46 カズヤ、パルメと戦う
カズヤとパルメとの戦いです。
さて、どうなってしまうのでしょうか。
俺たちは、郊外の練兵場に場所を移した。
パルメの炎の魔法は強大で、このような場所でないと、周りに大きな被害が出るとのことだった。炎帝の娘だけあって炎魔法使いなんだな。
練兵場は広大な野原である。見渡す限りが範囲である。広いね。
その一角には指揮官用の高見の席がある。そして、この観覧席は、高度な結界魔法で守られているそうだ。
俺とパルメは、だだっ広い練兵場の草原で対峙する。
「よく逃げずにここまで来たな! すぐに化けの皮をはいでやる! いくぞ!〔ファイヤーボール〕」
パルメが小手調べとばかりに火の魔法を放ってくる。小さな火の玉だ。
「念動力<サイコキネシス>。」
俺は、自分の周囲に空気の壁を作る。火の玉は、見えない壁に当たり消滅した。
「なっ! 少しはやるようだな。 では、これならどうだ! 火の矢よ敵を貫け〔ファイヤーアロー〕」
先ほどよりも威力のありそうな複数の火の矢が飛んでくる。しかし、壁を突破することはできす、はじけ飛ぶ。
「パルメさん、俺を殺さないように、だいぶ手加減してるでしょう。手加減しなくていいよ。」
「ほう、なめた口をきく。さすが神の使徒だと名乗るだけのことはあるな。では、本気で攻撃するぞ。」
「いつでもどうぞ。」
俺は、自分を取り囲む壁を、念のために二重、三重と重ね。10層の障壁を作り上げた。
「神の使徒とやら、死ぬなよ! うっかり殺すと父上にドヤされるからな。 精霊サラマンダーに乞い願う、その炎を敵に放て〔サラマンダーの息吹〕!!」
俺を包み込むようにして炎の嵐が吹き荒れる。炎にさらされた地面は炭化し、ガラス質は溶け始めている。
「精霊魔法! なんて強力な…。 耐えて!カズヤ様!」
エルミアが叫んでいる。エルフだけあって、精霊の力に敏感なようだ。
「ここまで熱が伝わってくる…。カズヤーーー!!」
さすがに心配になったベティシアが声をあげる。
クレエブルやテンジュは涼しい顔をしている。まるで『我が主は、この程度の攻撃でどうにかなるはずがない』と確信しているような態度だ。
俺の周りで荒れ狂っていた嵐が収まる。パルメの攻撃で、念動力の障壁が全体の1割ほど削れたようだ。
全くノーダメージの俺を見て、パルメはあっけにとられている。
「そんな…、私の最上級魔法、サラマンダーの息吹なのだぞ…。それをもろに食らってノーダメージとは…。」
「ほう、カズヤ殿、さすがであるな。 先ほどのパルメの攻撃を簡単にしのぐか・・・。」
炎帝シンノウが感心のつぶやきを漏らす。
「じゃあ、そろそろ反撃するよ。 いいか?」
「ズガン!ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!」
俺は、少し離れたところにある大岩を念動力で持ち上げた。岩の大きさは10mぐらいだろうか。
その岩を、パルメに向かって飛ばす。あっけにとられているパルメの眼前に岩が迫る。
「きゃあああああ!」
岩は、猛スピードでパルメに迫り、直前で停止した。寸止めだ。
なすすべのなかったパルメは、ペタンと腰が抜けたように地面に座り込んだ。
「そこまで! この勝負、カズヤ殿の勝ちである!」
炎帝シンノウの声が響いた。
「ヒューーーン、ドゴオオォォォォン・・・。」
俺は、大岩をもとの場所まで戻した。
腰を抜かして座り込んでいるパルメに近づき、手を差し伸べる。
「さっきの攻撃、すごかったよ。今まで、どんな攻撃でも傷が付かなかった俺の障壁が、少し壊されたからね。」
パルメは、戸惑いながらも俺の手を取った。
俺は、パルメの手を引き、その場に立たせる。
俯いていたパルメが、おずおずと顔を上げ、その視線が俺を捉える。
「カズヤ様…、結婚してください!!」
「はい?」
「あなたは運命の人です。私は、ずっとずっと、あなたのような人を待っていました。」
胸の前で祈るように手を組んだパルメがグイグイと迫ってくる。何、どうしたの?
すると、それを見ていたベティがすごい勢いでこちらにやってきた。
「パルメ! あなたにカズヤは渡さない!」
ベティは、俺とパルメの間に入って一喝した。
「なによ、ベティシア、私の恋の邪魔をするつもり?」
「カズヤは私のパートナーなの!」
…これは想定外だ! ソフィ様もあっけにとられている。炎帝は…爆笑している。
俺はどうしたらいい?
俺たちは、夕食に招かれた。
炎帝シンノウ・ソフィ様、パルメ・フレイヤ・ボルグ君が共に食事をする。ボルグ君は12歳の少年、兄弟の末っ子で未来の皇帝である。
「カズヤ殿、先ほどは、娘のパルメが済まなかったな。」
「いえいえ、パルメさんのサラマンダーの精霊魔法、すごかったですよ。」
「おい、パルメ、カズヤ殿に謝りなさい。」
「はい、お父様。 …カズヤ様、先ほどは大変申し訳ございませんでした。カズヤ様が神の使徒であることを疑ったこと、失礼な態度をとってしまったこと、深くお詫びいたします。」
「信じられない…、パルメ姉さまが素直に謝ってる…。」
思わずつぶやいたボルグ君が、パルメさんにキッと睨まれ首をすくめている。
「カズヤ殿のあの力は何なのだ?差し支えなければ教えてくれんか。」
「あれは、念動力といいます。」
「すさまじい力だな。我らヴィルヘルム一族の精霊の炎を完璧に防いだ上で、大質量の物理攻撃とは…。あれは、我でも防げんわ。ファイア系の魔法は、魔法相手にはめっぽう強いが、重さを支えるという点では弱いからの。」
「恐れ入ります…。」
「カズヤ殿は、我らの国を散々荒らしまわった絶海の海賊団を討伐しておったな。 遅くなったが礼を言おう。 あの海賊たちには、何度も煮え湯を飲まされたからの。」
「シンノウ様、その時の様子を見ておりますので、私が説明いたしますわ。」
ベティがノリノリで説明する。海賊団を一網打尽にして空中に上げたこと、獄炎のヘルゲら海賊の幹部の首を簡単に飛ばしたことが語られた。ついでに、アオザメンも真っ二つにへし折ったなどの話まで付け加えられた。
パルメはというと、ウルウルとうるんだ瞳で俺を見つめながら、ベティの話を聞いている。先ほどの鎧を脱いで、今はドレス姿である。黙っていればクールビューティーな美人さんなのだな…。
「カズヤ殿、我の願いを一つかなえてほしいんだが。」
「はい、俺にできることであれば何なりと…。」
「天樹の空島に行ってみたいのだ。招待してくれんか?」
「ああ、そんなことですか。もちろん喜んでご招待いたします。」
2日後に、炎帝シンノウとその家族を、天樹の空島に招くことになった。
戦いのシーンって、書くの超難しいです。
戦い主体の小説ってよくありますが、天才なんじゃないでしょうか。




