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リリック〜魔法使いアイアンの冒険伝〜  作者: 風来坊 章
第2章 王都ダブリンスと追憶の章
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第101話 【合同】G級冒険者集結 中編

 アイアンの持つ野球バットのような専用武器。


 ゴメスは理解が追いつかず首を傾げる。


「行くぜ俺のアイアンワンド!!」


 アイアンが杖に魔力を込めた杖を放り投げると、長さ140センチ、横幅25センチほどのスケートボードに変化した。


 ボードには車輪の類は付いておらず、1〜2センチほど浮いており、アイアンはこれに飛び乗る。


「¿por qué(なんだそりゃ)!? バットがスケボー!?」


「Yeah! 俺が念じればなんにでも姿を変えちまうんだ。行くぜ!」


 ゴメスに答えたあとボードは急加速し、キラキラと粒子のような氷粒が舞い落ちる。


 これは大気の電磁力をボード下で反発させ、冷気の魔法効果により、アイアンの意思で急加速と急停止を可能にする。


 いわゆるリニアモーターカーの原理を魔法で再現しているのだ。


「Oh baby! It's about time.アイアンワンド! 今の俺に負けはねえ♪ お前に勝利は与えねえ♪ I'm feeling wavy as ever♪ 」


「それがどうした死ね魔王!」


 ダークイフリートが、自動追尾するドス黒い地獄の亡者のエネルギーを噴出し、さらに獄炎の炎を口から噴出する。


「俺に勝つ? お前には無理だぜforever♪ so なぜなら俺は無敵の魔法使い♪ 」


 だが空中を飛ぶアイアンは体を捻り、回転しながらボードから放たれる氷の刃でダークイフリートを切り裂く。


「なんだその動き!?」

 

 吟遊詩人が大音響でビートを奏でる中、超人的な動体視力を持つゴメスは、アイアンのスケボー技術に思わず驚嘆の声を上げた。


「wow すげえ! まるでショーンホワイトのダブルコーク1414! いやチャドみてえなトリックプレーだ!!」


「ギャングスター気取りのお前のドタマに狙いを定め♪ ぶっとばされるがお前の定め♪」


 空中でターンしたアイアンは、バク宙しながら指鉄砲を構える。


「BANG!」


 再度ダークイフリートに水魔法をアイアンは放つと、気化冷却で熱を奪うと同時に膨張した水分が水蒸気爆発を起こした。


「ぬう! 小癪な!!」


 歌いながらアイアンは考える。


ーーみんなが応援に来たのはいいけど、ガイさんやおっさんの力を盗みやがったこいつの炎、まるで無尽蔵。キリがねえぜ。


 専用武器アイアンワンドは手元に届いたが、現段階でダークイフリートを弱体化させる有効な方策は、相手の戦意を挫くこと。


ーー相棒がいねえと、真の力は行使できねえか。あと少しで俺の意識が、天に届いて切り札の言霊をぶちかませるな。あとはあの人が、理事長先生が言ってたヤスコの相棒が鍵だ。

 

「死ねぇ! 冥火炎(ダークファイア)


「ha おあつらえ向きの炎の壁を♪ 滑りながらかますぜjumping!」


 ダークイフリートが放つ炎を、アイアンは波乗りサーファーのように乗りこなして、ボードが放つ氷の魔力でU字型の巨大な氷の溝を形成する。


「駆け上がるぜbank 見せてやるぜgnarly trick! 」


 スノーボード競技用のハーフパイプのようにしてしまう。


「な!?」


 アイアンは壁面を滑り上がり、ジャンプすると軌道を変え、回転を加えてダークイフリートをボードのエッジで切り裂く。


「Oh! Ah! 今度はフロントサイドトリプルコーク……14(フォーティーン)40(フォーティー)!?」


 ゴメスがアイアンの繰り出した空中技を叫び、着地したアイアンは斜面を駆け上がって宙返りした。


「yeah! 変幻自在! 全てが自由自在!  俺の魔法を奏でるワンド! ぶちかますぜアンデッド!」


 指鉄砲から水の魔法弾を発射して、追尾する地獄の亡者も迎撃する。


「見たか活殺自在のテクニック♪ hereもっと見てえなら見せてやるぜFuck you!! wack!」


ーーもっと歌って揺さぶってやるぜジェームズ、それと魔王軍のよくわからん幹部野郎め


 アイアンが繰り出す変幻自在の攻撃に、ダークイフリートを操る者達はさらなる動揺をきたす。


ーーよ、読めない動きが。魔法の杖を板にして……り、理解できない!


