第40話 土くれ討伐戦 後編
「全員!ノアの援護に回りなさい!」
「了解!!!!!」
ゴーレムに向かって走り出したノアを援護しようとすぐ後ろを走るリアン、全員がリアンの一声に耳を傾けて行動を始める。
「さっきはよくもうちのリーダーを吹き飛ばしてくれたね!」
「そろそろ潰してやんよ!!!」
まず動き出したのはピアとダイ、左右からそれぞれゴーレムの動きに警戒しながら詰め寄る。
一方でゴーレムは突如両方の手を突き出し指をピンと伸ばすと手の指の先端全てに穴が空きそこからガトリングのように弾を撃ち始める。
「そんなのもできるんだ!でも...」
「さっきのに比べりゃ屁でもねえんだよ!!!」
ランダムに瓦礫が降り注いだ先程の攻撃とは違いある程度飛んでくる方向がわかりやすいからかスルスルと避けてゴーレムの懐に潜り込み顔の前まで飛び上がる。そして...
「てめえの目ん玉は柔らかそうだなあ!!!」
「突き刺してあげる!」
「ゴアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」
唯一いくら殴っても傷一つつかなかった装甲で塞がれていなかった所に目をつけた2人、それぞれがゴーレムの片目を槍でそして大剣で突き刺す。
流石のゴーレムも弾を撃ちやめ両手で自身の目を覆い痛みで悶絶し泣き叫ぶ。
「チャンスは逃さないわよ!」
「わかってます!」
「いくよー!」
2人がゴーレムにダメージがを与えている間にランク、ルー、ローズの3人は後ろに回り込みゴーレムの左足に接近する。
「せーの!!!」
そのまま3人同時攻撃で膝裏を叩く。瞬間、ゴーレムは衝撃によりバランスを崩し左膝を地面に着ける。
「お膳立てサンキュー!!!」
5人の活躍を元に目標に近づくノアとリアン。
だがしかしゴーレムもやられっぱなしと行くわけにはいかない。右目に突き刺さった槍を抜き近づいてきているであろう自身の敵に対して投げつける。
「姉ちゃん!?」
「妹を傷物にさせるわけないでしょ!!!!!」
あまりの槍の速さに一瞬反応が遅れるノア、それを間一髪で姉が前に出るがこのままでは防御が間に合わなずリアンに槍が突き刺さってしまう。
だがこの場にはもう1人、ただひたすらに勝利を求めて戦っていたものを忘れてはいけない。
「させない」
ミランの弾丸が槍を掠めることで軌道が逸れる。
「流石ねミラン!!!」
「マジでナイス!!!」
全員のお膳立てによって遂にゴーレムの目の前にまでたどり着くノア。狙うは左胸、近づいた瞬間にほんの少しのひび割れに気づく。
それはミランが寸分違わずにひたすら左胸に弾を撃ち込み、途中のリアンの一撃によって漸く現れた傷口。無論、この弱点を見逃すわけにはいかない。
だが今のノアではいくら自身を強化した所で、このひび割れた脆い箇所を殴ったところでまだこの硬い装甲をぶち破る事はできない。それは今までの戦いからノア自身がそれをわかっていた。
だからずっと探していた。どうやってこの装甲を崩すか、そしてさっきの瓦礫を飛ばされた時に気づいた。
ノアは飛んできた瓦礫の一部を「鑑定」していた。
鑑定結果は...「土」。そう、ゴーレムのあの装甲はものすっっっっっっっっっっっごい硬いただの「土」だったのだ。
後はどうすればいいか?簡単だ、硬い土なら柔らかくすればいい。
「土には水やりしてやらねえとなぁ!?「ウォーター」!!!」
ノアはゴーレムの左胸、特にヒビが入っていた場所を中心に「ウォーター」で水をかける。
その量は1000L、普通のペットボトル約2000本分の水である。
ゴーレムは水場のある場所には生息せず、水という存在を知らない。
さらには自身の装甲を破る程の攻撃力を有してない限り核が隠れたゴーレムを倒す事はできない。だがしかし、今新しい弱点を理解したゴーレムは水を浴びて脆くなった自身の体に気づき理解する。
水を生み出せるノアは天敵だと
「ゴオオオオオオオオオオ!!!!!」
「うおおおおおおおおおお!?!?!?」
恐怖を感じたゴーレムは天敵を少しでも遠ざけようと投げ飛ばす。
だがしかし水は完全にゴーレムの体に浸透した。
せっかくのチャンスを逃すわけにはいかない。
今なら届く
そう感じたミランはスキルを1つ発動する。
「弾薬強化」
そうしてミランはゴーレムの左胸に最後の1発を撃ち込んだ。
ノアを投げ飛ばした直後、体勢を整えるゴーレムに対し、全員が再び攻撃を仕掛けようとした瞬間。
