57
「クリスタルは石。つまり鉱物。それは確かだ」
「結局石なんすね……」
リンは頭を抱えて項垂れた。
「だけどクリスタルには植物と類似する点がいくつかある。おおっ、一番長い根っこが前回より三センチも伸びてる! ユカシイ記録を!」
「先生、説明するか観察するかどっちかにしてください」
ユカシイにそう言われロハ先生は観察を取ったのか、クリスタルに夢中な背中を向けたまま左腕を挙げて激しく振った。その人さし指が示すものにヨワは合点がいき、リンを布がかけてある地面まで連れていく。押さえに使っていた石をどけて布を取り払う。そこにはまるい石が地面から顔を覗かせていた。
「なんだこれ」
「クリスタルの実」
「実!?」
「球根と呼ぶべきか実と呼ぶべきか意見がまっぷたつに分かれててねえ。まあ好きに呼ぶといいよ」
からからと笑いながらロハ先生は目にも留まらぬ速さでノートに走り書きしていた。今彼は絶好調だ。
「どちらにしてもこの球体部分にクリスタルのエネルギーが集められているということはわかっているのよ」
ユカシイはくるくるとペンを回してそうつけ足した。
「なるほど。植物っぽいな」
「リンは石化した植物を見たことがある? ロハ先生はクリスタルも元はそうじゃないかって考えてるんだ。特に巨樹」
「これが昔はコリコの樹のように大きかったっていうのか」
ヨワはゆるく首を振った。
「なんらかの原因で大きくなれず、地中に埋まったの。巨樹の若木は途方もない年月をかけて石化した。大きなエネルギーを内に秘めたまま」
「それがクリスタル……」
「ですよね、ロハ先生」
「復習はばっちりのようだね、ヨワくん」
先生に褒められてヨワはちょっとだけ胸を張った。
「彼の学説を聞いて私もクリスタルの秘密を知りたくなった。一農家としても大変興味深いよ」




