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62 ジャイアントとの戦闘

「俺の名はギガランティ、魔王軍6魔将の一柱さ」

 やっぱり六魔将・・・。なんか強そうな感じがしたんだよな~。雰囲気が強者なんだよ・・・。それにしても、こいつなんだかチャライなあ。

「ズゴーーーン!」

 ジャイアントは、俺たちに向かって棍棒を振り下ろす。

 カズヤはエルミアを守りながら障壁で棍棒をはね返している。クレエブルは、素手で受け止めているようだ。

 「念動力サイコキネシス!」

 カズヤは、暴れるジャイアントを念動力サイコキネシスで固定した。ジャイアントは振り上げた棍棒をそのままに、時が止まったように静止している。


「エルミア、エルフの里の門番ってジャイアント?」

「そんなことあるわけないじゃないですか~!門番もエルフです~!」

「じゃあ、このジャイアントは何だ?」


 カズヤの念動力サイコキネシスで体中の動きを止められているジャイアントの内1体の、頭の固定だけを解除する。これで、口が利けるようになるはずだ。でも、ジャイアントってしゃべれるのか?

「グガガガガ! コシャクナ ニンゲンドモ! ナニヲシタ!」

 おぉ、ジャイアントしゃべれるじゃないか!荒ぶるジャイアントに質問をぶつける。

「お前は何者だ?」

「オデタチニ ナニヲシタ! ハナセ!」


 …会話にならない。一度落ち着いてもらおう。

 カズヤは、ジャイアントに対してギュッと圧縮を掛ける。普通の人間ならば、押しつぶされるような力なのだが、ジャイアントは丈夫なようだ。

「グガガガガッガ…」

 ジャイアントの口から苦しみの声が漏れる。

「質問に答えろ!」

「ウスギタナイ ニンゲンノ ブンザイデ ヨグモ!!」

 …だめだ、こいつ…。


「お前は、もう黙れ!」

 しびれを切らせたクレエブルがそう言うと、一瞬で龍形態になり、反抗的なジャイアントを殴りつけた。

 龍形態のクレエブルに殴られたジャイアントは、100mほど、木々をなぎ倒しながら地面を転がっていった。クレエブルが本気で殴ると殴られた部分がはじけるから、転がっていくってことは、だいぶ手加減したね。でも、意外と気が短いんだね。


 そのジャイアントと話すことはあきらめて、次のジャイアントをしゃべれるようにする。

「オデハ ナンデモシャベル ダカラ ユルセ」

 おお、物分かりがよさそうだ。クレエブルのおかげかな。大きな体が小刻みに震えている。

「お前は何者だ? なぜ、エルフの里にジャイアントがいる?」

「オデハ ヘイシ タダカイニ キタ。  ココノ エルフ ヨワイ。 オデタチ センリョウ シタ」

「兵士って、まさか、魔皇軍の兵士か?」

「ソウダ オデタチ マオウサマノ メイレイデ キタ」

 

 エルフの里は、魔皇軍ジャイアント部隊の襲撃を受けていたのだった。

 エルミアがおばば様をいくら呼んでも、応答がなかったのはそういうことだったのか。

「お前たちの目的は何だ?」

「オデハ ボスノ メイレイデ キタダケ  モクテキナド シラナイ」

「このエルフの里に、ジャイアントは何人来ているんだ?」

「ソデハ・・・グギャッ!」

 ジャイアントが答えようとしたとき、彼方から飛来した巨大な棍棒が、そのジャイアントにぶち当たった。


「おいおい、自分の軍の情報をペラペラペラペラとしゃべっちゃダメでしよ」

 おそらく、先ほどの棍棒を投げたであろう人物が近づいてくる。大きさから言ってジャイアントだ。身長8mはあるだろう。ジャイアントなのに言葉がすごく流暢である。

 種族特有のがっちりした体つきなのだが、なんだかイケメンオーラが出ている。他のジャイアントは髪がボサボサだが、こいつだけ、やけにピシッと髪型が決まってる。着けている鎧もなんだかかっこいい。


「ん~、君たちは何者かな~? さっき一瞬でっかい龍の姿も見えたんだけど・・・」

 こいつ、龍の姿を見た上でこっちに来ているのか?龍相手に勝算があるということか?

