45 第1皇女パルメ襲来
第1皇女パルメが登場します。
炎帝ほど物わかりがよくありません。
俺たちは謁見の間に通された。
王座に座っているのは炎帝シンノウだろう。じゃあ、隣にいるのは皇后様かな。
俺は、跪いて頭を垂れようとした。皇女のベティから事前に教わった礼儀作法通りだ。
「カズヤ殿、跪く必要はない。 そのままで結構だ。」
あれ?ベティに聞いてた話と違うな…。
「カズヤ殿以外の皆も同じである。 跪く必要はない。 龍や世界樹の妖精、また、その主に跪かせたとあっては、神罰が下りかねん。」
そう言って、皇帝シンノウは玉座を降り、俺たちの眼前まで近づいてきた。
「我は、炎帝シンノウ・フォン・ヴィルヘルム、この陸の皇国の皇帝である。 今日は、ミールニの地から、はるばる皇都まで大儀であった。」
「シンノウ様、ベティシア・ソプラ・マーリンでございます。」
「おお、ベティシア皇女か、海皇国から捕縛の依頼が届いておったが、そんなことは気にするな。我らが守る。ここにいる限り安全じゃ。」
「ありがとうございます。大変心強く存じます。」
おお、ベティ、さすがは外交担当。淀みない対応だ。
皇帝もベティを守ってくれるのか。これはありがたい。
実は、今回の訪問では、ベティのことが一番心配だったんだ。城に入ったとたんに捕縛される、なんて可能性も考えていた。まあ、そうなった場合、全力で抵抗するけれど…。
「このまま、立ち話という訳にもいかんので、場所を移したいが、よいか?」
「はい、もちろんです。」
「では、ついてまいれ。」
炎帝シンオウは、謁見の間を出て、皇后さまと数名の側近を引き連れ城の奥へとどんどん進んでいく。
その先にあったのは、こじんまりとした応接室だ。広さこそないが、室内の作りが素晴らしい。これぞ高級重役室って感じ。
俺たちは、炎帝シンノウとお后様に対面する形で、革製の座り心地の良いソファーに腰を下ろした。
「紹介する、后のソフィーだ。」
「ソフィー・フォン・ヴィルヘルムです。 カズヤさん、初めまして。今日は、お会いできるのをとても楽しみにしていました。テンジュ様、クエレブル様、お噂は聞いておりました。 本日、このようにお会いできて嬉しいです。 ベティシアもよく来たわ、今まで、大変だったわね。 無事でうれしいわ。 いつも、フレイヤと仲よくしてくれてありがとう。 エルミアさんも、どうぞよろしくお願いします。」
「こちらこそよろしく。 私たちも、お会いできて嬉しいわ。」
と、テンジュ。皇后さまに向かって、まさかの上から目線での発言だ。
「実は、今回、そなた達を招きたいと言い出したのはソフィーなのだ。」
え?俺たちに用があったのは炎帝じゃないの? お后様がなぜ?
「ソフィーはな、神からの神託も受けることがあるのだ。まあ、いわゆる聖女だな。」
おお、聖女様だ。皇帝のお后様が聖女ってすごいな。
「私は、我らの神であるソル様から神託を受けたのです。 天樹の空島を復活させたカズヤ様一行に会い、そして力になれ、カズヤ様は神の使徒である…と。」
「我もこの話を聞いたときには耳を疑ったぞ。 神の使徒が現れたというんだからな。 で、単刀直入に聞くが、カズヤ殿は神の使徒なのか?」
「自分が神の使徒かどうかは・・・正直言ってよくわかりません。 しかし、この世界を創った神様から『世界は今、滅びの道へと進んでいる。それを止めよ』と言われました。 ですから、私の目的は、この世界の滅びを食い止めることです。 そのための力も神様からいただきました。」
「それで、お主は途方もない力を持っているのだな。 しかし、世界が滅びに向かっているとは聞き捨てならんな。」
炎帝シンノウは、難しい顔をしている。そして、ベティは、隣でなぜかドヤ顔である。
「信託には続きがあります。 魔大陸から災いが舞い降りる、カズヤ様と力を合わせてこの世界を守れ…と。」
ソフィア様が、そう続けた。
「バン!!!」
部屋の扉が乱暴に開いた。
大股で部屋の中に入ってきたのは鎧姿の若い女性である。
赤を基調とした美しい鎧に身を包んでいる。赤みがかったショートヘアの美人だが、見るからに性格がきつそうだ。
「パルメ! いったい何をしに来た?」
と、炎帝が女性に聞く。パルメって言うんだ、あの娘。
「それに、なんだその格好は! 皇女としての自覚を持て! 全く、お前というヤツは・・・。」
皇女? ああ、パルメって第1皇女の名前だ! この鎧女、第1皇女か・・・。
「お父様! 簡単にこの者たちを信じるのは間違っています! 外で聞いていれば、何が世界の滅びですか! そもそも、この龍は憎っくき先祖の敵、そして、その主は素性の知れぬ怪しい者、ベティシアは国家反逆罪のお尋ね者、怪しい者ばかりでは無いですか!」
「パルメ! 客人に対して何という口の利き方だ! 娘とて許さぬぞ!」
「いいえ、お父様はだまされているのです! この世界は滅びません!」
あちゃ~、親子ゲンカだよ・・・。迫力あるな~。などと思っていたら、話の矛先がこちらに向いた。
「そこのカズヤとやら! 私と勝負しなさい! 私に勝ったら信じてあげるわ。 神の使徒なんでしょう。 私程度には負けるわけがないはずよね!」
「何を言い出すの? パルメ、いい加減にしなさい。」
ソフィア様はおろおろしている。俺としては、別にパルメに信じてもらえなくてもいいのだが仕方がない・・・。要求を聞いておいた方が、後々面倒が無さそうだ。
「その勝負、受けて立ちますよ。」
「ハン!大方、龍の背に隠れて戦うのであろう。私はそれでもかまわないがな。」
「いやいや、クレエブル抜きで、1対1で戦うさ。」
「ふん!いい度胸ね。 その度胸に免じて殺すのだけは勘弁してあげるわ。 使徒とやらの力を私に見せなさい。」
「カズヤ殿、本当にいいのですか? 娘には後できつく言い聞かせますので、無理に戦わずとも結構ですよ。」
ソフィア様が、申し訳なさそうに俺に言う。
「カズヤ殿! 本当によいのか? パルメは強いぞ。 まあ、戦ってくれるのならばありがたい。実は、我もそなたの力には興味があったのだ。」
シンノウが豪快に笑いながら言う。ちょっと嬉しそうだ。
「まあ、大丈夫でしょう。 殺しはしないって言ってるし・・・。」
書いているときには「よしよし」などと思うのですが、
書き終わってから、しばらくたって見返すと、げげげ、なんじゃこりゃ。
と、思います。




