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兄として、弟として

そんなくだらない会話が終わり、湊が「俺ゲームしよっ」と言って自分の部屋へ行くと、この日は楓が食器を洗い終え、椅子へ。


「ありがと」


向かい側の席に座っていた光はそう言ってスマホをテーブルに置いた。


「ううん」


楓はスマホを一度見て、すぐにテーブルに置いた。

光はニヤっとして楓を見て言った。


「聞かないの?」


「えっ?」


楓が顔を上げると、光はクスっと笑った。


「今日、俺と菜穂がどうなったか。聞きたくてずっとそわそわしてるのバレバレ」


「いやっ..別にそういうわけじゃーーーーーー」


「ふうん?じゃあ教えないよ」


「それはちょっと...!」


楓の反応を見て、光は満足気に微笑んだ。



「菜穂と別れたよ」



言われ、楓は「あっ...」と呟き、気まずそうに目を泳がせた。


「そんな顔しなくていいって。遠慮されると余計むかつく」


光はそう言って苦笑した。


「あっごめん....」と楓。


光はクスっと笑って続ける。


「もういいよ。はっきり言われちゃった、『楓のことが好き』って。『別れてください』ってさ。いやあ、さすがにメンタル来たなあ~」


「そっか.....」


「まあでも、すっきりしたよ。未練がないって言ったら嘘になるけど、今は心から応援してる」


光はそう言って微笑んだ。

楓は顔を上げ光を見た。


「兄ちゃん、色々ごめん。で、ありがとう」


楓に言われ、光は首を横に振った。


「俺の方こそ、色々ごめん。悔しいけど、菜穂が困ってる時、楓が傍にいてくれて良かったなって思ってるよ。ありがとね」


「ううん..」


楓がそう言って俯くと、光はまた笑った。


「あーでも、俺菜穂に言ったから」


「言ったって、何を?」


「んー?『楓に飽きたらいつでも待ってるからね』って」


光は悪戯に微笑んだ。


「えっそれは....」と楓。


「俺はこれからも菜穂とは友達でいるつもり。それくらいは許してくれるでしょ?」


「いや、そりゃもちろん」


「でももし菜穂のこと泣かせたら許さないからね。俺何するか分かんないよー?」


光に言われ、楓は少しハッとして言った。


「まって...今日何もしてないよね?!俺、この間兄ちゃんとまだ別れてないっぽかったからキスしてないからね(菜穂先輩に拒否られたからだけど)」


楓がそう言うと、光は抱きしめたこと、額にキスしたことを思い浮かべ、フッと笑った。


「さあ。どうだろうねっ」


「えっちょっと...!」と楓が焦った表情を浮かべ、光は「とにかく」と微笑んだ。


「俺に遠慮しなくていいし、堂々としてよ。じゃなきゃ俺が失恋した意味がないからね」


「兄ちゃん...ありがと」


楓も微笑んだ。


「それと、俺と楓は何があったってずっと兄弟でいるしかないんだから、これからもいつも通りねっ」


「うん。仕方ないから兄ちゃんの弟でいてあげる」


「はいはい。俺もちゃんと兄でいてあげるよ」


2人はそう言って顔を合わせて微笑んだ。


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