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スキル『箱庭』で、私は『人』になる  作者: 春爛漫


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元エイワール王国

 お尻がヒリヒリと痛く擦られた後は足も洗われて、お湯の中に眉毛と髪の毛が無くなったノアと一緒に「湯船」と言うものに首まで沈められた。


 川で水に入ったのとは違い、お湯に入ると体が、ぽっ、ぽっ、ぽっ、ぽっと熱くなり、不思議な感じがした。


「ノア、だいじょうぶ?」


「おしりがいたい」


 スズが頭の中で「治癒魔法をかけてあげなよ」と言うので、そうか! と思いノアのお尻に治癒魔法をかけた。


「……いたくない」


 治癒魔法の効果があったようだ。


 実は私もお尻が痛い。


 自分のお尻にも治癒魔法をかけると、痛みがなくなって、ノアと2人で顔を赤くしていると、女に湯船から出るようにいわれて、ふらふらと扉の方へ行くと、ガシッと掴まれてサッと腕を擦られると、白いモノが腕から出てきて、また全身を強くブラシで擦られた!


 お尻を擦られた時より痛くなかったけど。


 ちなみにノアは男の人にガシガシとこすられていた。


 その表情は『無』だった。


 頭の中でスズが「ちび坊主」といっていた。

 「ちび」は小さいだが「ぼうず」とはなにか?

 スズに「髪がない人」と言われて納得した。


 頭がボーッとしてきて、息苦しい部屋から外に出されると『コップ』と言うモノを渡されて持っていると「水を飲みなさい」と言われて「あ、ジョウロの代わりか!」と思いついて『コップ』で水を飲んだ。


 スーッと胸とお腹が心地よくなり、頭がぼんやりとしていたのがなくなった。


 女が体についていた水をキレイな布で拭いてから、私とノアは裸で寝ていた部屋へと帰り(ノアはズボンを着ていた)、背負いカバンの中にあった『じじい』に貰った服を着せられた。


 それから私が「排泄したい」と言うと、女が「トイレ」と言う場所に案内してくれて、そこで排泄を終えてそのまま出ようとすると、スズに頭で叫ばれた!

 「股間を拭かないと!」と。


 『股間』とは排泄する場所らしく、トイレの隅に葉っぱが置いてあったので、股間の水を拭くと排泄の穴の中(壺じゃない)に落とした。


 スズが「穴の中をよく見て」と言うので、ジーッと見ると、穴の中に『ナニカ』がいた。


 私が手を入れようとすると、頭の中でスズが「汚い!」と叫んだので、トイレから出た。

 「汚い」場所からは離れる習慣がついていた。


 頭の中でスズが「スライムっ! スライムっ!」と機嫌が良さそうだった。

 そういえば、スズはいつも元気だ。

 カミラの胸が温かくなった感じがした。


 その後にノアが「うんち」と言ったので、トイレに一緒に入って、股間をキレイにする方法を教えると「おぼえた」と言ったので、2人で「つかれたねぇ」と言って、部屋で寝た。


 やっぱり、私が寝る前にスズが「右目に治癒魔法!」と言ったので、右目に治癒魔法をかけてから寝た(気絶)。


 ◇◇◇


「アネッサ、報告を聞こう。子供達はどうだった?」


 先程までカミラとノアのお風呂の世話をしていた女・アネッサが隊長に報告する。

 一緒にお風呂の世話をしていた男・副官も一緒だ。


「はい。女児には顔に強い暴行の跡があり、男児・女児ともに骨と皮だけの体で非常に痩せています。

 眠りから起きた時の状況は、体から異常な体臭を発しており、頭には虫が沸いていました。

 風呂にも初めて入った様子で、髪も体ももちろんですが、股間は非常に汚れており、汚れはブラシを使い落としました。

 排便後に股間を拭く習慣が無かったものと推測します。

 それと、警戒心が強いですが、素直なところもあり、不自然な成長をしております。例を挙げますと、幼児のように話し慣れておりません」


 隊長はアネッサの報告を紙に書いてまとめた。

 そして己の副官にも話を聞く。


「ジーニス、他は何か気がついたか?」


「そうですね、姉弟だと思っていましたが、男児が女児を『カミラ』と呼び捨てに言っていましたから、血は繋がっていないと思います。それと、女児は男児を『ノア』と呼んでいました。お互いを大切に思っているようですから、2人を離さない方が安心感を与えられそうです」


 その所感を紙に書いた隊長は「んー」と、悩む。


「ここでは子供の面倒が見れない。子供の身なりから『元エイワール王国の育ちだろう。『奴隷』だった可能性がある。教会のある街での教育が必要だ。

 『元エイワール王国』の子供でも、今は『我が国の国民』だからな」


 アネッサと副官は異議を唱えなかった。

 むしろ納得の顔である。


「よしっ! アネッサは『元王都』に物資と人材を派遣している商隊が駐屯地に来るまで、子供達をジルバルト王国の民として行動できるように躾、教育しなさい。

 ……そういえば、靴を履いていないと『保護した部隊』からの報告にあったな。

 子供の靴の調達はできるか?」


 室内の空気が少し重くなった。


 副官が口を開く。


「廃村の家々の中を探せば、靴の一つや二つはあるでしょうが……遺物だと血がついている可能性がありますね」


 部屋にいる全員が知っている事実だった。


 『元エイワール王国軍』は国境警備隊を深夜に全員殺害し、隣の廃村までを無惨に全員辱めてから虐殺したのだ。


 国民感情的にはエイワール王国は『憎い国』である。

 そこに『深い憎悪』があるのは皆心に抱えているが、何年もにわたる調査をした結果では『元エイワール王族と貴族の独断』との結果が出ている。

 そして『粛清』は終わり『元エイワール王国』は『ジルバルト王国』に吸収された形で戦争を終えた。


 長年『元エイワール王国』とは国交をしていなかったーーする価値がなかった為に、警戒だけで済ませていたジルバルト王国にも落ち度があった。


 そして、戦争で殺した相手が『兵士』ではなく、烏合の衆の『民兵』、『民』だった事が発覚した瞬間に心の病を抱えてしまった「軍人」もいる。


 それほど『兵士』でも『軍人』でも『犯罪者』でもない『民』を殺すことは【罪】なのである。


 「エイワール王国」は神の教えに背き、人民に「間違った教育」をしており、根本から『ジルバルト王国民』へと導くのは「全ての犯罪者」を捕らえてから、善良な人民には正しい教育をして、初めて我が国の『敵』はいなくなるのだから。


 副官が隊長に言葉をかける。


「我が国は、これから『軍人』と『兵士』が力を合わせなくてはいけません。全ての犯罪者を捕らえられます」


 そう思わないと民を守る役割の『兵士』など勤めていられなかった。


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