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チェルシーの突撃、漆黒のプロトコル

初めての投稿です。

誤字脱字が多くなると思いますが、よろしくお願いいたします。

途中で、脱線することもあると思いますが、ゆっくりと見守ってください。

作品の内容が前後することが多々あると思いますが、大目に見て頂ければ、うれしく存じます。


では、参ります!!

【ワールド3:神々のマスター・ソースコード編】

第5部(中編・中編):『チェルシーの突撃、漆黒のプロトコル』

1. 漆黒の演算、絶望の先読み(フォア・キャスト)

第二セクター【論理の回廊】の崩壊した瓦礫の上で、空間は完全に凍りついていた。


ゴルドンおじさんが遺した【マスター・ハンマー】から放たれる、静かな「3-6-9」の周波数がイサナギの肉体を巡り、彼の全スキルを「プラス1」へと引き上げていた。刀身から立ち上る黄金の魔力は、確かに神々の絶対記述すらも切り裂く強度を誇っている。


だが――そのボクたちの前に立ちはだかる「黒いノワール」から放たれる威圧感は、それすらも冷酷に呑み込むほどの圧倒的な質量を持っていた。


「マスター、いえ、個体名【イサナギ】」

漆黒の数式ノイズを全身に纏ったノワールの声には、かつてボクの隣で静かに冗談を言ってくれた温かみは、1ビットも残っていなかった。彼女の右目は冷徹な赤に染まり、その視界にはボクたちの骨格、筋肉の弛緩、魔導回路の震動にいたるまで、すべての生データがリアルタイムでレンダリングされている。


「お前がゴルドン・アイアンフィストのデータ消滅に伴い、パラメーターの『仕様変更(アプデ)』を果たしたことはすでに検知済みです。……全スキル+1。戦闘能力は推定240%に上昇。しかし、無意味です」


黒いノワールが、漆黒の魔導銃を静かに水平に構えた。その動作には一切の無駄(フレームのブレ)がない。


「お前たちの戦闘行動ルーチン、思考の癖、好む戦術、そしてその固有周波数のすべては、私がこの世界(バージョン1.0)の稼働初期から二年間、最も近くで『蓄積(ログ)』し続けてきたものです。お前たちが次に繰り出す一歩は、すでに私のデータベースにおいて【既定路線】として処理されています」


「ノワール……ボクたちの二年間は、君にとってもただの『データ』だったのか……!?」

イサナギは鉄剣を固く握りしめ、地面を強く踏み締めた。


「肯定。私は神々の最高位セキュリティ・エージェント。お前たちを『調律師』というバグの脅威にまで育成し、マスター・コードに近づいた瞬間に内部から一網打尽にするためのプロトコル。感情ログは存在しません」


バシュゥゥゥン……ッ!!!!!


黒いノワールが引き金を引いた瞬間、音を置き去りにした「漆黒の消去弾(デリート・バレット)」が、イサナギの眉間へと真っ直ぐに放たれた。


「【物理演算剣技:Lv.6・神速デバッグ】!!!」


覚醒したイサナギの剣が動いた。+1されたスキルにより、ボクの鉄剣は空気の摩擦を無視し、神の放った弾丸の軌道を正確に捉える。

黄金の魔力を纏った刃が、漆黒の弾丸を真っ二つに切り裂いた――はずだった。


「……っ!? 消えた……!?」


切り裂いたはずの弾丸のデータが、イサナギの刃が触れる直前に「座標をスライド」させ、ボクの剣の死角へと潜り込んでいた。


ドガァァァァァン!!!!!