 カズヤは、この場をクレエブルに任せることにした。カズヤは後方に下がり、クレエブルが前に進み出て問いかける。

「我は天龍クレエブル、このエルフの里に用があってきた」

「ああ、君が天龍クレエブルか・・・、噂は聞いているよ。 グリフォンたちをかわいがってくれたんだったな。 お前が殺したオピニュクスは、なかなかいいやつだったんだぜ。 羽の手触りも良かったしな。」

「お主は魔大陸のものか?」

「ああ、俺の名はギガランティ、魔王軍6魔将の一柱さ」

 やっぱり六魔将・・・。なんか強そうな感じがしたんだよな~。雰囲気が強者なんだよ・・・。それにしても、こいつなんだかチャライなあ。


「で、ギガランティとやら、お主らの目的は何だ? エルフの里をどうした?」

「別にどうもしちゃあいないさ」

「では、なぜ、里にエルフの姿がないのだ?」

「あいつら逃げ足だけは速くってさあ、俺たちが到着したときには、だれもいなかったんだよ。 どこかに隠れてるはずなんだがなあ・・・、なかなか見つからなくって困っていたんだよ。 エルフをとっつかまえて居場所を吐かそうにも、誰一人いやがらねえ」

「ほう」

 これはいい情報だ!エルフの人たち無事みたいだな。よかった~。


「で、困っていたところに丁度来たのがお前さんたちさ。 後ろのお嬢ちゃん、エルフだろう? 里の奴らの居場所を知っているんじゃないのかな?」

 そういうことか!こいつ、俺たちと一緒にいるエルミアに狙いをつけていやがった。こいつにとって俺たちは、見つからなくて困っていた捜し物の手がかりな訳だ。

「お前に教えると思うのか?」

 クレエブルがどう猛に笑いかけながら、人型から龍形態へと変化した。人型の時にはギガランティに見下ろされてたクレエブルが、今度は15mほどの高さからギガランティを見下ろす。


 クレエブルとギガランティは、向かい合ったまま一触即発の雰囲気を出している。

 カズヤは、エルミアを伴って後方に避難し、防御障壁を何重にもかけた。

 いつの間にか集まっていた、棍棒と盾を持つ30体ほどのジャイアントも、ギガランティを残し後方に下がる。

 

 濃厚な殺気が、周辺を漂う。

 最初に動いたのはクレエブルである。10m以上もある尾が、横なぎにギガランティに襲いかかる。クレエブルの強靱な筋力よって繰り出される攻撃は、目にもとまらぬ速さでギガランティに迫る。