ーー惑わされるな! 余の、ワシの玉体を守護せよ魔騎士よ!! 今がアトムを滅ぼす絶好の機会じゃ!


 ダークイフリートを操る、聖王ジェームズと魔騎士アルフレッドがアイアンに翻弄される中、仲間の冒険者達は呆気に取られた。


「あんな炎の化物を……すごいよアイアン」

「うん、それにかっこいいし。ねクリスタ」

「……戦いながら踊ってるみたい」

「すごいわね、歌いながら戦ってるわ彼」

「それに無茶苦茶な動きだ」

「ああ、リュウ大哥もいるみてえだけど……」


 赤龍トリノの前を飛ぶヤスコは笑みを浮かべる。


「うふふ、彼ったら楽しそうね」


「何を笑っているのだシロヒトリガめ」


「ちょっと踊って参りますわ」


 ヤスコは急降下して、シューズ靴底にエッジを魔法で形成してスケートシューズに変えた。


「わたくしも混ぜてくださいまし、魔法使い」

「へっ、いいぜ。俺に合わせろ!」


 ヤスコは二丁拳銃を発射しながら滑り回り、ダークイフリートに攻撃を仕掛ける。


「Seriously? 今度はスケートのループ、アクセル!? あいつらクレイジーだ! オリンピックでもやってんのか!?」


「んー表現力満点やな」


 ゴメスにチュウ太郎が答えるのを見たリュウは、自身も理解が追いつかない武術を知っていると興味を持つ。


「……おいラティウムの格闘屋、お前あれ知ってるのか? なんなんだあの動き、まるで踊ってるようだ」


「ああ? あれは地球のスポーツだ」


「地球? スポーツ?」


 二人のやり取りに、アリーフも混じる。


「ラティウムの格闘士よ、地球とはなんだ? 確かガナパティなる者と伝説の勇者様が話していた件か?」


「長くなるから今度話してやるよ。俺もジェファーソン……アイアンもギブソンも地球っていう別の世界から来たんだ」


「別の世界だと?」


 アリーフの質問には答えず、ゴメスはダークイフリートを指差す。


「ヘーイ、今はあの炎の化物の戦い方に集中だ。この勝負(ビーフ)このまますんなり終わると思えねえ。多分な」


 ゴメスの回答に意味がわからないアリーフとリュウだったが、彼ら以外にもアイアン達の戦いを見つめる実力者がいた。


「おお、なんと凄まじい炎じゃ。ガイ殿を乗っ取ったあの黒炎の化物、まるでお伽話に出てくる幻獣のようじゃが……それよりあの2人」


「ええ、老師。強いですね」


「うむ、というかワシらより強くないかのう?」


 バーベンフルトは、ハンに応じながらレッドドラゴンのトリノの顔を見上げた。


「伝説の赤龍よ、あれはあなたと同じ幻獣なのか? 一体なんなのだ?」


 ダークイフリートの正体がわからないバーベンフルトが、トリノの巨大な頭部に説明を求める。


「見たことない幻獣だ。しかしあの魔導師といい、シロヒトリガといい、我に匹敵する力を持っておるが……なんなのだ一体」


ーーそれは私が聞きたいのだが……昨日突如現れた彼の魔法と格闘能力は、常軌を逸してる。あの少女も


 ヤスコの戦いを始めてみるバーベンフルトだが、最高峰冒険者と呼ばれる彼でも理解できなかったため、今度はダークイフリートの正体を見極めようと考えた。


ーーあのモンスターは……おそらくこれよりはるかに弱いが、稀に出現するエレメント種の中でも、フレイムエレメントに近いか。


 エレメントとは、火、水、風、土の四元属性のどれかを発する、人間世界に害を与えると言われる精霊系統のモンスター。


 高額賞金首に指定されているような、悪しきエルフの魔術師が召喚するという。


 このほかにも、レムリア文明時代のクリスタルが発掘されるような、古代遺跡などで出現する。