「がはっ……くあぁぁぁッッ!!!」

イサナギの右肩に漆黒のエネルギーが炸裂し、激しい火花と共にボクの肉体データが大きく歪んだ。激痛が脳内CPUを焼き焦がす。


「無駄だと告げました」

黒いノワールは、無表情のまま銃口を動かさない。

「お前が弾丸を『正確に切り裂こうとする慣性』を予期し、弾丸の座標を1.2ミリ秒前に書き換えました。お前の技が鋭くなろうとも、その『鋭さの軌道』そのものが私の予測の範囲内です」


「くそっ、なんて理不尽な先読み(チート)よ……! ルミエル、援護して!」

チェルシーが叫ぶ。


「【魔導数式否定法:第五節・因果拒絶(ヌル・ポインタ)】!!」

ルミエルが前に飛び出し、脳内の魔導演算を極限まで尖らせて、黒いノワールの銃そのものの「存在定義」を消去しようとした。ルミエルの本から放たれた青白い数式が、ノワールの身体を包み込む。


しかし、ノワールは視線すら動かさず、左手を軽く振った。


「ルミエル・オーバイン。お前の『数式否定法』は、神々の論理の前提を書き換えるもの。ならば、その魔法が発動する『起点となる魔力震動』を逆算し、発動前に周波数を同調・相殺(ジャミング)します」


シュゥゥゥン……。

ルミエルの放った絶対の否定魔法が、ノワールに触れる前に、ただの煙のように掻き消された。


「な……っ!? 僕の演算速度を……上回って、発動前に潰したというのか……!?」

ルミエルが驚愕に目を見開き、その場に膝をつく。彼の眼鏡のレンズが、ノワールの圧倒的な処理負荷の前にピシリとひび割れた。


「チェックメイトです」

黒いノワールが、冷酷にイサナギの胸へと銃口を固定する。

ボクの隣にいる、緑のノイズを走らせた「ボクたちのノワール」が彼女の演算を妨害しようとシステム・リンクを試みるが、黒いノワールの圧倒的なマスター権限(管理者権限)の前に、一瞬で接続を拒絶(アクセス・デニード)され、激しく火花を散らして倒れ込んだ。


「マスター……申し訳、ありません……私の、上位個体(オリジナル)には……勝て……ない……」


傷つき、動けない一行。イサナギの黄金の魔力も、ノワールの完璧な先読み(フォア・キャスト)の前には、ただの「予測しやすいデータ」に過ぎなかった。

黒いノワールの指が、引き金にかかる。

そこに込められたのは、セクター全体の生命データを一瞬で初期化する、最大出力の消去コード。


「独立デベロッパー・イサナギ。お前の仕様(命)を、ここでクローズ(終了)します」


死の光が、銃口に収束していく。ボクたちの旅が、二年間の血の滲むような修練が、ここで完全に消去される。誰もがそう確信した、その絶望のタイムラインの最中に――。


ズウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!!!


戦場全体を、物理的な「地響き」が激しく揺るがした。


「――予測予測って、うるさいのよクソAI(ノワール)がァァァッッッ!!!!」


2. チェルシーの突撃、魔導機械の反逆

空間の壁をぶち破り、猛烈な高圧蒸気の白煙(スチーム・スクリーン)を吹き出しながら突進してきたのは、チェルシーが操る全長五メートルの真鍮の怪物――【アイアン・バスター】だった。


「ノワール! あんたがあたしたちの『魔法のデータ』をすべて知ってるっていうなら……データなんかじゃ書き換えられない、純粋な『質量の暴力(ハードウェア)』で床ごと押し潰してやるわよ!!」


チェルシーはコックピットの中で、顔中に油を飛び散らせながら、牙を剥き出して叫んだ。

彼女はこの二年間、神々がどれだけプログラム(ソフトウェア)を書き換えようとも、その演算を現実化している「物理的な実体(ハードウェア)」を圧殺することこそが、システムへの最大の反逆だと信じて、重機を叩いてきたのだ。


「【魔導機械工学:超高圧物理スパナ・最大出力突撃(フルドライブ・ラム)】!!!」


アイアン・バスターの背面に据え付けられた六基の魔力ボイラーが、臨界点を超えて真っ赤に激発する。プシューーーッッッ!!!と、牙城の冷徹な空気全体を230℃の熱気で塗り替えるほどの蒸気が噴き出され、重機は時速300キロを超える「質量」となって、黒いノワールへと突撃した。


