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マジックセンス  作者: 金屋周
第一章:冒険者
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03:武闘家

最初はぎこちなかったフィカスだが、ジギタリスと会話をしていくうちに、徐々に緊張もほぐれ普通に話せるようになってきた。


夕方も終わり、窓の外も薄暗くなってきた。


もう少しすれば真っ暗闇になることだろう。


そろそろ夕食の時間となる頃、新たな者が二人の座るテーブルへと近寄ってきた。



「あの~、フィカスさんですか?」



のんびりした声音の少女。


線の細い身体、蒼銀の真っ直ぐな背中まで届く長い髪。


Tシャツにホットパンツという肌の露出の多い服装だ。



「うん。僕がフィカスだよ。」



「そうなのね~。私はアベリア。初めてこういう所に来たんだけど、えっと、私も仲間にしてくれる?」



「おうよ!大歓迎だぜ!」



ジギタリスが答え、フィカスに「女の子だぜ。」と言った。



「良かった~。それじゃあよろしくね。えっと……フィカスさんだから……フィーくんでどう?」



「フィー……?まぁうん。いいよ。」



「おっと嬢ちゃん。俺にもあだ名をつけてほしいぜ。俺はジギタリスだ。」



「じゃあ、あなたはジギくんね~。」



ガハハ!と笑うジギタリスに微笑みかけて、アベリアもテーブルに座る。



「楽しそうね~。良かったわ~。」



ふわふわした雰囲気の少女だ。冒険者には見えない。



「アベリアは……職業、なに?」



「私はね、武闘家よ~。ほらぁ。」



手にはめた指ぬきグローブを見せる。


喋り方といい声といい体格といい……とても武闘家、つまり最前線で戦う者であるとは思えない。



「うーん……僕はまだなんだけど、アベリアは戦ったこと、あるの?」



この質問にアベリアはゆっくりと首を横に振った。



「ううん。戦ったことはないよぉ。けどね、魔法で力が出せるから、きっと大丈夫よ~。」



この、のんびりした声音だと大丈夫と言われても、素直に頷けない。



「まぁそんな心配そうな顔すんなってフィカス!俺たちは全員、ギルドに関しちゃあ素人なんだ!皆で同じスタートラインから頑張ろうぜ!」



「ジギタリス……うん。そうだね。これから同じパーティーとして共に過ごすんだ。三人で頑張っていこう!」



「おう!」



「お~!」



全員初心者というのは、どうしても不安が残ってしまうが、元気なジギタリスとのんびりしたアベリアによって、明るい雰囲気になる。



「それじゃ、パーティーも三人なったことだし、そろそろ飯にするか!何か頼もうぜ!」



ここ、ギルドでは冒険者たちが準備を整えられるよう、様々な設備がある。


浴場に寝室、そして食事処としての機能も備わっている。


テーブルに置いてあるメニュー表を手に取り、何を頼もうか三人で話し合い始めた時――


太陽が完全に地平線へと沈み、町を夜が支配するようになった頃――


三人の座るテーブルに静かに近づいてくる存在があった。



「あなたたちが新パーティーの方ですね?」



どこか冷たさを感じさせる女性の声がした。

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