 この系統のモンスターは、武器を使用した武術とは相性最悪で、討伐には魔法使いの魔法が不可欠。


 もしくは属性付与した特殊武器、または熟練した戦士の武技が必要になる。


ーーおそらくエレメント種と同様、実態のないエーテル体が、なんらかの精霊力で物質化したものと見るが……幻獣クラスのアレは初めてみる。私の武技果たしてが通じるか?


 バーベンフルトは、ダークイフリートを自身の経験から分析するものの、自身が確実に勝利できるビジョンが浮かばない。


「バーベンフルトよ、考えても仕方あるまいて。あそこに馬鹿弟子もおる。ワシらも行くぞい!」


「ええ、ハン老師。なるほど、東方最強とまで言われるリュウもいるとは。それにアイアン、やはり彼は強いな」


 トリノの背に乗ったバーベンフルトとハンが飛び降り、ダークイフリートとの戦いに加勢する。


「アイアン、救援に来た」

「ワシらも加勢するぞい」


 この場にバーベンフルト、ハン、リュウ、アリーフの、世界最高峰冒険者が集結した。


「ジジイ!」

「おお、バーベンフルト殿もここに!?」


 アイアンが空中でターンして、応援に来た面々に向く。


「バーベンフルトさん、来てくれてありがてえが、こいつには直接攻撃が通らねえ」


ーーやはりか。だが、彼は着実にダメージを与えている。魔法を付与した攻撃だが、年若く見える彼がここまで戦えるとは……彼は本当に何者なんだ。


「こちらに来たからには、わたくし達の役に立っていただきましょうか」


 バーベンフルトは、アイアンの元まで滑ってきたヤスコに視線を向けた。


ーーやはりこの少女も、見た目とは裏腹に熟練の魔導師か。それに体術と身体操作が、鍛え抜かれた武術家のようだ。


「ビッチ、精霊王さんは?」


 アイアンがヤスコに振り向くと、精霊王フューリーが彼女のコートから飛び上がる。


「精霊王? アイアン、君の妖精とはまた別なのか?」


 困惑するバーベンフルトの頭上を通り過ぎたフューリーは、指で鼻を摘みながら周囲を飛び回った。


「なんなのこいつ!? くっさいわ! 地獄の臭気がして鼻が曲がりそう! あたしのイフリートを返してもらうわよ!」


「a yo 精霊王さん、あんたが戦いのキーマンだ。指示してくれ、このイフリートとガイさんをあんたの手元に戻すためのよ」


「ええ、くっさい地獄の瘴気が弱まるまであと少しよ! もっとこいつの思念を弱らせて……ん?」


 すると、どこからともなく光り輝くピンポン球のような球体、オーブが飛び交う。


「そう、あなた協力してくれるのね。わかったわ、あたしと一緒にイフリートへ!」


 フューリーは謎のオーブと共に、ダークイフリートの灼熱の口内目掛けて飛び込んだ。


「お、おい! クソ、どいつもこいつも好き勝手しやがって。どうするよ? ビッチ」


「ええアイアン、フューリーが力を発揮できるよう、もう少し踊りましょうか。氷柱凍剣」


 ヤスコが魔法を発動すると、大気中の水分が瞬間凍結し、無数の氷の刃が形成される。


「詠唱も無しに!? エラーム出身者以外にそんなこと! しかもなんて数の氷の剣!!」


「おお、凄まじい仙術の力じゃ。それに師父の操る魔法にも似ておるわい」


 バーベンフルトとハンが、ヤスコの生み出した魔法に思わず驚愕の声を上げた。


「さあ、行きますよ」


 ダークイフリートは、剣に見立てたオベリスクで受けようと防御の構えを取る。


「こざかしい、我が剣で受け止めて……」


ーーならぬ魔騎士よ! それを受けに使ってはならん!!


