四天王と幻素のみぃ~つけた!
初めての投稿です。
誤字脱字が多くなると思いますが、よろしくお願いいたします。
途中で、脱線することもあると思いますが、ゆっくりと見守ってください。
作品の内容が前後することが多々あると思いますが、大目に見て頂ければ、うれしく存じます。
では、参ります!!
プロローグ:境界線の消失
要塞都市「グラン・ガルダ」の最上層。中央都市へと直通する『天の回廊』の巨大な大理石の床に、僕たちの足音が不穏に響いていた。
「……静かすぎるわね、イサナギ。街の喧騒が、まるでレイヤーごとカットされたみたいに、完全に遮断されているわ」
レイラが白い法衣の手元で、キバの村で手に入れた蒼海石のバングルを小さく輝かせる。周囲の【水】の幻素が、極度の緊張でミリミリと凍りついているのが、僕の魔力感知にもはっきりと映り込んでいた。
「あぁ。間違いない。ここは世界の支配者ヴァルガの『直轄タイムライン(隔離空間)』だ。外側の世界からは、僕たちの姿も、これから起こる戦闘の音も、一切レンダリング(視認)されない。……つまり、ここで何が起きようとも、ヴァルガ本人に気づかれることはないけれど、同時に、誰にも助けは呼べないということだ」
僕は腰の鉄剣の柄に手をかけ、精神のタイムシートを15枚のグリッドへと整然と並び立たせた。
現在の僕のステータスは、ゴブリン・ジェネラルとの死闘を経て昇格した【剣スキル2:中割りの極意】、そして一瞬の超加速を可能にする【特殊派生スキル:加速1(フレーム・ダブリング)】。
そして、背後には頼もしい地魔法使いのゴルドンさんと、人間の美女の姿に化けた影の幻獣ノワールさんが、それぞれの武器を構えて控えている。
「フン、ヴァルガ直属の飼い犬が待ち構えておるというわけじゃな。望むところじゃ、ワシのこの新しくアプデした大土鎚で、そのバグった頭の骨ごと粉砕してやるわい!」
ゴルドンが不敵に笑い、市場の掘り出し物の黒岩から抽出した『最高純度の地のコア』を組み込んだ、黄金色に輝く大土鎚をドスンと床に打ち付けた。
『来るわよ、調律師。……上層のレイヤー(天井)から、禍々しい【宙】と【天】の混成マナが、一気にフェードインしてくる!』
ノワールの紫紺の瞳が鋭く光った、まさにその刹那――。
空から、一本の『黒い稲妻』が静寂を切り裂いて大理石の床へと突き刺さった。
少年期編・激突章『四天王の強制切断と、遥かなる新大陸へのフレーム』
第1章:四天王の一角・変異の執行者『ゼノン』
爆煙が晴れた先、そこに立っていたのは、漆黒のフルプレートアーマーに身を包んだ、異様に細長い体躯を持つ男だった。
その兜の隙間からは、血のように赤い、完全に自我を失った「システム・ノイズ」の光がらんらんと輝いている。男の背後には、幾重もの半透明な『黒いタイムシート(魔力回路)』が、まるで死神の光輪のように展開されていた。
「――対象、コード『調律師』一派を検知。これより、天幻卿ヴァルガ様の名において、この世界の不確定要素の『一括消去』を執行する」
男の声は、人間のものとは思えないほど無機質で、エコーがかかった合成音のように空間を震わせた。
「ヴァルガ直属の四天王……変異の執行者、ゼノンか!」
僕は鉄剣を抜き放ち、正眼に構えた。
「ギルドの依頼書にあった『天風の涙』をバグらせたのも、キバの村のゴブリンを異形に変えたのも、全部お前の仕業だな!」
「肯定。すべては世界をヴァルガ様の理想の絵コンテ(タイムライン)通りに統一するための、先行レンダリングに過ぎない。……消え去るがいい」
ゼノンがその漆黒の右手を軽く一振りした瞬間、僕たちの周囲の空間の『アスペクト比(縦横比)』が、無理やりグニャリと引き伸ばされた。
「う、わあぁっ!? 身体が、横に引っ張られるみたいで、うまく力が入らないわ!」
レイラが悲鳴を上げる。
『これは……【宙】の幻素の最上位魔法『空間歪曲』よ! 空間の設定そのものを書き換えられて、僕たちの物理的な当たり判定が滅茶茶苦茶にされているわ!』
ノワールが黒髪をなびかせ、自身の影のマナで空間の崩壊を必死に繋ぎ止めようとする。
「ハハハ! そんな小細工、ワシの純度100%の【地】の重力で、元のフレームに叩き直してやるわい! ――グランド・アンカー!!」
ゴルドンが新アプデ大土鎚を全力で床に叩き込んだ。黄金の波動が地脈を伝わり、引き伸ばされていた空間が、強力な質量によって無理やり元の正しい比率へと固定される。
「バグ修正完了だ! いくぞ、ゼノン!」
僕は一気に地を蹴り、ゼノンの懐へと飛び込んだ。
第2章:15コマの限界突破 vs 漆黒の連撃
「執行――『連鎖消去』」
ゼノンの手元から、数千発の漆黒のマナの針が、画面を埋め尽くすような圧倒的な密度で放たれた。一発でも掠れば、肉体のマナのレイヤーが強制切断される凶悪な一撃。
「起動――【剣スキル2:中割りの極意】!」
僕の世界が15コマに分割される。
迫り来る数千の針。その1コマごとの『隙間(フレームの間)』に、僕は自身の鉄剣の平を滑り込ませた。
キキキキキキキキィィィン!!!!!
