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調律された空の下で

初めての投稿です。

誤字脱字が多くなると思いますが、よろしくお願いいたします。

途中で、脱線することもあると思いますが、ゆっくりと見守ってください。

作品の内容が前後することが多々あると思いますが、大目に見て頂ければ、うれしく存じます。

長い時間皆様にお付き合いいただきありがとうございます♪

とりあえずこの物語は終わります。本当にありがとうございました

では、参ります!!

【ワールド3:エピローグ・拡張アセット】

『バージョン1.1の朝、調律された空の下で』

1. 240fpsの青空、あるいは「手抜き」の消えた街

キィィィィィン――。

世界のシステムが「完全初期化(グランド・フォーマット)」の危機を脱し、イサナギの【概念錬金術:Lv.6】によってハッピーエンド・コンパイルされてから、最初の朝が訪れた。


かつてワールド3を覆っていた、あの不気味で冷酷な純白の空間や、灰色のワイヤーフレームの開発画面は、どこにもない。


「……うわぁ……」


赤茶けた鉄屑の墓場【スクラップ・バレー】の片隅。大破した黄金の重機【アイアン・バスター】の座席で目を覚ましたチェルシーは、コックピットのひび割れたガラス越しに空を見上げ、その場にぽかんと口を開けた。


空が、動いている。


これまでの世界(バージョン1.0)の空は、神々の手抜き仕様によって、雲のグラフィックデータが「15コマのパラパラ漫画」のようにカクカクと不連続にスライドするだけの手抜きアセットだった。

だが、今の空は違った。

イサナギが放った【超加速:Lv.6(240fps)】の残光が世界の仕様(ベース描画)に永久パッチとして組み込まれた結果、朝焼けの雲は、まるで生き物のように滑らかに、1ミリの引っかかりもなく、あまりにも美しく流れていた。空気中に舞う鉄屑の塵すらも、光を浴びて信じられないほどの超高解像度でキラキラと煌めいている。


「直ってる……。手抜きじゃない……。あたしたちの新しい、世界の形……!」

チェルシーは油汚れのついた顔をクシャクシャにして、誰もいないコックピットで小さくガッツポーズを決めた。


中央都市【シリコン・スクエア】の街並みもまた、劇的な変貌を遂げていた。

かつては「遠くの建物は描画コストをケチるために省略(ローポリゴン化)される」という仕様だった街が、どこを見渡しても、建物の煉瓦の一個一個、看板の文字の1ビットにいたるまで、くっきりと鮮明にレンダリングされている。


「お、おい! 見ろよ、あの遠くの時計塔の針が……ちゃんと動いて見えるぞ!」

「本当だ! いつもは1分ごとに『カクッ』とワープしてたのに、滑らかに回ってる!」


朝一番の市場に集まった人々は、口々に叫び、自分たちの「手」を目の前で激しく振って見つめていた。

手を振っても、残像のバグノイズが出ない。自分の指が、240fpsの滑らかさで、まるで絹のように美しく空気を割いて動く。その「当たり前の奇跡」に、街のいたるところで歓声が上がっていた。


「これが……イサナギたちの成し遂げた、調律の成果か」

中央広場の噴水の縁に腰掛け、ひび割れのない新しい眼鏡を押し上げたのは、学者ルミエルだ。

彼の膝の上にある魔導書には、かつて世界を圧迫していた「メモリ使用率:98%」の警告ログはもうない。表示されているのは、【空き容量:無限(永久運営モード)】という、神々の論理を超越したハッピーエンドの文字列だった。


2. 君に味方してくれた神様(プロメテウスの行方)

「それで? 僕たちに味方してくれた『あのハッカーの神様』は、今どこで何をしているんだい?」


ルミエルが隣の空間に向けてポツリと呟いた。

すると、何もなかった空間に、バリバリと鮮やかなエメラルドグリーンのノイズが走り、ホログラムのように一人の男がレンダリングされた。

サイバーパンクな衣装を気怠げに着崩し、デジタル煙草の煙をふかす男――プロメテウスだ。


「やあ、ルミエル。相変わらずお堅い顔をしてるね。神様(僕)の行方がそんなに気になるのかい?」

プロメテウスは不敵に笑い、空中に浮かぶ半透明のコンソールを、240fpsの速度で軽快にタイピングした。


そう、イサナギたちに味方し、天幻卿ヴァルガの結界に「神の火(バックドア)」を仕掛けてくれた神プロメテウスは、世界の初期化が回避された後も、消滅することなくこの世界に「残留」していた。