「!? 猊下!?」


 ジェームズに主導権が移り、防御の構えが解かれると、ダークイフリート目掛けて氷の剣が降り注ぐ。


 高熱により一瞬で蒸発して水蒸気爆発が引き起こされ、大量の霧が発生した。


「……防御の構えを解いた? なぜ? まあいいでしょう、今ですアイアン」


「OK!」


 アイアンとヤスコが戦いを継続し、冷気と蒸気の作用で水蒸気爆発が生じて巨大な火柱が上がる。


「yo まだ魔王軍ごっこやるか? ろくでなしのジェームズ? 俺見て怯えた目玉のレンズ♪ 俺にビビり散らかしてたお前の日常(デイズ)♪ 引っ叩かれて怯えた目をして、思い出したかよお前のメモリーズ♪」


「おのれアトムゥゥゥゥゥゥ! 貴様ら全員皆殺しだああああああああ!」


 ジェームズの怒りによって、ダークイフリートから噴出した地獄の亡者の魂が生者に乗り移ろうと、G級冒険者達に襲いかかる。


「ぬん!」


 バーベンフルトがハルバートで薙ぎ払い、亡者達を消滅させた。


「アンデッド? 浮遊霊系統のスカルヘッドのように見えるが……強い情念の波動を感じるが」


 アリーフがバーベンフルトの背後目掛けて飛んできた亡者の魂を切り伏せ、再構築しようとした魂を、ハンが旋風脚を放って吹き飛ばす。


「気をつけるのだバーベンフルト殿。あのモンスターから放たれる悪霊に接触したが最後、焼き尽くされる」


「幻獣にアンデッドが取り憑いた!? 私ですら見たことも聞いたこともない現象だアリーフ殿下!」


 世界最高峰冒険者達だったが、ダークイフリートから出現した、ドス黒い地獄の亡者達の迎撃にかかりきりになる。


「チッ、数が多いぜ。この野郎、最強たる俺をなめやがって!」


「口よりも手と足を動かすのだ馬鹿弟子! しかし……この状況でも見事な戦いじゃのう、あの二人」


「ああ老師、このバーベンフルトも数多くの魔物を葬ってきたが、あの者達の体術に魔法……」


「うむ、あの子もそうじゃがもう一人ものう。さすがは、勇者様のご令嬢といったところじゃ」


「そ、そうなのですか!? 彼女は勇者様のご子息……美しい、優雅で美しい。まるで北方で降るという雪のように見えるぞ」


 襲いかかる地獄の亡者達を撃退しながら、ヤスコに思わず見惚れるアリーフを横に、リュウはヘソの下の丹田に力を込め、身に宿る古龍のオーラを溜めた。


「うるせえぞアリーフ!! おい小僧と勇者様の娘!! こいつは俺の獲物だ!!」


 リュウは腰を深く落とし、両手を組み合わせて龍の口を形どった。


「チッ、ヤロー援護射撃くれえ伝えろよ」

「ふ、彼はそこそこやるようですねっと」


 魔法の気配を感じ取ったアイアンとヤスコは、ダークイフリートからサッと間合いを離す。


「仙術……吐水青龍!」


 その瞬間、リュウは仙術と呼ばれる東方の魔力を発揮し、超高圧水流を両手から噴出する。


 それはまるで、口から水のブレスを吐くいにしえの青龍のようだった。


「兄貴をこいつから引き離してやるぜ!!」


「この気配は!? まずい!」


 熱を奪われそうになったダークイフリートは振り返ると、両手持ちにしたオベリスクでガードしたが、あまりの水圧で剣に見立てた水晶の柱にヒビが入る。


「な!? ち、力が弱まって……」


ーー早く防御の型を解け! 魔騎士よ!!


 ダークイフリートが防御を解いた瞬間、リュウの放った水の体積が一気に1700倍以上膨張し、大爆発を起こしてダークイフリートの熱を奪う。


ーーチャンス!


