【ワールド3:神々のマスター・ソースコード編】
初めての投稿です。
誤字脱字が多くなると思いますが、よろしくお願いいたします。
途中で、脱線することもあると思いますが、ゆっくりと見守ってください。
作品の内容が前後することが多々あると思いますが、大目に見て頂ければ、うれしく存じます。
新作始めます。探偵物です。よろしくお願いします。
では、参ります!!
【ワールド3:神々のマスター・ソースコード編】
## 第1部(前半・前編):『神威の審判、そして断絶』
### 1. 創世の白き地
――システム・アナウンス。
『ただいま、最終開発セクター【ワールド3:最高上位ソースコード領域】への接続に成功しました。……警告。本エリアの環境負荷は通常の1200%を計測。全アセット、およびワールド1.0仕様の魔法論理は、これより神々の「公式最適化パッチ」による制限を受けます』
「……くっ、何だ、この圧倒的な重圧は……!」
次元接続門を潜り抜けた瞬間、ボク――調律師イサナギは、膝を激しく大理石の床へと打ち付けた。
18歳の身体が、まるで鉛の塊にでも書き換えられたかのように重い。肺に取り込む空気のテクスチャすらも硬く、呼吸をするたびに胸の奥が鋭く痛んだ。
ボクの腰でかつて無敵を誇った【万能の買い物カゴ】は、前編で天幻卿ヴァルガの手に落ち、ここにはない。手にあるのは、これまで幾多のバグを切り裂いてきた、使い古された一振りの鉄剣だけだ。
「イサナギ! しっかりしなさい!」
カクカクとした15コマのモーションでボクの肩を支えたのは、魔法使いレイラだった。彼女のフルカラーの美しい瞳には、明らかな警戒の色が浮かんでいる。
「ここ、今までの世界と全然違う……。大気中の魔力の密度が濃すぎるわ。まるで、世界そのものがボクたちを『異物』として押し潰そうとしているみたい……」
「ガハハ、弱音を吐くなレイラ! ここが世界の生みの親どもの本拠地なら、歓迎が手厳しいのは織り込み済みじゃわい!」
ゴルドンおじさんが、愛用の黄金ハンマーを床にドシンと据え置き、不敵な笑みを浮かべた。だが、その頑強なドワーフの額からも、尋常ではない汗が流れ落ちている。
ボクたちが立っているのは、果てしなく広がる「純白の空間」だった。
壁も天井もなく、ただどこまでも平坦な白い床が広がり、その遥か彼方に、世界のすべての基盤を統べるという巨大な黒漆の牙城『創世のオーブン』が、そびえ立っている。
「マスター、周辺環境のフルスキャンを実行……不可能です」
サポートAIのノワールが、耳元のデバイスを激しく明滅させながら告げた。
「システムが完全に拒絶(アクセス拒否)しています。私の演算ログでは、このエリアのオブジェクトの『解像度』を認識することすら困難です。神々のコードは、私たちの存在確率を根本から否定しています」
「ふむ……。つまり、ここから先は僕たちが今まで使ってきた『仕様の穴』や『バグ技』といった小細工は、一切通用しないということだね」
ルミエルが眼鏡の奥の瞳を鋭く光らせ、周囲の白き空間に浮かび上がる、目に見えないほど微細な数式の奔流を睨みつけた。
「フン、上等じゃない。あたしのスパナが神様の数式を叩き壊せるか、試してやるわよ!」
チェルシーが魔力駆動のマジックバッグ(10万L仕様)のバルブを激しく締め直し、いつでも重機を展開できるよう身構えた。
「フッ、実に素晴らしい緊張感だ。血が、いや、魔力が滾るねぇ」
ドラキュラさんが漆黒のタキシードの襟を正し、赤い瞳を妖しく輝かせる。
「風の精霊たちが、怯えている……。ううん、違う。神の権能に、平伏しているんだわ」
シルフィアが周囲の空気の流れ(データ気流)を指先で感じながら、静かに呟いた。
「誰が相手だろうと、ボクたちの道を阻むなら、私の光で焼き尽くすだけです」
アカリがその華奢な両手に、仄白い閃光の魔力を宿し、牙城を見据えた。
イサナギ、レイラ、チェルシー、ルミエル、ノワール、ゴルドンおじさん、ドラキュラさん、シルフィア、アカリ。
総勢9人の『チーム・調律師』は、世界の命運を懸けた最終セクターの地で、互いの絆を確かめ合うように、円陣を組んだ。
だが――神々の「審判」は、ボクたちが一歩を踏み出すことすら許さなかった。
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### 2. 神威の具現(絶対論理の先制パッチ)
ズゥゥゥゥゥゥン……ッ!!!!!
