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野望は加速していく

 日葵(ひまり)に朝食を用意して貰い、四人で食べる。

 せっかくだし、日葵(ひまり)にも一緒に食べようと誘ったが、NPCは食事を取らないらしい……

 知識はあるみたいだったけどな。



 一色重盛(いっしきしげなり)を閉じ込めていた時に、空腹によって弱らせようとも思っていたが試さなくて良かった。

 


 日葵(ひまり)には戻ってもらい、四人で今日来るであろう武芸に長けた代官との戦闘に関して話をする。

 勿論屋敷は既に準備を整えていて、かなり広く拡張したし、今回は俺達の実力を計りたいので罠も全て解除してある。



 「さて、作戦だがまずはNPC達にやらせる。

  一階の表口に広いスペースを設けている、そこで俺達は二階から観戦して様子を見よう。

  そこを抜けて来そうなら次も同じような部屋を作ってあるからNPC達と共にお前達三人で相手してくれ」

 「了解っす!

  御屋形様(おやかたさま)はそこでも高見の見物っすか?」



 「そうだ。

  俺は悪代官だからな、危うくなったら俺も戦闘に参加する」

 「マスターの手は(わずら)わせん。

  我一人で十分だ」



 「ひょん太郎自身あるんだな。

  だがNPCと(あなど)ってはいけない。

  このゲームのNPCは最終的にはプレイヤーに劣るのかもしれないが、かなり手強いと見ている。

  相手は俺と同じ代官だ。

  Lvも高いだろうし油断は禁物だ」

 「あらん♪

  それじゃあ、ショコラは手加減した方がいいかしらん♪」



 「自身があるのはいいが、実力を計りたい。

  二つ目の部屋まで攻めて来たら全力で相手をしろ」

 「全力っすか?

  それじゃあ早い者勝ちっすね!

  大将首はボクが貰い受けるっす」



 やけに自身あるな。

 まあ、同Lv帯相手なら圧倒できる何かを持ってんだろうけど。

 俺は雪之丞(ゆきのじょう)(さら)って来た子供二人を(しば)り二階で待機する。



 わんわん泣いていたのに、ここに父親である代官が攻めてくる事を伝えるとピタリと泣き止んだ。

 なかなか立派な奴等だ、こんな状態でも父親に恥を掻かせまいと気丈な態度を見せてくれる。



 さて、来たか。

 門の前に立たせてある忍者から合図を受け、待ち受ける。



 入って来た代官達の数は(おおよ)そ百人って所か、結構集めたな。

 俺のNPC達が防衛し、そこそこ耐えている。

 だが、相手の代官と幹部らしき連中が五人って所か、戦闘に特化しているのか他と比べてずば抜けて強い。



 対峙した俺のNPC達も一瞬でやられていく。

 そいつ等以外は俺のNPCの方が断然上っぽいけどな。

 粗方(あらかた)片付いた所で、俺は大きな声を出し注目させる。



 「なかなか腕が立ちますなぁ!

  しかし、この子供達がどうなっても構わないのか?」

 「その者達は儂の子ぞ!

  死ぬ覚悟くらい(とう)に出来ておる」



 「冷たいのう。

  だが儂は心優しい代官だからな。

  儂の元まで辿り着けば返してやる」

 「よく聞け外道者!

  貴様の首は(からす)(えさ)にして朽ち果てるまで(さら)し続けてやる。

  よく首を洗って待っていろ」



 さて、メインイベントだ。

 次の部屋へと移動し、二階から皆の戦いを見守る。

 当初の予定では他のNPCも一緒に戦うはずだったが、いらないと言われたので部屋に居たNPCは俺と同じ二階から皆の戦いを応援させる。



 代官達が入って来るとショコラは何か召喚したな。

 三体いるが、あれが神霊か。

 攻撃せずに味方に能力を上昇させるバフを掛けているみたいだな。

 


 代官達が雪崩れ込んで来るが、門の前にはひょん太郎が居る。

 ひょん太郎が「うおおお」っと叫んだ後相手の様子に変化が現れた。

 全員ひょん太郎を集中的に攻撃し始めている、ヘイトスキルでも使ったのか?



