6.にわか雨のように①≪fromアリス≫
投稿すごい遅れちゃいました。事情は後書きの方を読んでください。
「何事!?」
「海の方角からです!」
そこに視界を移す。
「魔族だ...」
身長2mほどの大きな体で、全身が青紫色、そして頭には角が生えている。それは紛れもなく文献や言い伝えのそれに当てはまっていた。
(とてつもない威圧感ね。)
「久しぶりですね。人間側の大陸は。フッフッフッ。」
「何の用だ」
素早く魔力を練り上げ、いつでも魔法を発動できるようにする。
「そうですね。今日は平和ボケしたあなた方に少し喝を入れてあげようかと。ですが、私は戦いませんよ。血は嫌いですからね。あなた方の相手はこいつらです。」
奴がそういうと、空間が裂け、その狭間から数百体の魔獣の群れが現れる。その魔獣は、前から、ゴブリンやケルベロスなどの低ランク魔獣、オークやスケルトンなどの高ランク魔獣、マジカルゴーストなど魔法を使う魔獣、いわゆる魔法獣がいる。
これは厄介だ。本来魔法獣はまだしも、高ランク魔獣でも連携をとることは滅多にない。だが、今は奴のせいか連携が取られている。
「そういえば、名乗るのが遅れましたね。私はデノボラと申します。以後、お見知りおきを。」
「おっと、気づかれましたか。では、私はこれで。あぁ、あれを出すのを忘れていました。私としたことが。クックック、では、さようなら」
「待て!」
奴はそう言って姿を消した。それと同時に遠くからとてつもない魔獣の気配を感じ取る。奴が召喚したのだろう。おそらくダンジョンのボスに匹敵するレベルの魔獣だ。ここまでくると、人々は奴らを「魔物」と呼ぶようになる。
人間と魔族は数百年前の人魔戦争を以て対立し、互いの戦力が少なくなるにつれて、戦いの規模が大幅に縮小した。人魔戦争の最後は勇者と魔王が相打ちとなり、事実上の停戦となった。その後魔族側から戦争を仕掛けてくることはなく、戦争は終わったと思われた。
今生きている人のほとんどは人魔戦争を体験しておらず、魔族の脅威、そもそも魔族のことを気にかける人などいなかった。
その上、人は生まれながらにして『魔』への適応性が決まっている。私達魔法師は幼少の頃から適応性が高く、そのような子供は主にラスタやケルロー地方で育つ。だからダンジョンが多いルーノ地方に行く機会が少ない。その代わりに学校やその後所属する団体で戦闘経験を積む。魔法師団では学校を卒業したり、才能のある人を迎え入れ、魔法について指導を行っている。魔法師団長も交代交代で様々は人を指導する。今指導しているのはまだ魔法について詳しく知らないGクラスだ。次世代の魔法界を引っ張っていくような人も何人かいるだろう。
しかし、現時点ではまだ卵だ。
魔法師団本部はケルローの中心部の大都市アイエスにある。そして、演習場はケルローの中でも最東部に位置し、周りには平地しかなく、人もおらず、建物もない。普段は馬車で移動する。魔力もコストもかからないからだ。しかしそれは同時に、馬車がないと帰るのに手こずるということだ。魔獣に馬車をやられると、その時点で帰還の難度は上がる。早く指示を出さねば。
大きく息を吸う。
「総員!馬車を用いて最速力で魔法師団本部へ帰還せよ!私は時間を稼ぐので、クラス長に状況を報告してほしい!」
即座に判断を下す。
「「はい!!」」
皆んなは偉いな。こんな状況でも焦らずに指示を聞いてくれる。 バラバラだった皆んなが動き出している。私も頑張らないとな。本腰を入れて戦闘モードに入る。
「神よ!今私に力を与えたまえ!≪火炎の森≫!」
中級魔術を発動する。最前線は一撃で半壊した。低ランク魔獣はそこまで強くないということだ。上級魔術は戦いが長引けば魔力が持たない可能性がある。中級魔術でしぶとく戦おう。今はルーク団長もルナさんやトライさんもいない。焦るな。
「神よ!今私に力を与えたまえ!≪氷の針≫!」
最前線の魔獣は死ぬが、全体としては数が減った気がしない。厳しいな。
そんなことをしていると≪火の玉≫がいくつも飛んできた。後方の魔法獣か。
「魔の精霊よ。我に加護の力を授けよ。≪盾≫」
防御も攻撃も両立しなければならないのか。戦況判断も大事になってくるか。こんな時団長がいればな。
嫌、弱音を吐いてはダメだ!
「よし、行くぞ!」
「神よ!今私に力を与えたまえ!≪岩の壁≫!」
土魔術で壁を魔獣を囲むよう場所、自分と魔獣たちの間、魔物の進路に設置し、自分は壁の上に乗る。
土魔術の最適化は苦手なため、消費魔力が多いが、この一手で、私は常に戦況を把握できる。
後ろを振り向いて確認するが、Gクラスの皆んなは馬車で移動し始めたようだ。これで戦いに集中できる。
相手方で遠距離攻撃を使えるのは魔法獣のみ。なので、今は高ランク魔獣であろうと、私の攻撃をもろに食らい続けるということ!
