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浮遊の魔法使いヨワ  作者: 紺野真夜中
第3章 クリスタルの実
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 バナードはしゃがみ込み、多くの野菜を育ててきた手でクリスタルの実をなでた。きっと自然を尊び愛する〈ナチュラル〉としても同じ思いだろう。

 ロハ先生に助手にならないかと誘われた時、正直ヨワは鉱物学に興味を持っていなかった。ただ行くあてがなかったからうなずいた。だがクリスタルの存在を知ってからその面白さに気づいたのだ。ユカシイが大学へ進学することを決めたのもクリスタルが目当てだ。

 この石は多くの人を惹きつける。今も、リンはすっかり目を輝かせてクリスタルを見つめている。だからこそこの場所が盗賊の荒らされなくてよかったとヨワは息をついた。

「ヨワ。実の数を確認して、大きさを測って。あと彩度もね」

「俺も手伝うよ」

 ロハ先生の指示に従いヨワはリンとともにクリスタルの実の観察をはじめた。取り払った布に縫ってある番号を確認し、リンがメジャーで直径を測る。ヨワはノートに番号をふって大きさと色と艶、透明度を五段階で評価し気づいたことを書き込んだ。

 布で隠してあるクリスタルの実がどこに埋まっているか探すのは簡単だ。ちょっと魔力を実に流せばいい。すると青白い光が根を伝って無数に伸びて瞬く。その時、一際大きく強く光ったところがクリスタルの実だ。

 リンはヨワが指さした布を取って首をかしげた。

「あれ。これなんか汚いぞ」

 その声に細かな根を数えるのに苦戦していたロハ先生が勢いよく顔を上げた。

「もしかして腐ってるのか。いやでも鉱物なんだっけ」

「ちょっとリンどいて!」

 駆け寄ってきたロハ先生はリンを突き飛ばして濁るクリスタルの実にかじりついた。リンの尻は強打される前にヨワの魔法で助けられた。それと同時にロハ先生から悲鳴が上がる。ヨワとユカシイは思わず肩が跳ねた。

「ヨワ、もう一回魔法やって! ちょっと強めに範囲広く」

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