 雪之丞(ゆきのじょう)は退屈そうに雑魚を一人ひとり着実に倒して行っている。

 あいつ本気でやれって言ったのに手を抜いているな。

 まあ、あいつが本気で動いたら殆ど片付けちまいそうだからそれで良かったんだが。



 ひょん太郎に向かってショコラが手を(かざ)すと光の粒がひょん太郎の周囲にいる敵をどんどん打ち抜いていく。

 ひょん太郎にも当たっているが、ダメージは無いからな。



 再びひょん太郎は「うおおお」っと叫んでまた囲まれている。

 ショコラは神霊を使って二階へと上がって来た……



 「あいつら弱すぎぃ♪

  ショコラ一人でも全滅させちゃいそうだったからぁん♪

  応援にまわるね♪」

 「わかった。

  雪之丞(ゆきのじょう)も手を抜いているみたいだしな。

  ひょん太郎はあれでいいのか?」



 「問題無いと思うよぉ♪」



 雑魚はひょん太郎の周りにいる奴を除けば全部片付いている様だな。

 雪之丞(ゆきのじょう)は四対一か、三人の手強かった奴等と代官と対峙している。



 ん?

 何をしたのか分からんが、ひょん太郎の周りにいる奴等が一瞬でぶっ倒れたぞ?

 ひょん太郎はその場から動かずに、雪之丞(ゆきのじょう)の観戦をするようだな。



 雪之丞(ゆきのじょう)はゆっくりと歩み寄り、先に手を出して来た奴等の攻撃を(かわ)した後一撃で葬り去っていく。

 まるで相手になって無いな……



 残すは代官只一人。

 代官は果敢(かかん)に攻撃を仕掛けているが、スピードの領域が違い過ぎる。

 雪之丞(ゆきのじょう)は片手に持った小太刀を最小限の動きだけでそれをいなし続け、飽きたのかあっさりと代官の首を飛ばしちまった……


 

 ちょっと予想外だな。

 もう少し拮抗するのかと思ったがあっと言う間だったな。

 Lvに差があるわけでも無かったみたいだし、やっぱり職業の性能差が出ているんだろうな。

 それと、こいつらのプレイヤースキルが高いせいか。



 俺は「ご苦労!」っと手を叩いてNPC達を解散させる。

 子供達は忍者達に預け、母親と共に開放するよう命じた。

 忍者の一人をまた上忍へとクラスアップさせて、街の管理をさせる。

 今回は武芸に秀でた代官の偽物と言う事で、二影武改ふたかげたけるあらためと名付けた。



 確か二つ隣の町だし少し遠いが、まあいいだろう。

 この町にはプレイヤーが参加できる武芸大会を開こうと思っている。

 


 戦いを終えた西治一派(さいじいっぱ)で集まり、今日の戦闘に関しての話し合いをした。



 ひょん太郎の使ったのはヘイトスキルで間違いないみたいだが、その後に周りにいる奴等を倒したのは自分の受けたダメージを相手に返すスキルらしく、自分の最大HPの二倍まで返せる様だ。

 毒術士の能力で自分の生成した毒で回復し続けるってのがあるらしく、毒で作ったポーションが尽きない限りは死ぬことは無いらしい。



 ショコラは神霊による攻撃も出来るし、自分でも攻撃可能。

 召喚した三体の神霊以外にも色々居るらしいが同時に召喚出来るのは三体まで。

 実質的にショコラ一人で四人分の働きが出来るそうだ。

 召喚する神霊を変えれば何でも出来るらしい。

 今回は回復と味方の支援だけを神霊にさせていた。



 雪之丞(ゆきのじょう)は自分でも相手を見失う程の動きが出来るが、それを真面に使う事は本来出来ない。

 しかし、最小限の動作と一瞬だけの動作ならそれを操りきれる。

 つまり、プレイヤースキルだけで代官を圧倒したわけだ。



 なるほど、まだまだ時間は掛かると思っていたが、将軍の首を取りに行くのも時間の問題だな。

 それなら……



 「今日から一気にレベリングするぞ。

  国盗りに行く。

  心しておけ」



 将軍に返り咲いた所で周辺国が一気に攻めて来ようものなら流石に危うい。

 だが、他国での謀反(むほん)など知った事では無いだろう。

 俺達は強い。

 七つある他国の将軍たちが警戒して手を取り合う前に圧倒できるだけの力を手に入れればいいのだ。



 八つの国を制して(いず)れは世界か。

 そうなれば運営がどう動くのか見ものだな。

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