ミランの弾丸がゴーレムの左胸に直撃、その硬い装甲に遂に遠目に見てもわかる程の大きなヒビが入りよろける。
「今しかない!」
そう感じたピア、使っていた長槍は先ほど投げ飛ばされてまだ拾いにいけていない。攻撃するには少し距離が遠い。
だがしかしその程度の事は問題にならない。ピアは背中から1本槍をとりだし、そしてスキルを唱える。
「投擲!!!」
背中から取り出した槍、それは自身のスキルを最大限に活かすために作られた専用の使い捨て投げ槍。
スキル「投擲」を使う事で投げた武器の威力を強化、ピアの中で最大限強化された槍がゴーレムの左胸に突き刺さる。
されど装甲が厚く貫くまでには至らない。だが1人、仲間の「投擲」と同時に、正確には予測して動きを作っている者がいた。
「予想通りだぜ...!」
ダイはピアが「投擲」を使うと予測、同時にゴーレムに向かって一直線に走り出していた。
だがしかし彼の武器は現在ゴーレムの左目に突き刺さったままである。他の者とは違いダイは武器の予備を重量の関係で持っておらず今は素手である。
ならどうやって攻撃するか。
「おい土ゴミ...さっきは散々やってくれたなぁ...」
先程の瓦礫をリアンと同様に弾きながら前に進もうとしたが防ぎきれずにダメージを負ったことへの自分の情けなさ、さらには仲間を吹き飛ばされたことによる怒り、生まれつき堪え性がなくでストレスが溜まりやすいダイの怒りが頂点に達していた。
「たっっっっっぷり返してやるよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!」
そんな彼が持つスキルとは...
「忌討破悶!!!!!」
「忌討破悶」は自身に怒りやストレスが溜まるほど発動時に次の1撃の攻撃力が上がるスキルである。
その1撃をゴーレムにではなく突き刺さった槍の石突きをダイは思いっきり殴った。
まるで刺さった釘をハンマーで殴ったような形になった攻撃はさらに装甲を貫くことになりヒビは増大した。その結果...
「ゴアアアアアアアアアアアア!?!?!?」
遂にゴーレムの左胸が崩壊する。
その中に見えたのは赤く光り輝くゴーレムの心臓。
「最高の出番」
その時、足に仕掛けてあった起爆装置が遂に作動する。
「爆破」
核が見えた瞬間、ゴーレムの足が突如として爆発する。1年組は何が起きたか分からず混乱している中、3年組だけが状況を完全に理解する。ミランのもう一つのスキルが発動したのだと。
体が濡れたことによって耐久力が低下、さらにダイの攻撃によって後ろに倒れそうなところに追い討ちをかけるように足を爆破、それによって下半身を無くしそのまま仰向きに倒れ移動が制限される。
そしてゴーレムの視界に先刻、自身が投げ飛ばした天敵が遥か上空にポツンと写る。
ゴーレムが少しでも遠ざけようとノアを投げ飛ばした方向は真上、そして現在落下中のノアの視界に赤く光り輝く石のようなものが入る。
「あれがゴーレムの核...!」
核を突き刺せるように落下地点を調整、そして威力を上げるために回してなかった保有ステータスの20を全て魔力に振る。
この一撃で終わらせる
「会心×5!!!!!」
「会心」によって威力が10倍、それを5重にかけることによって威力は50倍、さらに剣の重量も50倍になったことで落下速度が増大、まるで小さな隕石のようになった天敵がゴーレムの核目掛けて風を切る。
「ガアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」
ゴーレムは向かってくるノアを墜とそうと両腕を構えようとする。しかし...
「ゴ!?」
「妹の晴れ舞台を邪魔するんじゃないわよ!!!」
「ノアー!いっけー!」
両腕をその場にいる全員に抑えられ、完全に無防備となった核。体の再生も間に合わない。
「これで終いじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」
核に突き刺さる剣、動かなくなった大量の土クズ、そしてノアの脳内に声が響く。
「ゴーレムを倒しました」
残り魔力142
132 「鑑定」-10
32 「ウォーター」 1000L (10Lで消費1) -100
52 保有ステータス +20
2 「会心×5」-50
残り魔力2
今までで一番長いバトル、面白かった