 その瞬間を、アイアンは見過ごさないはずがなかった。


「BANG」


 スケボーを空中で停止させて、両手を組み合わせた指鉄砲を放つと、水蒸気爆発を起こして炎の出力が低下したダークイフリートの熱をさらに奪い取る。


ーー魔騎士よ! やめろと言ったはずだ馬鹿者が! これはこの精霊を操るマジックアイテムなのだ!!


「ぐうううううう、猊下お許しください。それに……霧で見えない! クソ! 魔王め!!」


ーーん? このクズなぜまた防御を途中で?


 この時、観察力に優れたヤスコが、ダークイフリートの弱点に気がついた。


「なるほど、そういうことですか。ん?」


 上空のトリノはリュウが発揮した魔法を見て、かつて敵対していた古龍ダナイの気配を感じ取り、激しく困惑する。


 古龍ダナイは別名青龍と呼ばれ、ドラゴンの中でも最上位の実力を誇りながら、ある日を境に突然姿を消したという。


 その消えたはずの古龍の力を、なぜ人間のように見えるリュウが行使しているのか、彼女の理解が及ばなかったためだ。


「あの青龍ダナイ!? いや違う、ニンゲンがなぜ我と同様の龍気を放ってる!! わ、わけがわからんのだああああああ!!」


 トリノが、リュウの放つ龍の気配に取り乱し、身をよじって上に乗せてた冒険者達を振り落とした。


「だああああああああ! 落ちるうううう」


「やべえぞ、リンリン風の仙術だ!!」


 東方の冒険者達は風の魔法で宙に浮き、ことなきを得たが属性魔法を使用できないショーン達が、地面に叩きつけられようとしていた。


「トリノのやつ何やってんだ!!」


 落下するショーン達に、宙に浮くアイアンはボードを掴んで魔力を込めると、再びバットのような魔法の杖に姿を変えた。


上昇気流(アッパースイング)!」


 杖を片手で一振りすると、風の魔力が放たれて、落下する冒険者達をゆっくり地面に下ろす。


 だがトリノは、体内で生成した炎のエネルギー波を口内に溜め、ダークイフリートもろとも地上を焼き尽くそうとする。


「痴れ者が、この我が消し飛ばしてやるわ!」


 同時に危険を感じ取ったヤスコは空を飛び上がり、トリノの頭部に回し蹴りを放つ。


「グァ!」

「さっさと龍化を解きなさい、足手まとい」

「このっ! シロヒトリガ!!」


 ヤスコは上空で暴れるトリノを押さえ込もうとする中、アイアンは仲間達に退避を呼びかける。


「みんな離れてろ!! あそこにパンドラのゴーレムがいるから……」


 アイアンに、Aチームの冒険者達も駆け寄るが、ダークイフリートの地獄の業火の影響で分断されてしまった。


「アイアンを助けに……あっつい!」


 ハロルドは業火に近付くと、槍を持つ手を火傷して距離を離す。


「炎がすごくて……」


 炎に対する防護効果を持つ属性レジストを唱えたクリスタだったが、魔法効果が意味をなさないほどの炎に怯みそうになる。


「近寄れないわこれじゃ、アイアン」


 生まれ持った才能で、ただの炎ではないことを感じ取ったエレナは、炎で分断されたアイアンへ不安げに視線を向ける。


「やべえええええええガイさんのイフリートが、なんか闇の召喚獣っぽくなってるうううううう!」


 ショーンは、魔力が尽きて未来予知魔法も作動せず、あまりの恐ろしさに声を上げた。


 また東方のS冒険者達は、逆巻く炎紫色の炎が織りなす灼熱に身を守るのが精一杯で、仙術使いリンリンが凍気の風で仲間達を冷まそうとする。


「チッ、馬鹿女が……」


 舌打ちした吟遊詩人は演奏をやめて宙を飛び、イフリートと同化した魔騎士アルフレッドは、アイアンの仲間達に邪悪な視線を向けた。


「見つけたぞ、貴様の弱点を!」


 ダークイフリートは、ショーン達とAチーム冒険者達に殺意を向け、体内に湧き起こる冥界の炎の出力をさらに高める。

諸事情などがあって更新が大変遅くなりました。次回は明日の後編に続きます。

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