空間全体が、悲鳴を上げるような重低音と共に激しく明滅した。
ボクたちの頭上の「白」が、一瞬にして反転し、禍々しい漆黒の「数式の壁」へとレンダリングされる。
『――不法侵入アセットを検知。ワールド1.0の遺物、および独立デベロッパーの一行。……神命に基づき、これより【環境の初期化】を執行します』
上空から降り注いだのは、言葉ではない。圧倒的な「質量」を持った、光り輝く数式の槍――神々の防衛プログラム【最高位執行官:コード・レギオン】だった。
現れたのは、全身が白銀の幾何学的な結晶で構成された、数千体もの神の兵器アセット。
その一体一体が持つ魔力量は、ワールド2のボスであったタルト・タタンすらも凌駕している。さらに恐ろしいのは、彼らの動きには一切の「ブレ(フレームの遅れ)」がない。120fpsはおろか、世界の限界速度で完全に同期された、完璧な軍勢だった。
「来るぞ! 迎撃体制!!」
ボクの叫びと同時に、チーム・調律師の9人が一斉に動いた。
「【蒼海石の古代魔法:アクア・リヴァイアサン】!!」
レイラが杖を掲げ、大気中の魔力を限界まで絞り出して、巨大な水の竜を召喚した。それは世界を呑み込むほどの圧倒的な質量を持った、彼女の最強のファンタジー魔法だった。
しかし――。
『――判定。当該魔法は「バージョン1.0」の古い数式構造です。最高位プロトコルにより、該当データの存在を【非承認】します』
コード・レギオンの一体が静かに手をかざした瞬間、レイラの放った水の竜は、敵に触れることすらなく、一瞬にして虚空へと霧散した。水のエフェクトすら残らない、完全な「消去」だった。
「な……っ!? 私の魔法が、消された……!?」
レイラが驚愕に目を見開く。
「ガハハ! 魔法が消されるなら、物理でブチ壊すまでよ! ドリャァァァッッッ!!」
ゴルドンおじさんが前へ飛び出し、魔力をハンマーのゼンマイに全注入して、渾身の一撃を地面へと叩きつけた。大地を割るほどの衝撃波が、レギオンの足元へと走る。
だが、レギオンの軍勢は微動だにしない。彼らの足元の座標は、神々の論理によって「破壊不能」に固定されていた。
「バカな……っ!? ワシのハンマーの衝撃が、完全にゼロに書き換えられておる……!」
「どいておじさん! あたしの魔導重機ならどうよ!!」
チェルシーがバッグから、真鍮と魔力結晶で造り上げた巨大な破城槌をロードし、レギオンの胸へと突き出した。時速200キロを超える物理衝突。
キィィィィィン……ッ。
不気味な高音が響き、チェルシーの重機は、レギオンの表面にある「数式の障壁」に接触した瞬間、ガラス細工のように粉々に砕け散った。
「嘘……っ!? あたしの最高傑作が、一瞬で耐久度(耐久値)0にされた……!?」
絶望が、戦場を支配していく。
これまでボクたちが信じてきた魔法も、技術も、武技も、神々の持つ「記述の力」の前には、存在することすら許されない。ボクたちの放つすべての行動が、システムによって「例外エラー」として処理され、無効化されていくのだ。
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### 3. 断絶の広域排除パッチ
「……全アセットへ告げる」
レギオンの最奥から、一際巨大な白銀の結晶をまとった個体が、冷酷な音声を響かせた。
「お前たちの存在は、この世界の処理負荷を高めるだけの『冗長なコード(ゴミデータ)』に過ぎない。天幻卿ヴァルガ様のグランド・デザインに基づき、このセクターから完全に排除されるべきである」