肉眼では一振りにしか見えない僕の剣撃。しかし15コマの中では、針の力のベクトルが最も弱まる瞬間を正確に捉え、すべての針を外側へと『リダイレクト(中割り受け流し)』していた。
「信じられん……! 15コマというあまりにもカクついた世界の速度で、我がAランク最上位の連撃をすべて処理しきるとは……!」
ゼノンの兜の奥の赤光が、驚愕に揺れる。
「まだまだ! ゴルドンさん、今だ!」
「おう! 飛んでけぇぇぇい!! ――アース・カタパルト!!」
ゴルドンが僕の足元の床をピンポイントで隆起させ、僕の身体を、大砲の弾のような速度でゼノンの胸元へと向かって射出した。
「しま――」
「特殊派生スキル――【加速1(フレーム・ダブリング)】、起動!!!」
ドクン!!! と心臓が爆発的に脈打つ。
僕の世界の解像度が、一瞬にして「30コマ(倍速高フレーム)」へと跳ね上がった。
スローモーション化する世界の中で、ゼノンが防御のレイヤーを展開しようとするその『5コマ先』の未来の残像が、僕の脳裏に鮮明に重なり合う。
(そこだ……! 防御が完成する前の、わずか『2コマの間』に――すべての力を統合しろ!!)
「はあああああああああっっっ!!!」
空中から放たれた僕の鉄剣の刺突は、30コマの超加速の中で、15本の光の刃となって重なり合い、ゼノンの漆黒の胸当ての『魔力回路のコア』へと完全に直撃した。
ズガァァァァァァァァン!!!!!
「ガ、ハッッッ!!!!!?」
ゼノンの巨体が、僕の多重レイヤー攻撃の圧倒的な衝撃によって、大理石の床を何十メートルも転がり、壁へと激突して大爆発を起こした。
「やった……! 直撃だ!」
レイラが歓声を上げる。
しかし――爆煙の中から立ち上がってきたゼノンは、胸の装甲を粉砕されながらも、その兜の奥の赤光を、狂気的なまでの輝きへと変貌させていた。
「……素晴らしい。まさかヴァルガ様の見据えるタイムラインを、ここまで乱す存在がいようとは。……だが、個体の消去が不可能であるならば、システム全体の『強制転移』を執行するのみ」
ゼノンの背後の黒いタイムシートが、突如として禍々しい紫色の光を放ち、僕たちの足元の床全体を包み込むような、巨大な『転移の魔法陣』へと変貌した。
「――っ!? これ、ただの転移魔法じゃない! 世界の理の外側にある『未開の大陸』へと、空間ごと僕たちを追放するトラップだ!」
ノワールが悲鳴を上げ、僕たちを庇うように巨大な影の翼を広げる。
「しまっ――うわあぁぁぁっ!?」
足元の大理石が、底なしの沼のように完全に消失した。
凄まじい重力と、次元の乱気流が僕たちの肉体を容赦なく引き裂き、視界全体が、テレビの砂嵐のようなモノクロの色彩へと、一瞬でホワイトアウトしていった。
「イサナギぃぃぃーーー!!!」
「レイラァーーー!!!」
互いの名前を呼ぶ声すらも、次元のノイズによって強制切断され、僕たちの意識は、深い、深い、大地の底へと真っ逆さまに落ちていくのだった――。
第3章:目覚めの大地、失われた3つの幻素
――ザザァン……、ザザァン……。
耳に心地よい、だけどどこか重々しい波の音が響いていた。
「う……、頭が、割れそうに痛い……」
僕は砂まみれの顔を上げ、ゆっくりと上体を起こした。
脳の芯が、次元転移の負荷で激しく点滅している。僕はすぐに自身の【収納1(買い物カゴ・30L)】の状態を確認した。
(よかった……。カゴの中身は無事だ。圧縮食糧も、市場でデバッグした純銀のバングルも、5キロの黒岩も、ちゃんと『入れるだけ』のレイヤーに残ってる。……でも、ここは一体……?)
