第11話 炎の演舞
俺がみんなの方を見て、
思わず言葉を失った。
蒼竜と白竜が、
もう…そこにいた。
《なんでアイツらもう来てるの?!》
「なんでって…、
あいつらが勝手に呼んだんだろ……」
俺と暁闇は状況を把握しようとしていると、
白竜と視線が合った。
次の瞬間だった。
「えっ!?、えっ?!、ちょちょちょっ…」
《ぎょーーあーーーーーん》
ドォォォン!!
白い影が弾丸みたいに突っ込んできて、
暁闇に思い切り抱きついた。
いや、完全にタックルだ。
《ちょ、ちょっと落ち着け瑞光!》
《ぎょうぅあぁぁん、いぎぃでぇだぁ》
俺とナツと春嵐は反射的に耳を手で塞いだ。
《うわぁぁぁ、耳がぁぁあ!!》
《ぎょゔぅぅあぁぁぁん》
《ぎぃやぁぁぁああ!!》
完全に地獄絵図。
《水禍助けてぇ!!》
そこへ、蒼い影が降りてきた。
《瑞光、嬉しいのは分かったから落ち着いて?、
みんながあなたの声で死んじゃうわよ?》
《うっ……うっ……水禍ぁぁあ》
瑞光は水禍の胸に顔を埋め、
声を押し殺して泣き出した。
《はぁ、よしよし》
水禍は慣れた手つきで、頭を撫でる。
《た、助かった…》
《あんたも悪いのよ、
突然居なくなるから》
《水禍、マジでありがとう……》
瑞光が完全に落ち着くまで、
それから数十分掛かった。
落ち着いたのを確認してから、
俺はマサキとジュンを睨んだ。
「おいお前ら、これはどういう事だ」
ジュンが悪びれずに言う。
「どういう事って、
暁闇がオレらの相棒は力貸してくれるって、
言ってたからさ」
マサキが続く。
「話せば分かるならって事で、
みんなに着いて来てもらって交渉したって感じ?」
俺は3人を睨みつける。
「そう睨むなってぇ」
「1人で行かす訳にもいかんやろ?」
「いや、止めろや!!」
俺が呆れて頭を抱えてると、
ミツルが口を開いた。
「まあユウも暁闇も、
口下手だからお前らに任せるより話早いだろ?」
グサッ……
俺と暁闇の胸に刃が突き刺さった。
「……で、残りは俺とサイとアキラだな」
「わいも早う相棒に会いたいなぁ、
みんなが羨ましいで」
《こっちは竜種が4体だし、
最悪一体ならどうにでもなるわ、ねっ瑞光》
水禍はそう言って、瑞光の肩を軽く小突いた。
《う、うん……、先程は私のせいで、ご迷惑を…》
瑞光は深くに頭を下げる。
俺は暁闇に手を置き言った。
「瑞光、君は悪くない、悪いのは……」
全員の視線が暁闇に集中する。
《なんでだよ!?》
暁闇は納得いかなさそうだった。
俺は少し考え、念話で暁闇に問いかけた。
(暁闇、残りの3体にどう割り振ればいい)」
《……そうだな…、
サイには俺達がついた方がいい》
《それと、
アキラには春嵐が付けば問題ないだろう》
(……わかった)
「ナツ、お前はアキラについていけ、
ミツルは、マサキとジュンが、
サイには俺がつく」
空気が、一瞬凍った。
「待てユウ!、
ここからは1体づつやってかないと!!」
「そうだ、危険は避けるべきだ!!」
「……」
冷静になって考えたアキラがナツに近づく。
「ナツ、良いから行くで」
「おい!」
アキラはナツを引っ張って石像に向かう。
ミツルも何か感じたのだろう、後に続いた。
「ほら、俺達も行くぞ」
火竜の石像前(ナツ視点)
「待てアキラ、まだ話は終わってな…」
「わいらを命がけで助けに来たあいつが判断したんやで、信じるしかあらへんやろ」
「……そうか…、そうだな…」
《2人ともユウの事、信頼してるだね》
「当然だろ。
俺等が信頼してるようにユウも…、
だから、あいつは任せたんだ」
スゥー、
ハァー、
アキラは大きく深呼吸をした。
「よっしゃ!!」
勢い良く石像に触れる。
ゴゴゴゴゴゴ、ピシッピシッ
石像に走る亀裂、
その隙間から灼熱の炎が溢れ出した。
ガラガラガラ、ボォォォオオオ
《……っ……ここは…》
《燐火さん、春嵐です、
分かりますか?》
《………しゅ、春嵐?!、
わ、私なんでレギオンに?》
燐火は状況を理解する前に、
春嵐を見て頬を赤らめた。
《えーと、まず説明させてください》
春嵐が燐火に状況説明中………。
《……なるほど、話は何と無く理解した》
燐火はアキラを見た。
《で、アンタが?》
「わいはアキラ、よろしゅー」
《独特な喋り方ね、私は燐火よ》
《燐火さん、どうしますか?》
《それについては、
アキラの力を見てから決めるわ、
私に見合う力を私に見せてみな!》
「ええで、そっちの方がわいに合っとる、
……勝負せえ燐火ぁぁ!」
《いいねぇ…、
私に一撃当てられたら、認めてあげる》
「舐められたもんやで…」
アキラは弓を構え、燐火の頭目掛けて矢を射る。
しかし燐火は難なく矢を躱した。
《上手いね、でも……甘い》
矢と炎が交差する。
二人は、舞っていた。
戦いを見ていた俺達は、
アキラと燐火が織りなす戦いが、
美し過ぎて魅入っていた。
その時。
バリバリバリ、ドッカーーン!
遠くで雷鳴と爆発。
燐火が一瞬だけ表情を変える。
その一瞬の隙。
アキラは3本の矢を同時に射り、
燐火の頭、心臓、右肩を狙う。
《くっ…!?》
燐火は紙一重で躱す、
しかし燐火が躱して来る事を誘導した、
アキラは既に4本の矢を撃ち出していた。
《くっ、私の動きが読まれてる、仕方ないっ!》
攻撃を避けれないと察した燐火は、
飛んで来る矢を横から炎で薙ぎ払う。
チクッ
薙ぎ払った後、
すぐに次の攻撃に備えようとした燐火だが、
そこにアキラの姿は無く。
足にチクッという痛みが走り、
燐火が足元を見るとアキラが矢を足に突き立ていた。
「ふぅ、わいの勝ちやな燐火」
俺は思った。
これは勝負じゃない。
相棒を選ぶための、対話だったんだ…。
《身体強化……、すごいセンスね、
アンタ近接のほうが向いてるんじゃない?》
「これはわいの魂や、曲げる気はあらへんな」
《退屈だったから、
久しぶりに生きてるって感じがしたよ》
「わいもや、これからよろしゅう、燐火」
《こちらこそよろしくね、アキラ》
「このコンビ最強かもしれない……」
俺は、ようやく腑に落ちた。
ユウが俺達を分けた理由が。
その頃、ミツル一行は。