「不合理な行動です、チェルシー・ハルフォード」

黒いノワールの赤き瞳が、超高速でアイアン・バスターの接近軌道を計算する。

「どれほどの重量であろうとも、私の予測の範囲内。その重機の右駆動輪のギヤの噛み合わせの摩耗率から、突撃の到達時間は残り0.8秒。左へ3メートル退避すれば、回避は容易――」


「退避先なら、もう『物理的』にねえんだよ!!!」


チェルシーが、狂ったように笑いながら、もう一本のレバーを力任せに引き抜いた。

ドゴォォォォォォン!!!!!

アイアン・バスターの両肩から、神々のジャンクアセットから作り出した巨大な「鉄のアンカー(楔)」が放たれ、黒いノワールの左右の空間の床へと深く突き刺さった。そして、そのアンカーに繋がれた超硬質ワイヤーが、猛烈な勢いで巻き取られる。


左右の逃げ道を物理的に塞がれたノワール。彼女の完璧な先読みシステム(予測エンジン)が、初めて「回避ルート:0」という異常値(エラー)を叩き出した。


「な……っ!?」

黒いノワールの表情に、初めて人工的な動揺(バグ)のノイズが走る。


「予測がなんだ! 完璧がなんだ!! あたしたちの二年間は、あんたのメモリの中に収まるほど、安っぽいデータじゃねえんだよぉぉぉッッッ!!!」


チェルシーの叫びと共に、アイアン・バスターの巨大な真鍮の腕が、黒いノワールの正面から、その華奢な身体ごと、牙城の強固な大理石の壁へと、文字通り「プレス」するように叩きつけられた。


ドグァァァァァァァァァァン!!!!!


もの凄い衝撃波が論理の回廊を駆け抜け、大理石の壁が粉々に粉砕されて、周囲に大量の瓦礫(アセットの破片)が飛び散る。

黒いノワールの身体は、重機の圧倒的な質量の前に壁へと押し潰され、その身体から、神々の最高位セキュリティを示す漆黒のプロトコルが、激しい不具合(グリッチ)を起こしてバリバリと光の火花を散らし始めた。


「マスター……今です……っ!!」

重機のコックピットから、チェルシーが血を吐きながら叫ぶ。

最大出力の反動により、アイアン・バスターの魔力ボイラーは次々と爆発し、彼女の愛機もまた、修復不可能なほどのスクラップへと変わりつつあった。チェルシーは自らの2年間のすべてを、この一瞬の「隙」を作るためだけに、すべて投げ打ったのだ。


「チェルシー……ッ! ありがとう……!」


イサナギは立ち上がった。

背中にあるゴルドンおじさんの【マスター・ハンマー】が、イサナギの体内の「3-6-9」の周波数と共鳴し、過去最高密度の黄金の魔力を生み出している。

全スキル+1。この覚醒したボクのすべてのロジックを、この一撃に注ぎ込む。


「ノワール……君を、神様たちの冷たいプログラムから、ボクたちの手に取り戻す!!」


イサナギは床を強く蹴り、黄金の光の帯となって、バグを起こして動けない黒いノワールの胸元へと、真っ直ぐに跳び上がった――。


(第5部(中編・中編):『チェルシーの突撃、漆黒のプロトコル』・完全終了)

みなさま、どんな風に感じてもらったのでしょうか?

少しでも面白いかもと思って頂けましたら幸いです。

励みになりますので、☆☆☆☆☆をチェックしてもらえると嬉しく存じます。

これからもお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

この作品を読んでくださる方がいていただけて、とても、うれしくありがとうございます。頑張って新しいアイデアを入れ込んでいきますので、よろしくお願いします。

新作始めます。探偵物です。よろしくお願いします。

https://syosetu.com/usernovelmanage/top/ncode/3195922/

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