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朝比奈玲まだ恋をしらない  作者: あぐり りょう


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宴会のその後

宴会後、

暫くたっても相手から指名が入ることも、なかった。

すぐにでも、接触があるかと身構えていたが、あっさりと裏切られた。


やはり、〝一夜限りの夢”だったのだろう。

そう確信した。

正直、ホッとした。


結花はこの頃から、少しずつ仕事に入る日数をセーブしていた。


効率よく仕事と生活を両立させる目処も立ち始めていた。


その代わり、入った日は貪欲に後口を決める


稼げる時に稼ぐ。

そうすれば、学業との両立も見えてきた。


希望の教授のゼミに入り、運営が本格化してきた研究テーマも少しずつ形になり始めていた。

たまに遊びに来た先輩に就活の資料の集め方や、セミナーの回り方など、具体的なアドバイスも貰う。

周りの同級生には「まだまだ早くない?」と呆れられるが、バイト先のお客さん達を見ていると遅いくらいだと思った。

そうやって、だんだんと学業に本腰を入れていた矢先に、ママから一本の電話が入る。

「さゆりちゃん、アンタ水曜やすみだけど、来れない?人数が足りないのよ」

「えー。ママ、水曜は早出無理ですよ?

4限は出席しなきゃダメだから、終わるの16時です。

和装なら一本目間に合わない」

普段なら、それで話は終わりな筈なのに、

「洋装で18時半。私が小田原に迎えに行くから」

ママが譲歩して、更に迎えに来るのは珍しい。

「指名ですか?」

「そうなの。断りきれなくて。

ありがとう、詳細はメールするから。よろしくね」


そう言って通話は切れた。


最近、宴会中に『東央グループ』の文字のある名刺を貰う事が多くなった。

最初に貰った時は紹介や偶然と思っていた。

主催者のメンバーがあの時の人達ではなかったからだ。だが、こう何度も続けば流石に偶然とは思えなかった。


置き屋 はなのやママ視点


代表電話宛に着信がなる。誰の名刺からだろう…。

「はい。はなのやでございます」

「こちらはさゆりさんの番号で間違いないですか?」

さゆり目当てのお客さんからか。

「はい。そのとおりでございます。さゆりですか?」

「先日の宴会とても良かったのでユリさんとさゆりさんにまた来ていただきたいのですが」

ユリの名前がでた。

あの子は自分の名刺を出すことがめったにない。

だから一緒にいたものが名刺をだすのだ。


「日時ははお決まりですか?」

「接待がこの水曜にありまして、そこに呼びたいのですが……」

「基本女の子達は2名から派遣しますが……、」

話を具体的に決めていく。

規模的には中宴会。

花は4人。

先方の希望はユリ、さゆり。

他は手配もすべてこちらにおまかせ。

だが、

「申し訳ございません。さゆりは都合できますが、ユリは先約で終日都合がつきません」

「困ったな。ユリさんがいいとおっしゃる方がいて。

なんとかなりませんか?」

「申し訳ございません」と断る。

代わりにだれか希望はないか?と聞く。

特にないと返答があった。これで確信する。

目当てはユリだ。

面倒な事になった。


受話器を置く。


思わず、

小さく息が漏れた。

登録した番号を呼び出す。

「さゆりちゃん?アンタ水曜休みだけど来れない?人数足りないのよ……、」

無理を言っている事はわかっている。

お互いに譲歩して洋装、小田原に迎えに行くことで決まった。






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