周囲を見渡すと、そこは見たこともない『灰色の砂浜』だった。
空を見上げれば、太陽はあるものの、その光はどこか色彩を欠いており、世界の背景(美術)全体が、まるで色褪せた古いセピア調の写真のように、極端に「彩度」が落ちていた。
「イサナギ……! よかった、無事だったのね……っ!」
隣から、砂だらけのレイラが僕の胸に飛び込んできた。彼女の白い法衣はボロボロになっていたけれど、大きな怪我はないようで、心から安堵した。
「レイラ……! ゴルドンさんとノワールさんは!?」
「ワシならここじゃ……。いやはや、凄まじい強制カット(転移)じゃったな。大鎚の重さ(ウエイト)がなければ、次元の藻屑になるところじゃったわい」
ゴルドンが砂浜に突き刺さった大土鎚を引っこ抜きながら、苦しげに首を振る。
『我も無事よ。……けれど、大変なことになったわ、調律師。この大陸……何かが、致命的に狂っているわ』
ノワールが人間の姿のまま、紫紺の瞳を限界まで見開いて、世界の『大気』をじっと見つめていた。
僕が【魔力感知】を広げた瞬間、体中に走るような、強烈な「違和感」に襲われた。
(……幻素が、足りない……!?)
この世界を構成する7つの幻素――【地】【火】【水】【風】【宙】【光】【天】。
しかし、この大陸の大気から感じられるのは、僕たちが得意とする【地】【火】【水】【風】の4つの原始的なマナの残響だけだった。
世界を高解像度にするための【宙】、生命の調和を司る【光】、そして世界の理そのものである【天】の3つの上位幻素が、完全にこの大地から『消失』しているのだ。
「そんな……。上位の3魔法が使えないなんて、これじゃあ世界の再生が完全に止まっちゃってるじゃないか……!」
『ええ。ここはヴァルガが中央都市の『星の針』で世界の幻素を吸い上げる前に、実験的にマナを枯渇させて廃棄した、いわば『未完成のセピア大陸』よ。……私たちが元の世界へ戻るための転移魔法の座標すら、空間の【宙】のマナが足りなくて、完全にロックされているわ』
ノワールの言葉に、絶望のフレームが頭をよぎる。
元の世界へ戻れない。中央都市への道は完全に閉ざされてしまったのだ。
しかし、僕の脳裏のタイムシートに、ひと筋の、黄金色の「新しい隠しルート(仕様)」が、ピカリと点灯した。
【システム:新規メインクエストが解放されました】
【クエスト名:失われた3つのカラーパレットを取り戻せ】
【概要:このセピア大陸のどこかに眠る、上位3魔法(宙・光・天)の適正を持つ『3人の新しい仲間』を探し出し、そのマナを同調させることで、大陸全体の解像度を復元し、元の大陸への帰還ルートを開放せよ】
(……3人の、新しい仲間……!)
僕はフッと、腰の鉄剣の柄を握りしめ、不敵な笑みを浮かべた。
「みんな、下を向いている暇はないよ。ヴァルガの四天王は、僕たちをこの廃棄大陸に閉じ込めて『消去』したつもりだろうけど……。だったら、僕たちの手で、この色褪せた世界をもう一度、最高にカラフルに『描き直して(エディット)』あげようじゃないか!」
「イサナギ……!」
レイラの瞳に、再び強い希望の光が灯る。
「ハッハッハ! そうこなくっちゃな、少年! 3人の魔法使いを探し出し、この世界のバグを根底からデバッグしてやるわい!」
『ふふ、頼もしいマスターだわ。……さぁ、行きましょう。まずはこの灰色の砂浜を抜けて、最初の『色の手がかり』を探すのよ』
13歳の春。僕たちの物語は、予想だにしない「第二期(新章)」へと突入した。
失われた3つの魔法、そしてまだ見ぬ3人の仲間を探す、セピア色の大陸での大冒険が、今ここから、最高の第1フレームを刻み始めるのだった!
みなさま、どんな風に感じてもらったのでしょうか?
少しでも面白いかもと思って頂けましたら幸いです。
励みになりますので、☆☆☆☆☆をチェックしてもらえると嬉しく存じます。
これからもお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
PS イサナギは勘違いをしています。




