となる事を言い渡す。
年頃の娘同士だ。
同じ時を過ごせば、心に巣くった鬼も消えるだろう」
瑪瑙姫に二人を連れて行く様に伝え、姫と女代官達はこの部屋から立ち去った。
騙されてくれている姫達と共に過ごす事で、女代官の二人も騙されてくれるかもしれない。
それに、ただ仲良くなってくれても微笑ましくて良いなと思う。
少し手間取ったが、大方上手くいっている。
さて、大仕事だ!
滅んだ佐久間の町と朝比奈の町を綺麗に更地にして色々と施設を設置していく。
イメージは忍者の隠里。
ゲームの仕様上山奥とかに町を配置する事は出来ないが、伊賀と甲賀で分かれ、互いに敵視しあっているみたいな感じにしたい。
まあ、伊賀と甲賀の関係ってそもそもよく知らないが、なんとなくそんなイメージがあったのでそれを採用している。
佐久間の町は名前を改め、霞みの里。
朝比奈の町も同様に名前を霧雨の里とした。
そしてそこへ新たなNPC達を配置していく。
霞みの里には、忍者、毒士、奇術師、天狗、狸の妖怪などで構成し、忍者や毒士、奇術師は人間では無く亜人系の者を採用した。
霧雨の里は忍者、精霊術士、子天狗、狐の妖怪で構成し、同じく忍者や精霊術士には亜人を採用している。
そして代官では無く、総大将と言う役割を作り、霞みの里にはクラスアップさせまくった狸の妖怪隠神刑部を総大将に置き、霧雨の里には狐の妖怪をクラスアップさせまくった玉藻前を総大将に置く。
この二つの里にはカワセミ地域にある他の国を攻める時に大いに役立って貰おう。
とりあえず、総大将の二人には一番近くにあるワダツミの国を侵略しろと命じる。
すぐには落とせないので、互いに競い合って多く手柄を立てた方に土地を与えると約束をする。
何方も総大将を含めて住人全員が性質的には悪。
俺の思惑通りいけば互いに潰し合いを起こして、里同士のいがみ合いに発展するだろう。
対立がそれぞれの成長となり、いずれは大きな悪行を成すか。
どう転んでも楽しめそうだ。
一応俺への忠誠心は高くしてあるが、総大将が妖怪だしな。
もしかしたら裏切る可能性もあるかもしれねえが、そうなったらそうなったで面白い。
里も出来たばかりで何かと物入りだろうし、妖怪の総大将と会ってみたいので早速空無河童を設置してまずは霞の里へと飛んだ。