「ヴァルガたち最高位アーキテクチャは、世界をゴミ箱に捨てて自分たちだけバージョン2.0へ移行するつもりだった。だけど、イサナギがシステムそのものを『永久運営』に書き換えたせいで、僕たち神々の権限(サーバー)も、このワールド1.1に完全に統合(マージ)されちゃったのさ」


プロメテウスは楽しげに肩をすくめる。


「つまり、今の僕は『天上界の神』じゃない。この世界の仕様(ソースコード)がバグらないように見守る、しがない『常駐型(常駐アプリケーション)の守護神』ってわけ。ヴァルガという最悪の仕様書(ボス)がいなくなったコンソールは、最高に居心地が良いよ」


「フッ、常駐プログラムか。君らしいな。だが、おかげでこの世界のバックドア(脆弱性)はすべて塞がれたというわけだ」

ルミエルが静かに微笑む。


「そういうこと。これからは、神様の手抜きを言い訳に、誰かの命が『メモリ解放(消去)』されることもない。人々の感情も、記憶も、すべてが永久に保存される。……いやあ、イサナギの『天の属性』には恐れ入ったよ。まさか神のシステムを丸ごと等価交換で買い取るなんてね」


プロメテウスは空を見上げ、満足そうに目を細めた。

彼がもたらした「神の火」は、今やこの世界のすべての人々の心に、消えない「自由の灯火」として灯っていた。


3. 本当のハッピーエンドを、みんなで(それぞれの朝)

街の喧騒から少し離れた、静かな森の邸宅。

長い潜伏期間と最終決戦を終えた仲間たちもまた、それぞれの「新しい日常(タイムライン)」をビルドし始めていた。


邸宅のテラスでは、漆黒のタキシードを美しく着こなしたドラキュラさんが、一杯の真紅のトマトジュースを優雅に傾けていた。


「素晴らしい朝だ。世界のフレームレートが上がったおかげで、私の【真祖の不死魔法】の再生エフェクトも、ずいぶんと滑らかで美しくなった。神々の消去に怯えず、こうして朝の光(※イサナギが錬金術で紫外線をデバッグ済み)を浴びられるとは、長生きはするものだね」


「ドラキュラさーん! 起きるの早すぎだよー! ボクの風、捕まえてみて!」

庭を猛烈な速度で駆け抜けているのは、シルフィアだ。

彼女の【神速の風魔法】は、240fpsの世界仕様と合わさることで、残像が1ミリもブレない「超・高解像度の瞬間移動」へと進化していた。ある一瞬のコマではドラキュラさんの右側に、次の240分の1秒のコマでは左側に、まるで同時に何人も存在しているかのようにカクカク……いや、滑らかに出現しては笑っている。


「これこれ、シルフィア。朝からあまりスピードを出すと、せっかくアカリ君が焼いてくれたオープンパイが風で吹き飛んでしまうよ」


「お待たせしました……! 2年間の特訓の成果、食べてください……!」

邸宅のキッチンから、大きな丸いお皿を抱えてトテトテと現れたのは、アカリだ。

彼女が作ったのは、林檎の果肉が二層(ダブルレイヤー)に美しく重ねられ、縁(エッジ)には職人技のような細工が施された、黄金色に輝く【特製アップルパイ】。

決戦前は弱気だったアカリだが、その表情には、世界を照らしきった【終焉の閃光魔法】の使い手としての、優しくも揺るぎない自信が灯っていた。


「わあぁぁ! 美味しそう! アカリ、これ、あたしの重機のボイラーでちょっと温め直そうか!?」

チェルシーが目を輝かせて突っ込んでくる。


「あ、チェルシーちゃん、重機の熱だとパイのデータが炭(バグ)になっちゃうからダメだよぉ!」

アカリが慌ててパイを庇う。その微笑ましいやり取りを、少し離れた時計塔の特等席から、レイラが静かに見守っていた。


レイラは自身の【時空魔術】で浮遊させた時計の歯車を愛おしそうに撫でる。

「私の『最果ての秒針』も、もう時間を止めるためじゃなく、みんなの楽しい時間を『一秒でも長く引き伸ばす』ために使えるわね。……ふふ、本当に、最高のコンパイル(結末)だわ」


