保護作戦
山を歩いていると、なぜか「歩きやすくなったな」と思ったら、山の下の方に来たそうだ。
スズが「森になったら道を探そう」と言ってくれた。
あ、そうだ。
思い出した。
私の「とし」が11歳になったそうだ。
山で白い雪が空から降ってきた時だ。
なぜか「山は雪が多い」らしくてスズが教えてくれた。
「時期が悪い」とか言っていた。
足が少し寒いだけだったんだけどね。
あと、雪を踏むと胸が動くと言ったら、スズが「楽しいんだね」と言っていたから、ノアと2人で雪を踏むのは「楽しい」と知った。
山を降り始めるとスズが「春だ」と言っていたので、楽しいのは「冬」らしい。
また、ノアと雪を踏めたら「楽しい」のにな。
◇◇◇
我々が山に住み着いてしまった『山賊』を探していると、部下から「山を歩く子供を見た」と報告された。
憎いエイワール王国、いや『元エイワール王国』に1番近かった村は「元エイワール王国」により「悲惨な死」を迎えており、この辺りにいるのは廃村を駐屯地にしている我々兵士しかいないはずで『子供』などいるはずもない、いや「生き残れない」はずだが、部下に案内されて子供を探していると、本当に子供がいた。
2人も。
子供達は地面に座っていて「赤いナニカ」を食べているようだった。
あれはなんだろうか?
そして、遠目からもわかるが子供達が茶色くて、見失いそうになる。
よく部下は見つけられたものだ。
それと、言葉は悪いが、子供達に近づくと「臭い匂い」がするので、子供達はそうとうな「悪臭」がすると覚悟せねばならない。
だが「子供の保護」は重大な任務に当たる。
体を洗えないぐらいに山を彷徨っているのならば「保護」しなければならない。
◇◇◇
しくじった。
部下達が大勢で姿を見せたら、子供達が逃げ出したらしい。
ものすごく「ゆっくり」と。
だから離れて監視、いや見守っているが、どうやら我々が「怖い」ようだと報告を受けた。
『山賊』にナニカ怖いことをされて逃げ出したのかもしれん。
許すまじ、山賊。
守るべき子供に酷いことをするとは。
そういえば「元エイワール王国」を我々の国が統治することになり『元王都』に兵士と事務官達を派遣した時には「惨敗兵」の奴らが死に物狂いで襲ってきて数名が死んでしまったが、この山にいる「山賊達は獣ようだった」と報告を受けている。
足の遅い子供達が逃げ出せるか?
疑問は残るが、子供達を怖がらせずに保護するためには、夜の寝ている間に廃村の駐屯地に連れて行かねばならない。
「見守り部隊」に伝令を出すと、私は一度駐屯地に戻った。
◇◇◇
やったらしい。
作戦は「成功」だ。
山狩を任せていた部隊が山賊の生き残りを皆殺しにしたようだ。
これで物資の補給部隊も安心して国境を、いや「元国境」を通過できる。
王都と元国境から、じわり、じわりと犯罪者を捕まえては鉱山に送り込んでいるが「元エイワール王国」の内情は我々が思っていたよりも「腐り切った者達」が多いようだ。
我が国に飽和している人民の「新天地」が出来たことは喜しいが、相当に統治がしっかりとできる人員を送り込まねばならない。
第二王子が動くかもしれない。
王太子の補佐をしているから、嫌がる可能性はあるが、第三王子が脳筋、いや『軍向き』な正確なために「元エイワール王国」の人民を正しく『教育』するには不向きだ。
第四王子はまだまだ勉学の最中だとのお話を聞く。
そして、第五王子は子供だ。
第六王子は赤ちゃんだ。
戦争中にお生まれになったので「強いお子」になると言われている。
いや、めでたい。
愛でたい。
あ、心の声が漏れてしまった。
私と妻が頑張れば次の子供もすぐにできるだろう。
早く愛でたいものだ。
まずは、単身赴任を終わらせなければならない。
あ、そうそう。
もう一つの「子供保護作戦」も成功した。
いや、喜しい。
部隊の報告で「鼻が潰れそうだ」と書いてあったが、肥溜めにでも落ちたか?
とりあえずは「元国境」を制圧したので、治安が良くなったと報告を上げて街道の整備が急務だ。
「元エイワール王国」の王族や貴族が金品をたんまりと溜め込んでいた為に人民達の給料は数年は安泰らしいから、我々兵士の駐屯地も新しく作り直してもらえるもらえるように交渉を事務官に任せなければ。
この近辺が発展して新規開拓が進めば妻子を近くに呼べるだろうか?
子供の成長を見守れるだろうか?
上官の意向をお聞きしなければ。
兵士は給料だけは良いのだ。
憧れの職業につけた事は誉れだ。
が、妻子と離れて暮らすとは思っていなかった。
くっ!
自分の有能さが憎いっ!
いやいや、そんな百年計画はおいておいて、保護した子供の様子を見にいくか。
◇◇◇
私、カミラと一緒に寝ていたノアは『じじい』に柔らかい寝場所に移動させられた時と同じような思いをしていた。
山? 森? で寝たのに、知らない建物の中にいた。
部屋の中には、前は『じじい』がいたけど、今は『大人の女』がいる。
何故か笑っているので怖い。
ノアも私の左腕を凄い力で掴んでいる。
スズが「なんでもいいから話せ!」と伝えてくるが、スズに言うことを指示してほしい。
私は「バカ」なのだから。




