49 やばい!俺の理性がギリギリだ!
カズヤに対するパルメの猛アタックが始まります。
それまで色恋沙汰には無頓着だったパルメだけに、たがが外れると大変です。
ほどなくして、夕食の時間となった。我が家のコック3人にとって、緊張の時間の始まりである。
夕食のメニュー
・世界樹の樹液
・野菜たっぷりのテリーヌ
・コーンポタージュスープ
・牛フィレ肉のパイ包み
・湯通しした薄切り白身魚ポン酢ソース
・甘~いフレンチトースト
・森で採れた山ブドウのジュース
である。ワインやエールは、街で買ってきた高級品だ。アルコールは、さすがに作れない。
まず、世界樹の樹液で乾杯した。
今回は隠したりせず、最初から世界樹の樹液であることを説明したので、皆、覚悟を決めたような顔で樹液を飲み干した。
シンノウの肩が淡く光る。ああ、炎帝は肩を痛めていたんだな、とわかる。ソフィア様は頭と手足の先が、パルメは体全体が、フレイヤとボルグはほとんど光らない。
「おお、長く痛んでいた肩の痛みが消えたぞ。 さすがは世界樹の樹液、すごい効き目だな。」
「手足がじんわりと温かいわ。私は頭痛持ちなのだけれど、頭が軽くなったみたい。」
「訓練で残っていた体中の疲れや痛みがウソのように消えたわ…。」
さすが武闘派パルメ、ここに来る直前まで、厳しい鍛錬をしていたらしい。
フレイヤとボルグは健康体だね。樹液のおいしさに、だいぶ感動していた。
ディナーのメニューは、俺の世界では珍しくもないものだが、この世界では珍しいものを選んだ。
我が家のシェフ3人によると、温野菜をゼリー寄せにするテリーヌも、コーンポタージュも、この世界の料理店で出しているところは無いそうだ。国の首都にある様々な店で調査したという3人が言うのだから間違いないだろう。そもそも、コーン自体が流通していないようだ。
コーンは、森の探索で見つけ収穫した食材だ。コーンを初めて見た時には、その形に驚いていたが、才能あふれる3人はゆでたコーンを試食しただけで様々な料理が頭に浮かんだそうだ。甘さを生かしてポタージュスープにすればきっとおいしいはずと考えたのは菓子職人のオリヴィアである。俺にとってはありふれたコーンスープだが、この世界の人にとっては衝撃的激うまスープらしい。
パイもこの世界にはない。パン生地を薄く伸ばして何度も折りたたむという発想が新しいそうだ。サクサクとした食感に激しく感動していた。薄切り白身魚のポン酢ソースは言い方を変えれば“しゃぶしゃぶ”だ。醤油に柑橘の果汁を入れて作るポン酢もこの世界にはなかった。簡単なのだが、これは思いつかなかったと感心しきりだった。
パンを甘い牛乳に浸してから、バターで炒めるフレンチトーストも、この世界では発明されていなかった。3人に伝えたレシピは、市場で見つけたシナモンの粉もふった本格派だ。さすがにアイスクリームは乗っていない…。
山葡萄ジュースも好評だった。森で採れる山葡萄は小さくてとてもすっぱい。これは、その酸味を利用したワイルドなジュースである。そもそも山ブドウは、山近くで暮らす農民ぐらいしか口にしない、貴族どころか街の人たちでさえ口にしないような低級食材だったらしい。しかし、そのすっぱい山葡萄に砂糖で甘みを付け足すと、とんでもなく美味しいジュースになるのだ。
日ごろから豪華な食事に慣れている皇帝一家にとって、我が家の料理は未知のものが多かったので、非常に好評なディナーとなった。
3人のシェフは、皇帝の口から直接「うまかった。満足だ。 皇宮の料理に匹敵する、いや、それ以上かもしれないな。」という言葉と最高級の評価をもらい、涙を流して喜んでいた。徹夜で準備をした甲斐があったね。よかったよかった。
皇帝たち、今日は泊まりだから、明日の朝食もよろしくね。
屋敷の外で待機している近衛騎士たちは、一緒に来ている食事兵が料理を作り、野外で食事をしている。階級の高い上官は、天幕の中での食事のようだ。
俺は、アイテムボックスから出した巨大なダイオウエビンの身や、アオザメンの肉数百キロを近衛の皆さんに食材として提供した。その差し入れは騎士の皆さんにとても喜ばれた。
この屋敷の自慢の一つに風呂がある。
5人以上が一度に入っていいような大きな風呂場に大きな湯舟。設備は皇国最新のものである。
当然だが炎帝から風呂に入ってもらう。皇帝の風呂には当然のようにメイドが付き従っている。今日はソフィア様とも一緒に入浴するそうだ。ラブラブ夫婦である。
3人の子どもたちに次に入ってくれと言ったのだが、「お屋敷の主人であるカズヤ様より先に入浴することはできません」とのことで、俺が次に風呂に入ることになった。
「ふう~~~、生き返る~。」
湯舟の中で手足を伸ばす。体の隅々まで、血が巡るのを感じる。
「コンコン!」
ノックの音と共に、誰かが浴室に入ってくる。メイドさんが何かの仕事できたのかな?
「カズヤ様、お背中をお流しします!」
「あれ?パルメ?」
浴室に入ってきたのは、バスタオル1枚で身を包む第1皇女のパルメだった。
「ちょ、ちょっと待って! まずいよ! 近くにシンノウ様もいるんだよ!」
慌てる俺に、パルメはグイグイ迫ってくる。
「未来の旦那様であるカズヤ様のお背中を流すのは、未来の妻たる私の仕事です!」
ちょっと、ちょっと、近い!やわらかい!おいおいおい!
こんな状況が炎帝に知られたら殺されるかも…。
「さすがにこれはまずいって!お父さんに知られたらどうするの!」
「父に知られて困ることなどありません! 父も先ほど、母と共に入浴していたではありませんか。」
お、おう。そう言われるとそんな気がしてきた…。いや、流されるな俺!
「出て行ってもらえると嬉しいんだけど…。」
「カズヤ様のお背中をお流しするまで、決して出ていきません!」
言い切るパルメであった。
パルメの勢いに負けて、背中を洗ってもらうことになった。まあ、パルメは大きなバスタオルを巻いているから大事なところは見えないし、ギリギリセーフかな…。セーフと言ってくれ。
海底で獲ってきた海綿スポンジに、パルメが石鹸の泡を立てる。色っぽい!直視できない!だいたい、黙っていればパルメはすごい美人さんなんだよな。
俺の背中をスポンジで洗いながら、パルメの熱い吐息が耳の後ろに当たる。
洗う感触が、スポンジから違うものへと変化する。この感触は手か?パルメはスポンジを捨てて、自分の手で俺を洗い始めたのか?
パルメの息が荒くなってない?その手が背中だけでなく、俺の二の腕や胸まで届き始める。背中に当たる2つの柔らかな圧力が、どんどん強くなっている。
やばい!俺の理性がギリギリだ!
「ぱ、パルメサン、オッケーありがとう。もう十分!」
俺はパルメから離れ、泡を素早く流し湯舟に避難する。
はー、危なかった…。こんなところで理性が吹っ飛ぶところだった。と安心したのもつかの間、、パルメも湯舟に入ってくる。こんなに広い湯舟なんだから、そんなにくっついて座らなくても…。ああ、腕を抱き込まないで!腕に柔らかな何かが押し付けられているよ!
俺は、前を押さえながら慌てて風呂から逃げ出した。
新たなヒロインパルメの働きが素晴らしい!
パルメの煽りに当てられて、ベティが急に積極的に・・・。