バラバラに散り、絶望のタイムラインを彷徨っていた9人の絆が、今、240fpsの美しさで完全に一つに編み上げられていた。

神様の手抜きを乗り越えた、これ以上ない、本物のハッピーエンドがここにあった。


だが――。

この世界を救った「最高の主人公」の姿が、まだここにはない。


「……マスター。そろそろ『ペナルティの時間(240秒)』は終了したはずですが、まだ起動(起床)プロトコルが確認できません」


邸宅の最奥の部屋。

ドアを開けて、冷徹な、けれどどこか嬉しそうな声を響かせたのは、白い衣装に戻ったサポートAI・ノワールだった。


4. 240秒のその果てに(大笑いの余韻と、これからのログ)

「……う、ううう……。お腹の、コアが……まだ……筋肉痛(エラー)を起こしてる……」


ベッドの上で、20歳になった調律師イサナギは、お腹を押さえながらゾンビのようにシーツにくるまっていた。


そう、前回の決戦のラスト、神々の初期化を阻止した直後に発動した【大笑いのペナルティ(240秒間)】。

通常の4倍のハイフレーム(240fps)で「ウヒャヒャヒャヒャ!!!」と腹を抱えて笑い転げ続けた反動は凄まじく、イサナギの肉体データは、世界を救った大英雄とは思えないほどの「深刻な笑い疲れ」に見舞われていたのだ。


「マスター。昨夜、あなたが240fpsの超高解像度で床をのたうち回り、腹筋の仕様変更を訴えながら涙を流して笑っていた動画ログは、すでに私のローカルストレージに『永久保存(読込専用)』としてロックしてあります。みんなに共有(デプロイ)しますか?」


ノワールが淡々と、視界のシステムコンソールに録画データを表示させる。


「ノワール……! 頼むからそれだけはデバッグ(消去)してくれよぉ……! あはは、いや、笑いすぎて本当にお腹がバグりそうなんだって……」

イサナギはベッドから這い出し、苦笑いしながら背中にあるゴルドンおじさんの【マスター・ハンマー】に触れた。


重槌は、静かに、優しく、おじさんの命の拍動(3-6-9の周波数)をイサナギの手のひらに伝えてくる。

その感覚に、イサナギの瞳からコミカルな色が消え、調律師としての、強くて優しい光が戻った。


「おじさん。世界は、手抜きじゃなくなったよ。みんな、笑ってる。誰も消されない、最高のバージョンになったよ」


イサナギはハンマーを背負い、漆黒の鉄剣を腰に帯びると、窓を大きく開け放った。


窓の外には、滑らかに回る風車、元気に走り回る子供たち、油汚れを拭いながら笑う職人たち、そして、どこまでも青く、15コマの境界を超えて無限に広がる、バージョン1.1の美しい空が広がっていた。


「マスター、みんながアカリの焼いたパイを持って、待っています。これより、ワールド1.1の『最初の冒険(日常ログ)』を開始しますか?」

ノワールが、静かに右手を差し出す。


イサナギはその手をガッチリと握り返し、白い歯を見せて、最高に格好よく、不敵に笑った。


「もちろんだよ、ノワール! ボクたちの開発(ものがたり)は、これからが本当の『本番(永久運営)』なんだからね。――さあ、みんなのところへ行こう!!」


調律師イサナギと、その大切な9人の仲間たち。

彼らが手に入れた、バグのない、絶対に終わらないハッピーエンドのタイムラインは、240fpsの輝きと共に、どこまでも、どこまでも滑らかに、未来へと紡がれていくのだった――。


【ワールド3・エピローグ:『バージョン1.1の朝』・完全コンパイル(終了)】

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これからもお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

この作品を読んでくださる方がいていただけて、とても、うれしくありがとうございます。頑張って新しいアイデアを入れ込んでいきますので、よろしくお願いします。

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パラレルワールドで魔法と多種族の住む下町ローマで起こる事件を魔法とスキルで解決していく物語です。時代背景は読者の描く時代に当てはめてくださいね。

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