第29話 理想の武器屋
「あなたそういえば剣はどうしたの?パパから1本もらったはずでしょ?」
朝ごはんを食べている時に姉に聞かれた。昨日から学園の支給品をぶら下げていたことに気がついたんだろう、俺はパンを頬張りながら質問に答える。
「ああ、あの剣なら魔物と戦った時に折れちゃった」
「折るの早いわね、まあ私も3日ぐらいで折れちゃったから人のことは言えないけどね」
うーん、俺達姉妹の使い方が荒すぎるのか剣が余程のナマクラだったのかどっちかわかんねえな...
「気にしなくていいわよ!あれパパのお下がりだったし、それよりあなた新しい武器は誰に作ってもらうの?」
「作ってもらう?」
父さんからもらった武器がお古でそりゃすぐぶっ壊れるよなと内心キレつつも直後の質問に少し戸惑う。
「学園の支給品じゃダメなの?」
「あれは父さんからもらった武器よりマシなだけよ、所詮は量産用だからそこまでいい武器じゃないし...自分用の武器を作ってもらった方がいいわよ。もちろんルーもね!あなたもそこにあるやつ支給品でしょ!」
「そーなのー?」
なんで自分が持ってる武器の出所もわかってないんだこの子は...でもまだまだ体の成長もこれからなのに今の自分に合った武器を作ってもらっていいものなのだろうか?そもそもいくらかかるかもわからないしな...
「あれ?あなた達自分の武器持ってなかったの?」
「そういえばローズの斧は明らかに支給品じゃないもんな」
「私は入学祝いでお姉ちゃんからもらったわ!」
そういって誇らしげに自分の斧を見せてくる、危ないからやめなさい。
「まあとにかく!今の自分に合う武器は持っとくべきよ、学園には武器屋もあるしね!腕は私が保証するわ!私常連だし!」
「うーん、でも金がなぁ...いくらかかるかわからんし...」
「安心しなさい!学園は武器作りは初回無料だから!」
何そのよくあるソシャゲの10連ガチャみたいなシステム、まあ無料というなら作ってもらうか。
「ルー、ランクも誘って作ってもらおうぜ!」
「ん、なにが?あ!パンおかわりね!」
そうだね、登校中にもう一回俺が説明してあげるからね...ダメな子ほど可愛いとはよくいうものだな、頭撫でたくなっちゃう。なんかだんだん妹ではなく犬とかを飼ってる気持ちになってきたけどそんな変わらんから大丈夫だろう。
ナデナデナデナデナデナデナデナデ!
「アタマアチュイイイイイィィ!?!?」
―――――――――――――――
というわけで姉に案内してもらって学園の武器屋に行くことにしたわけだが...
「なんでローズもついてきてるんだ?お前はもう武器持ってるだろ?」
「何よ!いいじゃない気になるんだから!」
「まあまあ、人数は多い方が楽しいじゃないですか」
「たのしみー!」
それにしてもなんでもあるなこの学園は、街中にもそれっぽいところはあったが学園内にこんな商店街みたいなところがあるとは...道具屋に防具屋にアクセサリー店に...あれは本屋か?後で覗いてみよっと!他にはなんの店があるんだ?個人的にはカジノとかあると面白そうで嬉しいんだが...流石に学園内にはないかな。
「着いたわ!ここよ!」
数ある中の店にあった一角、レンガでできてて木の看板でちょっと古臭い。いかにも武器屋って感じの雰囲気でめっちゃ好きな感じ、いいよねこういう明らか異世界って感じのトコロ!
「いらっしゃい!」
店に入るとハゲでゴツい筋肉モリモリのおっちゃん店主が俺たちを迎え入れる、俺の中では理想の武器屋すぎる。姉は早々におっちゃんと世間話を始めていた、気さくに話している感じがするので常連というのは本当だったようだ。
「おーいお前ら!武器を作って欲しいそうだが先に置いてある商品を試しておけ!納得できるものがなかったら作ってやる!」
作ることより商品を買わせることを優先させる、鍛冶屋ではなくてあくまで武器屋ってわけだ。まあおっちゃんのいう通りだし色々試してみるか
「ルーこれにするー!」
「僕はこれにします!」
そういってルーは剣を2本、ランクは剣と盾を手に取った。早くね?普通そんなポンと決めるもんじゃないだろ!?まあそういう俺も剣の良し悪しなんてわかんないから格好つけるために適当に悩んでるフリしてるわけだが...
「嬢ちゃんはまだ決まらないのかい?」
俺が悩んでいる(振り)姿を見かねてか店主が声を掛けてくれた、さすがに「悩んでる振りしてただけで剣なんて全部一緒です!」なんて言えないから話を合わせるとしよう。
「どれもなんかしっくりこなくて...」
「そうだな...さっき聞いたがお嬢ちゃんは銃と剣で戦うそうだな!だったら...コイツはどうだ?」
そういっておっちゃんは置いてある剣の中から1本取って俺に渡してきた。どうやらさっきの世間話は俺の話をしていたようだ、とりあえず渡された剣を手に取ってみる。
「うお、すげえ...」
まず持った瞬間にめちゃくちゃしっくりきた。重量感といい持った時の違和感のなさといい、まるで剣が体の一部かのように感じる。何度か振ってみても特に問題があるわけでもなかった。感想としては軽くなってリーチが短くなったのかな?
「おっちゃんこれすげーいいよ!なんでわかったんだ?」
「だってお嬢ちゃん片手で剣を持つはずなのにずっと両手持ち用のやつばっか見てたからな!支給品も両手持ち用だしそりゃあしっくりくるわけねえよ!ガッハッハッ!!!」
うん、どうやら俺がバカやってただけだったみたいだな。なんだか恥ずかしくなってきた...
とりあえず剣のお代を払って店を出ることにした。「また来いよ!」と見送ってくれるおっちゃんにはこれからもお世話になりそうである。
「新しい剣も手に入れたことだしあなた達はこの後どうするの?」
姉にこの後の予定を聞かれた。そういえば考えてないな、何しよっかな...
「決まってないならノアはもちろんお姉ちゃんと1日デートよね!行くわよ!」
「え」
そういいながら俺の服を引っ張りながらどこかに行こうとする姉、待ってくれ!流石に1日デートは時間がもったいないって!頼む誰かたす...
「やっと見つけたー!」
声がする方に目を向けるとそこには全く知らん3人組がいた。誰だあの人たち?姉の知り合いっぽいが...
「今日はみんなでダンジョン行く約束でしょ!」
「まってまって!でも今日は妹とこの後1日デートすることになってて...」
「あ、連れて行ってもらって大丈夫です」
「ちょっとノア!?」
そういって姉はおそらく同じパーティーの人たちに引きずられて行った。どうやら俺は助かったようだ...
でもやること決めてねえな、どうしようかな。
「ルーたんけんしたーい!」
「そうですね、僕もちょっとここら辺のお店を見てみたいです」
「それなら私も見たいわ!」
「...そうだな!一旦解散で見終わったら後で合流するか!」
「おー!!!」
というわけで各々観たい店を回ることにした、俺も気になる所が何個かあったしちょうどいい。
「あ、別れる前に1つ聞いてもいいかしら?」
「なんだローズ?」
「あなたたち無料で武器を作ってもらいにきたのよね?」
「そうですね」
「武器買っちゃったら意味ないんじゃない?」
「あ...」
確かに今日は金銭面を考えて武器を「無料」で作ってもらうはずだった...
「まあ良い武器が手に入ったからいいんだよ...」
なんかお姉ちゃんとローズの喋り方似てるな、作者の好きな女の子像がバレる...