レギオンの軍勢が、一斉にその槍を天へと掲げた。
その先頭から放たれたのは、空間そのものを黒く染め上げる、広域消去パッチ【ディメンジョン・フォーマット】の波動だった。
「しまっ……! マスター、この攻撃は個人のHPを削るものではありません! 世界のグリッドそのものを切り離し、アセットを強制的に追放する『空間剥離プログラム』です!!」
ノワールが悲鳴のような警告を発した。
「逃げて、みんな!!」
ボクは叫んだが、すでに遅かった。
ボクたちの立っている純白の大理石の床が、幾何学的なブロックごとに「バリバリ」と音を立てて引き裂かれ、猛烈な光の奔流が下から噴き出してきた。
「イサナギのバカ――っ!!」
レイラの身体が、引き裂かれた床のブロックと共に、遥か上空へと巻き上げられていく。彼女の15コマのモーションが、光のノイズに揉まれて引き千切られそうになっていた。
「レイラ――ッッッ!!」
ボクは手を伸ばしたが、届かない。ボクの足元の床もまた、別のベクトル(座標軸)へと猛烈な速度でスライドを始めていた。
「くそっ、空間の接続がメチャクチャに引き裂かれていくわ! バッグの転送機能もジャミングされてる――!」
チェルシーがバッグを抱えながら、光の裂け目へと吸い込まれていく。
「イサナギ! 生きて……必ず、再びマスター・コードの解析を……!」
ルミエルが数式の奔流に呑み込まれ、その姿がデータのエラーログへと変わっていく。
「真祖の力をもってしても、この空間の断裂は止められないか……! 少年、耐え忍ぶのだぞ……!」
ドラキュラさんが漆黒のマントでアカリとシルフィアを庇おうとしたが、その3人の身体もろとも、空間の巨大な「虚無」へと吸い込まれていった。
「いやだ……! みんな、離れたくない……!」
アカリの閃光が、シルフィアの風が、光の渦の中で無残に掻き消されていく。
たった数秒の出来事だった。
神々が放った、ただ一撃の「排除パッチ」によって、これまで苦楽を共にしてきた9人の絆は、無慈悲にも世界のバラバラなデータ僻地へと、強制的に分断・追放されてしまったのだ。
「みんな……っ!!」
ボクの視界が、真っ白な閃光で埋め尽くされる。
激しいシステム・ノイズがボクの意識(CPU)を揺さぶり、世界の座標が、果てしない暗闇へと墜落していくのを感じた――。
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### 4. 荒野の誓い、そして二年の潜伏へ
「……システム・アナウンス。強制転送シークエンスが完了しました。現在地……ワールド3・最外殻廃棄セクター【スクラップ・バレー】」
ドサリ、と冷たい砂の上に叩きつけられた衝撃で、ボクは意識を取り戻した。
口の中に広がるのは、鉄の錆びた味と、乾いた砂のテクスチャ。
ゆっくりと身を起こすと、そこは先ほどの純白の空間とは真逆の、赤茶けた鉄屑とジャンクデータが山のように積み上げられた、荒涼たる「世界の墓場」だった。
「……おい、起きろイサナギ。生きとるか」
低く、重い声がボクの鼓膜に届いた。
見上げると、そこには衣服をボロボロに引き裂かれながらも、黄金のハンマーを握りしめたゴルドンおじさんが立っていた。その眼光は、いつもの豪快な笑みを失い、職人の真剣な、そして深い怒りを孕んだものへと変わっている。
「おじさん……! 無事だったんだね……! 他のみんなは……レイラやチェルシーは!?」