「神よ!今私に力を与えたまえ!≪氷の針≫! ≪氷の針≫!」
立て続けに攻撃を与える。
魔法獣が攻撃を防ごうとするも、ほとんどの低ランク魔獣は守りきれていない。高ランク魔獣も少しにも少しずつだがダメージが入っている。よし、このままいけば!
「神よ!ー
そう言いかけた時、地面が大きく揺れた。
「何!?」
遠くを見ると、先程まで距離があったハイオークとの距離が大幅に縮んでいた。
「前衛に集中しすぎたかっ、」
ハイオークがもう一度地面を叩くと、壁に亀裂が入り、その後すぐ決壊した。どれだけのパワーなのか。
厄介ね。低ランク魔獣の数は大分減ったが、まだ高ランク魔獣や魔法獣は残っている。
「ここで一回やりますか」
丁寧に魔力を錬成する。
「神よ!今私に力を与えたまえ!≪氷の隕石≫!」
上級魔術を発動する。消費魔力は大きいが、攻撃範囲も攻撃力も中級とは比べ物にならないほどだ。
「よし!」
今の攻撃で低ランク魔獣はほぼ全滅。魔法獣や高ランク魔獣も半分は死んだ。
だが、
-ドン!-
その瞬間土煙が舞う。
それが晴れると同時にハイオークが魔法獣や高ランク魔獣を踏み潰して目の前に立っていた。
その直後、ハイオークが腕を振りおろした。
「魔の精霊よ。我に加護の力を授けよ。≪盾≫」
魔法で防御するが、その攻撃はあまりにも強すぎた。
「うっ、」
自分の体がそのまま地面にめり込んでいく。少し甘く見ていたか。
-ズズズズズ-
そして奴はもう一度私を潰そうと腕を引く。
「こんなとこで、やられてたまるか、」
土魔術で周りの土を移動して即座に攻撃を回避する。
だが、その攻撃の衝撃が飛んでくる。
「ウッ、あれをモロに食らったら体が砕けるわね。」
今は何とか攻撃を交わしているが、このままではジリ貧だ。体力も魔力をいつ尽きてもおかしくない。しかし、だからと言ってこのまま逃げれば街に被害が出る恐れがある。周りは平地で、隠れる場所もない。
そんなことを考えると次の攻撃が飛んでくる。
「神よ、今私に力を与えたまえ。≪風≫」
苦手な風魔法を応用して自分の移動速度を上げて攻撃を回避する。
その直後にはまた攻撃の予備動作が始まっている。守りに徹するのがやっとで、全然攻撃できない。
どうにかできないか。
すると、どこかから声が聞こえた。
「「団長、大丈夫ですかー」」
クラス長たちがやってきた。これはありがたい。
人数が増えることで、戦略の幅は大幅に増える。
「支援魔法が使える方は使えない方にバフをかけて下さい。支援魔法の使えない方で交代交代にヘイトを回して、残った人で攻撃を入れます!」
「「了解です!」」
「万物の始祖よ。今あなたに幸福を。≪攻撃力上昇≫≪魔力量上昇≫≪体力上昇≫!」
攻撃によるダメージは少なそうではあるがバフもかけてもらっている。長期戦にも持ち込めそうだ。この人数なら一方的に攻撃できる。勝てるぞ。
そう思った矢先、ハイオークが微笑んだ。
「グゥォォー!」
その叫びと同時にとてつもない威圧感を感じる。
直後には目の前にいたはずのハイオークが隣にいた。
-ドン!-
大きな音が響いた。
「え?」
クラス長は団長らには劣るものの、それだけの技能があるものが勤めている。そのクラス長が今、目の前で吹き飛ばされた。
そこで初めて気づいた。
(手加減、されていた、?)
初めて本当に死ぬと思った。ここに居てはいけないと思った。だが、恐怖で足は動かなかった。それはクラス長であろうとも同じであった。
直後、鈍い音が響き、血の匂いが漂う。
(み、みんなを助けるなきゃ。)
心ではわかっている。そのはずなのに、頭は従わなかった。
逃げなければ、逃げなければ、逃げなければ、
心はそれだけしか考えていなかった。
私が走り出した時、そこには死の匂いと純粋な殺意が溢れていた。
私が一度瞬きをすると、隣に奴が現れ、
私がもう一度瞬きをすると、目の前に笑っている奴が現れ、
私がもう一度瞬きをすると、奴がゆっくり拳を引いた
読んでいただきありがとうございました!
最近全然投稿できてなかったですね。実は体調不良になってしまい、その直後少し個人的な予定があり、すこし忙しかったという感じです。
事情説明するの遅れてすいません。次の話もすぐ書ければ投稿するので、これからもお願いします!