 ギガランティはスウェイバックして難なく攻撃を避ける。すばらしい柔軟性を持った体である。

「ふう、こわいこわい。 あんなのを食らったら死んじゃうよ」

 そんなことを言う割には余裕の表情のギガランティである。そして、背負っていた軽く1tはあろうかという大剣を抜き構えた。

「じゃあ、次はこっちの攻撃だな」

と言うなり、その巨体が風を切ってクレエブルに迫った。何という速さ!その大きな体には不似合いな機敏さである。

「フッ!」

 大剣がクレエブルに迫る。

「ガッキイイィィィィィン!!」

 クレエブルは、腕で剣を受け止めた。


 龍の鱗は無類の強度を誇る。その堅さは、稀少鉱物アマンダイトに匹敵すると言われている。しかも、龍の全身には、何重もの防御結界が常に張り巡らされているのだ。

「おぉ、堅ってえなあ!」

 大剣を受け止めても、クレエブルの鱗一つ傷ついてはいない。


「じゃあ、これならどうかな?」

 ギガランティが剣を水平に構え、片手を剣先に添える。

「ハアアアアアアアアッ!」

 ギガランティが緑色のオーラを体にまとう。その緑色のオーラが大剣にまとわりつき淡く光る。あの大剣は魔法剣のようだ。

「森の力を剣に付与したか・・・、おもしろい!」


 ギガランティが、縦横無尽に移動しながらクレエブルに斬りかかる。

 クレエブルも、その鋭い爪や強靱な尾でギガランティに迫る。

 その戦いは、周辺の木々をなぎ倒し、地面を陥没させ、岩を削っていく。それは、2つの巨大なタイフーンが荒れ狂っているようだった。

 強靱な鱗と結界を誇るクレエブルに、致命傷にはならないが傷が増えていく。ギガランティも、体のあちこちから出血している。


「終わりだ!」

 クレエブルがギガランティに向かってブレスを放つ。避けようのない近距離からのブレスである。

「キュイイィィィン、ドッゴオオオオォォォォーン!」

 ギガランティは、そのブレスを大剣を盾にして防いだ。

「オオオオオオオオオオオオオ!!!」

 なんと、ギガランティの大剣は、山一つを軽く貫くクレエブルのブレスに耐えきったのである。さすが、魔法剣と言ったところであろうか。

「ふえ~~~、危っぶね~!」

 どこまでも軽いギガランティであるが、龍のブレスを防ぐ実力は本物である。

「おもしろくなってきたなあ! クレエブル!!」

「小癪な小僧め!」

 クレエブルとギガランティの戦いは、その後もしばらく続いたが、互いに決定打はなく膠着状態になっていった。


「お~い、クレエブル~、手伝おうか~?」

 カズヤがクレエブルに声をかける。

「馬鹿を言うな!助けなど必要ない!」

 まあ、そう言うと思ったよ・・・。クレエブル、ちょっと意地になってない?

「助け? 龍に? あんなにちっこい小僧が? ・・・おい、そこのちっこい小僧、お前、もしかしてプレシオルを倒した小僧か?」

「ああ、そうだ。シーサーペント軍を殲滅したのは、そこにいるカズヤ殿だ。 ちっこいが強いぞ。」

 クレエブルが答える。二人して俺のことちっこいちっこいって失礼な!


「は~、お前全然強そうに見えないのに・・・。 見た目にだまされるなってヤツか・・・。 おい!やめだやめ! 戦いは終わりにしようぜクレエブル!」

「何? どういうことだ!?」

「そのカズヤってのがお前と一緒になったら、勝てる気がしねえもん。 俺たちは帰るからよ。 ここらでいいにしてくれねえか?」

「何をふざけたことを言っておるのだ!」

「いや、俺たち、何もしてないよ。エルフの里を壊した訳じゃないし、エルフに指一本触れちゃあいないし。そもそも会ってもいないし・・・」

「・・・・・・・・」

 俺たちが、その言葉に呆然としている間に、「おめえら帰るぞ!」とギガランティは、ジャイアントたちを引き連れて走り去ってしまった。それは、あっという間の出来事だった。


「カズヤ様、良かったのですか?」

「ああ、クレエブル。 戦いお疲れ様。 あいつ強かったな」

「はい、久しぶりに見るほどの強敵でした」

「お前、ちょっと楽しそうだったな」

「そう見えましたか?」


 戦っている最中のクレエブルは楽しそうだったのだ。少なくとも俺の目にはそう見えた。だから、戦いに割って入ることができなかったのだ。

「久しぶりに全力を出せる相手に、多少心躍ったのは否定しません。」

 ああ、やっぱり楽しかったんだ・・・。

「ギガランティは、まだ何かを隠している感じがしたんだ。」

「我も感じておりました」

「今は、エルフの里のみんなの方が心配だから、深追いはやめようか」

 カズヤたちは、逃げたジャイアントたちを追うことはせず、エルフの里のエルフたちを探すことを優先することにした。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

今後も、おつきあいいただけるようお願い申し上げます。

今後もがんばって続けますので、

評価、ブックマーク等していただけたら嬉しいです。

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