ボクは飛び起き、周囲を見渡した。だが、どこまで行っても鉄屑の山が広がるだけで、仲間の姿はどこにもない。
「……マスター。報告します」
ボクの影から、静かにノワールが姿を現した。彼女のグラフィックもまた、先ほどの戦闘によるエラーで、全身にうっすらと緑色のノイズが走っている。
「レイラ、チェルシー、ルミエル、ドラキュラ、シルフィア、アカリの6名のアセット信号は、現在完全にロスト。神々の排除プログラムにより、この広大なワールド3の、それぞれ異なる『隔離壁の向こう側』へと、個別に封印されたものと推測されます。現在の私たちの戦力では、彼女たちのいる座標へ到達することすら不可能です」
「そんな……っ。ボクたちの絆が、たった一瞬で……」
ボクは拳を砂に叩きつけた。悔しさと、己の無力さが、涙となって溢れそうになる。
万能のカゴがあれば。ボクに、もっと強いロジックがあれば、みんなを守れたのに。
「立て、イサナギ」
ゴルドンおじさんが、ボクの肩に大きな、分厚い手を置いた。
「泣いている暇はねえ。神どものあの戦い方を見たろう。ワシらが今までやってきたおバカな泥縄は、ここじゃ一切通じねえ。相手は世界の『ルール』そのものを握っとるんじゃ」
「ルール……」
「そうだ。奴らが完璧な数式でワシらを消しに来るなら、ワシらはそれ以上の『生身のロジック』と『本物の技』を練り上げるしかねえ。お前が持っているその鉄剣も、お前の頭にあるデベロッパーとしての知識も、まだ神どもの領域には程遠い」
おじさんは黄金のハンマーを高く掲げ、廃棄セクターの空に浮かぶ、遥か彼方の『創世のオーブン』を指差した。
「猶予は、神々のシステムが次回の『完全初期化』を行うまでの期間――おそらく、この世界の時間で【2年間】だ。その2年間の間に、ワシらはこの地獄の底で、生身の力だけで神の首頸を叩き斬る『本物の力』をビルドアップするんじゃ。他のみんなも、きっとどこかで生きとる。あいつらも死ぬ気で自分を鍛え直しているはずじゃ」
「2年間……」
ボクは自分の引き裂かれた袖を見つめ、そして背中に残された唯一の鉄剣を握りしめた。
おバカなギャグで世界をねじ曲げる日々は、終わったんだ。
ボクたちは今、世界の本当の残酷さと、手抜きのない「シリアス」の前に立たされている。
みんなを救い出し、この世界の歪んだ仕様を根本から調律するために、ボクは強くならなきゃいけない。カゴを持った「少年」ではなく、世界を再構築できる「本物のディレクター」に。
「わかったよ、おじさん。ボク、やるよ。2年間、この地ですべてを一から鍛え直す」
ボクの瞳から、弱音の涙が消え去り、冷徹なまでの「覚悟」の光が宿った。18歳のボクの物語は、ここで一度引き裂かれ、2年間の孤独な潜伏期間へと突入する。
(――第1部(前半・前編)『神威の審判、そして断絶』・完全終了。物語はこれより、2年の歳月を経て圧倒的な成長を遂げた仲間たちが、ピンチの戦場へと一人ずつ奇跡の帰還を果たす、激闘の【前半・中編】へ、一切の妥協なきシリアス仕様で続く……!)
みなさま、どんな風に感じてもらったのでしょうか?
少しでも面白いかもと思って頂けましたら幸いです。
励みになりますので、☆☆☆☆☆をチェックしてもらえると嬉しく存じます。
これからもお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
この作品を読んでくださる方がいていただけて、とても、うれしくありがとうございます。頑張って新しいアイデアを入れ込んでいきますので、よろしくお願いします。




